235 / 374
はんぶん。
しおりを挟む
ギルド長はコメカミに指先を当てて、深く、深~くため息を一つ。
知らなかったことにするには事が大き過ぎ、だよな~。
「他人事みたいに言わないでくれるかしら?」
じとっとした目線を、こっちに向けてくるギルド長。
ジェイはリーランさんに捕まって。
「じゃ、君がその錬金術師について知ってること、洗いざらい全部話して貰おうかな~? ギルド長~、地下の説教部屋使いますよ~。あと、書記係に1人」
「何でも自由に使いなさいな。どう動くにしても、情報は取っておかなきゃ、ね」
リーランさんの要望に、あっさりと許可を出すギルド長。
めっちゃ不安そーなジェイは、パンダに連れられて行った……。
あー。
メシは差し入れるからな~。
とりあえず、頑張って知ってるコトすべて吐け。
悪いよーにはしないって……多分。
「最後の一言は余計だと思うよ」
ミヤさんは、本当にツッコミが細かいな。
まあ、それはそれとして。
ギルド長、どう思った?
「ライカンにしては子供っぽいわね。ウチのリーよりも年下って感じかしら?あの子、いくつなの?」
「72歳だったよね」
ミヤさんが答えると、ギルド長は。
「若い……というより幼いわね。外見がそこそこ育ってるのは、親を人質に取られて必死になったせいかしらね? あぁでも獣人種のライカンは、確か300年前後の寿命だったはずだから、妥当な成長率かしらね。心の方はあまり成長してないようだけど、これは仕方ないわね。状況が状況だったようだし」
ギルド長は、またもため息。
幸せが逃げるぞ。
「……ため息ぐらい、好きにつかせてちょうだい。なかなかの問題なんだから。……ギルドの手に余るかも。国が出てくる……ひょっとしたら、一国じゃ済まないかもね。イケナイお遊び専用の人獣娼館、今では各国の王都には必ずと言っていいほど有るんだから。国の上層部を取り込んだヤカラには、手出ししにくいわ」
ありゃ。
変態のクセに策士だったってコトか?
自分がやらかしてるコトが世間にバレても、各国の上層部にお得意様がいるんなら……。
そりゃギルドとしちゃ動きにくいわな。
むう、と考え込む俺ら2人とギルド長。
……しばし沈黙。
……あ。
なあミヤさん。
あの変態、土下座知ってたよな?
「……あ」
ミヤさんも気付いたか。
ギルド長は不思議顔。
「なあに? 土下座って、確か30年くらい前から貴族階級に広まった、最上級の謝罪、又は懇願の仕方でしょう?」
小首かしげて言うギルド長。
うん、可愛くはない、かな。
とりあえず、それはそれとして。
「土下座って、ウチの世界にある謝罪方法なんですけどね。とある地域特有のモノでして。それを知ってる……意味も正確に知ってるってコトは。……変態錬金術師は異世界出身ってコトになりませんかね?」
「異世界人と言っても、同じ世界から来たとは限らないけどね。ジェイの話では、50年ぐらい前に急に現れたらしいし。それからずっと同じ姿だそうだよ。もしも僕らと同じ世界出身だったら、既に人の枠からは逸脱してることになるね」
ここでミヤさんは、ニヤリ、と笑って。
「出身世界はともかくとして。異世界人同士のケンカってコトで、なんとかなるんじゃないですかね?」
呆気に取られるギルド長に畳み掛ける。
「友人の母親が監禁されてる。それを助けに行ったら魔物が居たから、ついでに討伐したってカンジで。……まあ変態のやってるコトがコトだし? 邪魔してきたら、それなりに対応しますけど」
「……殺らなきゃいいよね? とりあえずは半殺し程度で」
俺はそこでワザと言った。
「え、半分にして殺していいの?」
「……君分かってて言ってるよね? 半分だけ殺すんだよ」
「どっちもダメよ! ……そんなキレイな顔してるくせに、本っ当に物騒な子達ね……」
ギルド長に、呆れられてしまった。
……何回目だ? コレ。
知らなかったことにするには事が大き過ぎ、だよな~。
「他人事みたいに言わないでくれるかしら?」
じとっとした目線を、こっちに向けてくるギルド長。
ジェイはリーランさんに捕まって。
「じゃ、君がその錬金術師について知ってること、洗いざらい全部話して貰おうかな~? ギルド長~、地下の説教部屋使いますよ~。あと、書記係に1人」
「何でも自由に使いなさいな。どう動くにしても、情報は取っておかなきゃ、ね」
リーランさんの要望に、あっさりと許可を出すギルド長。
めっちゃ不安そーなジェイは、パンダに連れられて行った……。
あー。
メシは差し入れるからな~。
とりあえず、頑張って知ってるコトすべて吐け。
悪いよーにはしないって……多分。
「最後の一言は余計だと思うよ」
ミヤさんは、本当にツッコミが細かいな。
まあ、それはそれとして。
ギルド長、どう思った?
