【完】可愛くて美味しい真理姉

Bu-cha

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社会人1年目、春・・・。



「和雄!そろそろ諦めよう!!」



高校や大学だけではなく、俺が入社をした父さんの会社にまでついてきた増田。
研修を終えた帰りの最寄り駅まで一緒なので、最寄り駅に着いてから今日もそう言ってきた。



「俺が小学校の奴らに声掛けて岩渕さんの連絡先ゲットしてくるから!」



中学以降、何度言われたか分からないその言葉を今日も言われる。



それを言われる度に・・・



“岩渕さん”のことを思い出す・・・。



「お前、それ絶対わざとだろ!!
わざと“岩渕さん”のこと忘れないようにしてきてるだろ!!」



「それはそうだよ!
あんなに大好きだったのに離れて、俺は初めて和雄に呆れたからね!」



「俺の代わりに、“好きな子いるから”って女の子に言うのマジでやめろ。」



「岩渕さん以上の女の子なら言わないけど、そうじゃない女の子達が和雄のこと狙ってたら言うでしょ!
同期だけじゃなくて女の先輩達まで和雄のこと狙ってるし!
将来の社長様だしね~。」



増田がそう言いながら、俺の隣に並び駅の出口を出た。



「小学生だったけどね、岩渕さん。
なのに岩渕さん以上に可愛い女の子ってなかなかいないよね。
なのにっていうか・・・小学生の頃のままで岩渕さんの記憶は止まってるから、大人の女の子達よりは可愛く思っちