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【第九話 楽しい食事会】
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ナツの二の八。
この日の夜、里では一月ぶりに食事会が開かれていた。
どこかから連れてこられた人間を食す会。
《彼らが洞窟の外の世界で捕獲されて、ここまで連れてこられた人間だということは、里の限られた人物しか知らなかった。もちろんこの時のアキも知らない情報だった》
僕たち里の人間は、洞窟から来た人間を、家畜でご馳走だと思っている。
なるべく家畜たちが苦しまないように、食事会の前に、あの青い花のつぼみから抽出したエキスをたっぷりと使わせてあげるらしい。
家畜たちは、逃げ出さないように足枷をつけられて、縄で繋がれていた。
すでに青い花から抽出した黒い塊の煙を吸わされていたみたいで、家畜たちは意識が朦朧としていた。
そして、僕たちのご馳走は、里の中央の広場に集められた。
中央の広場には、すでにたくさんの人たちが並んで、ご馳走を待ち侘びていた。
里長のアオが合図をすると、里の人間たちがご馳走にむらがっていった。
家畜たちは、すぐに里の人間たちに食べられていった。
おそらく、意識が朦朧として、悲鳴を上げることすら出来ない家畜たちには、何が起きているのかすらわからないと思う。
そして、食事会の後には、家畜の骨だけが散乱していた。
私たちは、定期的にあの家畜たちを食べることで、健康を保っている。だから、これは大切な食事なんだよと、父さんは僕に教えてくれた。
食事会の時だけは、僕たちは本来の姿になることが許される。
でも僕は、この姿を気に入ってはいなかった。
この姿になると、僕の心の中の本能が抑えられなくなる気がしたからだ。
それに、僕の父さんや母さん、大好きな姉様たち、ミトたちや里の大人たちが、欲望の赴くままに家畜たちに喰らいつく姿を見るのが嫌だった。
だから、僕はこの食事会が嫌いだったんだ。
そして、あの家畜たちは、多分だけど、レオとは違う。
レオは家畜と同じ見た目だけど、レオの身体の中からは、あの家畜たちには無い特別な何かを感じるんだ。
それが何かはわからない。
でも、だからこそ、僕は、レオが大好きになったんだと思う。
この日の夜、里では一月ぶりに食事会が開かれていた。
どこかから連れてこられた人間を食す会。
《彼らが洞窟の外の世界で捕獲されて、ここまで連れてこられた人間だということは、里の限られた人物しか知らなかった。もちろんこの時のアキも知らない情報だった》
僕たち里の人間は、洞窟から来た人間を、家畜でご馳走だと思っている。
なるべく家畜たちが苦しまないように、食事会の前に、あの青い花のつぼみから抽出したエキスをたっぷりと使わせてあげるらしい。
家畜たちは、逃げ出さないように足枷をつけられて、縄で繋がれていた。
すでに青い花から抽出した黒い塊の煙を吸わされていたみたいで、家畜たちは意識が朦朧としていた。
そして、僕たちのご馳走は、里の中央の広場に集められた。
中央の広場には、すでにたくさんの人たちが並んで、ご馳走を待ち侘びていた。
里長のアオが合図をすると、里の人間たちがご馳走にむらがっていった。
家畜たちは、すぐに里の人間たちに食べられていった。
おそらく、意識が朦朧として、悲鳴を上げることすら出来ない家畜たちには、何が起きているのかすらわからないと思う。
そして、食事会の後には、家畜の骨だけが散乱していた。
私たちは、定期的にあの家畜たちを食べることで、健康を保っている。だから、これは大切な食事なんだよと、父さんは僕に教えてくれた。
食事会の時だけは、僕たちは本来の姿になることが許される。
でも僕は、この姿を気に入ってはいなかった。
この姿になると、僕の心の中の本能が抑えられなくなる気がしたからだ。
それに、僕の父さんや母さん、大好きな姉様たち、ミトたちや里の大人たちが、欲望の赴くままに家畜たちに喰らいつく姿を見るのが嫌だった。
だから、僕はこの食事会が嫌いだったんだ。
そして、あの家畜たちは、多分だけど、レオとは違う。
レオは家畜と同じ見た目だけど、レオの身体の中からは、あの家畜たちには無い特別な何かを感じるんだ。
それが何かはわからない。
でも、だからこそ、僕は、レオが大好きになったんだと思う。
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