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あの男が殺されたことにより、きょうだいから“人を殺しにいく空気”は出なくなった。
それで初めて、全員があの男をそれほど憎んでいたというのを知った。



「よかったな、あの人にまた会えるだろ。」



「でも、あたしまだ可愛い女の子になれてないからな~!!」



「明はちゃんと女になれただろ。」



「“女”じゃなくて、“可愛い女の子”じゃないといけないの!!
オーシャン、“可愛い女の子”が好きなんだって!!」



「明は“女の子”だから大丈夫だろ?」



「それって、剛士の場合は“処女”って意味でしょ?
そうじゃなくて~!!!」



あたしがそう言うと、剛士は大きな声で笑っていた。
“アヤメ”の時にこんなに笑ったのは、あたしと初めて出会った時だけ。



“剛士”はこんなに大きな声で笑えるようになった。
幸せな空気で・・・。
凄い凄い幸せな空気で・・・。



「それにしても、これでオーシャンって読むのか・・・。
すげー名前だな・・・。」



「羨ましいよね~?」



剛士がパソコンで社員情報を見ながら、また大笑いをした。
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