目標:撤収

庭にハニワ

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はんぶん。

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ギルド長はコメカミに指先を当てて、深く、深~くため息を一つ。
知らなかったことにするには事が大き過ぎ、だよな~。

「他人事みたいに言わないでくれるかしら?」

じとっとした目線を、こっちに向けてくるギルド長。
ジェイはリーランさんに捕まって。

「じゃ、君がその錬金術師について知ってること、洗いざらい全部話して貰おうかな~? ギルド長~、地下の説教部屋使いますよ~。あと、書記係に1人」
「何でも自由に使いなさいな。どう動くにしても、情報は取っておかなきゃ、ね」

リーランさんの要望に、あっさりと許可を出すギルド長。
めっちゃ不安そーなジェイは、パンダに連れられて行った……。

あー。
メシは差し入れるからな~。
とりあえず、頑張って知ってるコトすべて吐け。
悪いよーにはしないって……多分。

「最後の一言は余計だと思うよ」

ミヤさんは、本当にツッコミが細かいな。



まあ、それはそれとして。

ギルド長、どう思った?

「ライカンにしては子供っぽいわね。ウチのリーよりも年下って感じかしら?あの子、いくつなの?」
「72歳だったよね」

ミヤさんが答えると、ギルド長は。

「若い……というより幼いわね。外見がそこそこ育ってるのは、親を人質に取られて必死になったせいかしらね? あぁでも獣人種のライカンは、確か300年前後の寿命だったはずだから、妥当な成長率かしらね。心の方はあまり成長してないようだけど、これは仕方ないわね。状況が状況だったようだし」

ギルド長は、またもため息。
幸せが逃げるぞ。

「……ため息ぐらい、好きにつかせてちょうだい。なかなかの問題なんだから。……ギルドの手に余るかも。国が出てくる……ひょっとしたら、一国じゃ済まないかもね。イケナイお遊び専用の人獣娼館、今では各国の王都には必ずと言っていいほど有るんだから。国の上層部を取り込んだヤカラには、手出ししにくいわ」

ありゃ。
変態のクセに策士だったってコトか?
自分がやらかしてるコトが世間にバレても、各国の上層部にお得意様がいるんなら……。
そりゃギルドとしちゃ動きにくいわな。

むう、と考え込む俺ら2人とギルド長。

……しばし沈黙。

……あ。

なあミヤさん。
あの変態、土下座知ってたよな?

「……あ」

ミヤさんも気付いたか。

ギルド長は不思議顔。

「なあに? 土下座って、確か30年くらい前から貴族階級に広まった、最上級の謝罪、又は懇願の仕方でしょう?」

小首かしげて言うギルド長。
うん、可愛くはない、かな。



とりあえず、それはそれとして。

「土下座って、ウチの世界にある謝罪方法なんですけどね。とある地域特有のモノでして。それを知ってる……意味も正確に知ってるってコトは。……変態錬金術師は異世界出身ってコトになりませんかね?」
「異世界人と言っても、同じ世界から来たとは限らないけどね。ジェイの話では、50年ぐらい前に急に現れたらしいし。それからずっと同じ姿だそうだよ。もしも僕らと同じ世界出身だったら、既に人の枠からは逸脱してることになるね」

ここでミヤさんは、ニヤリ、と笑って。

「出身世界はともかくとして。異世界人同士のケンカってコトで、なんとかなるんじゃないですかね?」

呆気に取られるギルド長に畳み掛ける。

「友人の母親が監禁されてる。それを助けに行ったら魔物が居たから、ついでに討伐したってカンジで。……まあ変態のやってるコトがコトだし? 邪魔してきたら、それなりに対応しますけど」
「……殺らなきゃいいよね? とりあえずは半殺し程度で」

俺はそこでワザと言った。

「え、半分にして殺していいの?」
「……君分かってて言ってるよね? 半分だけ殺すんだよ」
「どっちもダメよ! ……そんなキレイな顔してるくせに、本っ当に物騒な子達ね……」

ギルド長に、呆れられてしまった。

……何回目だ? コレ。







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