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期末試験の結果

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 金曜日の帰りのホームルームで、小川が期末試験の成績表を配った。
 みらいはそれを祈るような気持ちで受け取った。どうかよい成績でありますように!
 学年順位は211位だった。中間試験の243位より上がっている。
 成績別クラスは文系はガンマ2から1に上がっていたが、理系はガンマ2のままだった。
「いい成績じゃない!」それを見て、樹子が言った。
「うん。わたしとしては、悪い成績ではないと思う。でも理系クラスは上がれなかった。お母さんがどう思うかわからない……」
「そうね……。今日は早く帰って、お母さんにそれを見せなよ。何かあったら、相談してね」
「うん、わかった。何かあったら、樹子に頼るよ!」
「任せなさい!」
 樹子は笑ったが、内心は不安だった。未来人のお母さん問題が再燃しませんように、と願っていた。
 みらいは帰宅し、母に成績表を見せた。
「…………。順位は上がったのね。でも、理系クラスは現状維持。上がれなかったのね……」
 母はじっと紙を見つめていた。
「まあいいわ。順位は上がったんだしね。次はもっとがんばりなさいよ!」
「うん。授業料は払ってもらえる?」
 母はきょとんとして、みらいを見た。
「まだそんなことを心配していたの?」
「心配だよ! ものすごく心配しているよ!」
 母はやさしく笑った。
「みらいが真面目に勉強している限り、授業料は払ってあげるわ。もうあんまり心配しなくていいわよ」
「心配しなくていいの?」
「真面目にやっていればね」
「真面目にやるよ! お母さん、ありがとう!」
 みらいは心の底からほっとしていた。
「今夜のおかずはハンバーグよ」
「やった! お母さんのハンバーグ大好き!」
 みらいは自室へ行き、リラックスして椅子に座った。
 樹子に録音してもらったロックバンドはっぴいえんどのアルバム『風街ろまん』をラジカセで聴いた。
『風をあつめて』は名曲だなあ、と思った。
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