中学生小説

みらいつりびと

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微人類の侵略 第2話 心臓を狙え

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 微人類は巨人類の体内を調べた。
「全身の血管が集まっている器官がある」
「心臓だ。我ら微人類にもある。巨大な心臓だ」
「心臓が停止すれば我らは死ぬ。巨人類もおそらく」
 微人類は心臓に集結し、その小さな手を使って、カリカリと巨人類の心臓を搔きむしった。
 微人類1体だけならどうということはなかっただろう。
 しかし1万体が同時攻撃した。
 巨人類は心不全を起こして死んだ。

「殺せる」
「1万体の同時心臓攻撃で殺せる」
「巨人類を殺せる」

 この星を原住人類は地球と呼んでいた。
 地球人類の間に奇妙な心不全が広がり、多くの人間が死ぬようになった。
 若く健康だった人間も死ぬ。
 地球全体で人々がバタバタと死んでいった。
 医師たちがこの心不全を調査した結果、死亡者の心臓から未知の微生物が多数発見された。
 ある医師がこの微生物をクラストオプシスと名づけた。
 病名はクラストオプシス寄生病。
 クラストオプシスはなぜか心臓に集まり、心臓に打撃を与えるのだ。
 少し寄生されたぐらいなら心不全を起こすことはないが、1万個体以上に寄生されると死亡する。
 その数に寄生されると、致死率はほぼ100パーセント。
 ウイルスでも細菌でもない。
 ワクチンもなく、有効な薬もない。
 クラストオプシスを電子顕微鏡で見ると、奇妙なぐらい人体に似ていた。

 微人類の増殖スピードはすさまじい。
 極小微生物を食べて成長し、体積が2倍になると分裂して増える。
 1日1回分裂できる。
 1体が2体に、2体が4体に、4体が8体に増える。
 奥多摩への隕石落下から365日後、微人類は地球全体に拡散し、その数を1000兆体に増やしていた。
 巨人類への攻撃をつづけた。
 巨人類はマスクをつけるなどして抵抗したが、微人類は耳の穴からも侵入した。
 それに巨人類は水を飲んだり、食事をしたりするときにはマスクをはずす。
 そのときに口や鼻から侵入できる。
 微人類は知性を持っている。
 彼らは巨人類を調べ尽くし、その生態を把握し、弱点である心臓を集中攻撃した。
 最後の1個体まで。
 隕石が落下して、地球が太陽の周囲を2回まわったころ、巨人類は滅亡していた。

 地球は微人類の星となった。
「ここは我らの星」
「我らはこの星の自然を破壊しない」
「我らはこの星の自然を守る」
「極小微生物を食い尽くすこともない」
「適正数しか食べない」
「我らは異常な増殖はしない」
 地球人類の根絶という目標を達成し、微人類は増殖を停止し、減少へと転じた。
 1兆体が適正人口であると判断し、その数を維持した。
 その後、地球環境は良好なまま推移した。
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