「ライカンにしては子供っぽいわね。ウチのリーよりも年下って感じかしら?あの子、いくつなの?」
「72歳だったよね」
ミヤさんが答えると、ギルド長は。
「若い……というより幼いわね。外見がそこそこ育ってるのは、親を人質に取られて必死になったせいかしらね? あぁでも獣人種のライカンは、確か300年前後の寿命だったはずだから、妥当な成長率かしらね。心の方はあまり成長してないようだけど、これは仕方ないわね。状況が状況だったようだし」
ギルド長は、またもため息。
幸せが逃げるぞ。
「……ため息ぐらい、好きにつかせてちょうだい。なかなかの問題なんだから。……ギルドの手に余るかも。国が出てくる……ひょっとしたら、一国じゃ済まないかもね。イケナイお遊び専用の人獣娼館、今では各国の王都には必ずと言っていいほど有るんだから。国の上層部を取り込んだヤカラには、手出ししにくいわ」
ありゃ。
変態のクセに策士だったってコトか?
自分がやらかしてるコトが世間にバレても、各国の上層部にお得意様がいるんなら……。
そりゃギルドとしちゃ動きにくいわな。
むう、と考え込む俺ら2人とギルド長。
……しばし沈黙。
……あ。
なあミヤさん。
あの変態、土下座知ってたよな?
「……あ」
ミヤさんも気付いたか。
ギルド長は不思議顔。
「なあに? 土下座って、確か30年くらい前から貴族階級に広まった、最上級の謝罪、又は懇願の仕方でしょう?」
小首かしげて言うギルド長。
うん、可愛くはない、かな。
とりあえず、それはそれとして。
「土下座って、ウチの世界にある謝罪方法なんですけどね。とある地域特有のモノでして。それを知ってる……意味も正確に知ってるってコトは。……変態錬金術師は異世界出身ってコトになりませんかね?」
「異世界人と言っても、同じ世界から来たとは限らないけどね。ジェイの話では、50年ぐらい前に急に現れたらしいし。それからずっと同じ姿だそうだよ。もしも僕らと同じ世界出身だったら、既に人の枠からは逸脱してることになるね」
ここでミヤさんは、ニヤリ、と笑って。
「出身世界はともかくとして。異世界人同士のケンカってコトで、なんとかなるんじゃないですかね?」
呆気に取られるギルド長に畳み掛ける。
「友人の母親が監禁されてる。それを助けに行ったら魔物が居たから、ついでに討伐したってカンジで。……まあ変態のやってるコトがコトだし? 邪魔してきたら、それなりに対応しますけど」
「……殺らなきゃいいよね? とりあえずは半殺し程度で」
俺はそこでワザと言った。
「え、半分にして殺していいの?」
「……君分かってて言ってるよね? 半分だけ殺すんだよ」
「どっちもダメよ! ……そんなキレイな顔してるくせに、本っ当に物騒な子達ね……」
ギルド長に、呆れられてしまった。
……何回目だ? コレ。
32
あなたにおすすめの小説
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
貴方のために
豆狸
ファンタジー
悔やんでいても仕方がありません。新米商人に失敗はつきものです。
後はどれだけ損をせずに、不良債権を切り捨てられるかなのです。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
【完結】ゲーム開始は自由の時! 乙女ゲーム? いいえ。ここは農業系ゲームの世界ですよ?
キーノ
ファンタジー
私はゲームの世界に転生したようです。主人公なのですが、前世の記憶が戻ったら、なんという不遇な状況。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか。
ある日、我が家に勝手に住み着いた平民の少女が私に罵声を浴びせて来ました。乙女ゲーム? ヒロイン? 訳が解りません。ここはファーミングゲームの世界ですよ?
自称妹の事は無視していたら、今度は食事に毒を盛られる始末。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか?
私はどんな辛いことも頑張って乗り越えて、ゲーム開始を楽しみにいたしますわ!
※紹介文と本編は微妙に違います。
完結いたしました。
感想うけつけています。
4月4日、誤字修正しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる