明日、またキミに会えたら

長月

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〜3話〜 ヒグラシの鳴き声

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窓からのほんの少しの明るさで起きてしまい、
スマホを覗くとまだ5時半
彩芽と出会ってかなり『7月11日』は
変わったのかもしれない。
かなり暇ということもあり、下に降りて
カレーパンをゆっくりと食べながらKINE(LINE的な)
で昨日彩芽と交換した連絡先を見る
ん?連絡先を見る…?
                       ・・
おかしい!?今日は更新されているはずだから、
この連絡先は消えているはずだと思っていた…
なぜ残っているんだ…?
もしかしたら彩芽と出会った事で
この謎の現象自体が変わっているのかもしれない…
色々考えて、暫くして時計を見ると6時半
「偶には余裕もって出てみるか…」
独り言を呟きながら歩き出すと足に何かがぶつかる。
ふと下を見ると倒れた兄が…!
「に、兄ちゃん!?」
僕が驚いて叫ぶと
「うるせぇなぁ…寝てるんだよぉ…」
と面倒臭そうに返事が返ってきた。
心配した気持ちを返してくれ
外に出て自転車に跨り風を切って坂を下る。
いつもは少し寒いと感じる風も、
今日は心地良いと思えた。
学校に着いて彩芽に話しかける。
「僕の事覚えてる?」
「覚えてるねん、けど…それ以前に聞きたい事が沢山あるねん…」
僕が首を傾げると彩芽は
「まさか本当に同じ日が続くとか思わへんやん…?」
彼女が突き出してきたスマホの画面には、はっきりと
7月11日の表記がされている。
「僕もよくわかんない…けど理解者が居るだけで
心が楽になってさ!」
「私からしたら巻き込まれた以外の
なんでもないんやけど…」
でもまぁ…と彩芽が続ける
「アイス無限に奢って貰えるって事やな」
僕が思わず「え」と声を漏らし
「減るもんじゃないんやから、な!
私が死ぬまで奢ってな!」
笑いながらそう言う彩芽に
「嫌だよ!?絶対に嫌だよ!?」
と全力で否定をする。
謎の現象が起きてもう既に何年も経ってしまい、
人と話す事も飽きてしまってしたのに、
彩芽のお陰で少し前向きになれた気がする。
「ありがとう」
と声を漏らすと
「んえぇ!?
あ、いや気持ち悪いで!急に!」
と素っ頓狂な声を上げててすこし面白かった。
あっという間に学校は終わり生徒が
どんどん帰っていく、心無しか
『ヒグラシ』の鳴き声が聞こえた気がした。
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