222 / 374
……いきなり?
しおりを挟む
俺と目が合った瞬間、銀竜が連れてきた男は。
「すいませんでした!」
一声叫ぶと同時にいきなり土下座した。
何でだ。
っつーか、土下座って文化があるのかこの世界?
まあ、それはそれとして。
いきなり土下座から始まったこの男。
伏せてるから顔は分からないが、金茶の短い髪に浅黒い肌ってさ。
どっかで見覚え……っつーか、聞き覚えないか?
なあ?
とにかく、ここでゴチャゴチャやってんのもどーかと思うし。
移動しようぜ。
昨日ミヤさんが頑張って作った《壺中天(仮)》に。
「ちょっと待って、コウ。(仮)って何だい? (仮)って。僕は3時間かけて、頑張って作ったんだよ?」
ミヤさん……あれだけ細かくチェック入れといて、《鑑定》はしてないんだ……。
「え?」
俺の肩をわし、と掴んでミヤさんは何の事だ? と詰め寄ってくる。
近い。
んで、痛い。
そしてリッカさんが、いつものよーにくふくふ笑っている。
そんなリッカさんを見て、スズが呆れ顔ってとこまでワンセットになってないか?
「今そんな場合じゃないってことは、分かってるでしょーが。文句なら鑑定結果の文章に言って下さいよ。俺の《壺中天(笑)》なんか、(笑)ですよ」
そう言えばそうだったね、と冷静になったミヤさんは。
「じゃ、とにかく中に入ろうか」
と、何事もなかったよーに仕切り始めた。
……いや……いーんだけどね?
なんか、こー……ね?
パッと見は小さいプレハブ小屋なのに、中は入ると8畳間っつー、理不尽な《壺中天(仮)》に、男は目を見張ったが。
やっぱり土下座体勢に入った。
……何なんだよ、一体。
何か俺らにやらかしたワケ?
とにかく、銀竜にあの肉人形を追っかけて行ってからの話を聞こうか。
この土下座男については、その後だ、後。
好きなだけ土下座してりゃいーさ。
俺らは椅子に座り。
当然のよーにリッカさんが茶の仕度をして。
茶菓子までスタンバイして……。
どーもTV見るよーな体勢に入ってないか?
娯楽じゃないんだぞ。
……多分。
まあ、いーか。
銀竜、話せ。
長引くよーなら、椅子に座れ。
「御意」
銀竜は、土下座男を少しだけ気にしながら、椅子に腰掛けて話し始めた。
──あの時──
マドゥーニーの町を出るまで、あの肉人形は普通の人族のように振る舞っておりました。
市場で買い物して、何やら飲み食いすることまでやっておりましたね。
仕組みは分かりませんが、奇妙に感じたことを覚えております。
さて、肉人形はマドゥーニーを出てから、人の形を捨て去りました。
いきなり白目を剥いたかと思ったら、ガクガクと身体を揺らしながら、その姿形が変化していったのです。
……足が多数あれば良いというものではない、と思ったのですが。
……なんというか。
曰く言いがたい形状の、多脚生物となって、ワサワサと……。
予想外に素早い動きで、とにかく不気味でした。
いつしか道を外れ。
山道ですら無い、道無き道をひたすら追いかけましたが。
ボロボロと肉片をこぼしながら行くので、追跡は容易でした。
道しるべが腐った肉片、というのもかなりイヤなモノでしたが……。
「すいませんでした!」
一声叫ぶと同時にいきなり土下座した。
何でだ。
っつーか、土下座って文化があるのかこの世界?
まあ、それはそれとして。
いきなり土下座から始まったこの男。
伏せてるから顔は分からないが、金茶の短い髪に浅黒い肌ってさ。
どっかで見覚え……っつーか、聞き覚えないか?
なあ?
とにかく、ここでゴチャゴチャやってんのもどーかと思うし。
移動しようぜ。
昨日ミヤさんが頑張って作った《壺中天(仮)》に。
「ちょっと待って、コウ。(仮)って何だい? (仮)って。僕は3時間かけて、頑張って作ったんだよ?」
ミヤさん……あれだけ細かくチェック入れといて、《鑑定》はしてないんだ……。
「え?」
俺の肩をわし、と掴んでミヤさんは何の事だ? と詰め寄ってくる。
近い。
んで、痛い。
そしてリッカさんが、いつものよーにくふくふ笑っている。
そんなリッカさんを見て、スズが呆れ顔ってとこまでワンセットになってないか?
「今そんな場合じゃないってことは、分かってるでしょーが。文句なら鑑定結果の文章に言って下さいよ。俺の《壺中天(笑)》なんか、(笑)ですよ」
そう言えばそうだったね、と冷静になったミヤさんは。
「じゃ、とにかく中に入ろうか」
と、何事もなかったよーに仕切り始めた。
……いや……いーんだけどね?
なんか、こー……ね?
パッと見は小さいプレハブ小屋なのに、中は入ると8畳間っつー、理不尽な《壺中天(仮)》に、男は目を見張ったが。
やっぱり土下座体勢に入った。
……何なんだよ、一体。
何か俺らにやらかしたワケ?
とにかく、銀竜にあの肉人形を追っかけて行ってからの話を聞こうか。
この土下座男については、その後だ、後。
好きなだけ土下座してりゃいーさ。
俺らは椅子に座り。
当然のよーにリッカさんが茶の仕度をして。
茶菓子までスタンバイして……。
どーもTV見るよーな体勢に入ってないか?
娯楽じゃないんだぞ。
……多分。
まあ、いーか。
銀竜、話せ。
長引くよーなら、椅子に座れ。
「御意」
銀竜は、土下座男を少しだけ気にしながら、椅子に腰掛けて話し始めた。
──あの時──
マドゥーニーの町を出るまで、あの肉人形は普通の人族のように振る舞っておりました。
市場で買い物して、何やら飲み食いすることまでやっておりましたね。
仕組みは分かりませんが、奇妙に感じたことを覚えております。
さて、肉人形はマドゥーニーを出てから、人の形を捨て去りました。
いきなり白目を剥いたかと思ったら、ガクガクと身体を揺らしながら、その姿形が変化していったのです。
……足が多数あれば良いというものではない、と思ったのですが。
……なんというか。
曰く言いがたい形状の、多脚生物となって、ワサワサと……。
予想外に素早い動きで、とにかく不気味でした。
いつしか道を外れ。
山道ですら無い、道無き道をひたすら追いかけましたが。
ボロボロと肉片をこぼしながら行くので、追跡は容易でした。
道しるべが腐った肉片、というのもかなりイヤなモノでしたが……。
32
あなたにおすすめの小説
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
貴方のために
豆狸
ファンタジー
悔やんでいても仕方がありません。新米商人に失敗はつきものです。
後はどれだけ損をせずに、不良債権を切り捨てられるかなのです。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
【完結】ゲーム開始は自由の時! 乙女ゲーム? いいえ。ここは農業系ゲームの世界ですよ?
キーノ
ファンタジー
私はゲームの世界に転生したようです。主人公なのですが、前世の記憶が戻ったら、なんという不遇な状況。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか。
ある日、我が家に勝手に住み着いた平民の少女が私に罵声を浴びせて来ました。乙女ゲーム? ヒロイン? 訳が解りません。ここはファーミングゲームの世界ですよ?
自称妹の事は無視していたら、今度は食事に毒を盛られる始末。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか?
私はどんな辛いことも頑張って乗り越えて、ゲーム開始を楽しみにいたしますわ!
※紹介文と本編は微妙に違います。
完結いたしました。
感想うけつけています。
4月4日、誤字修正しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる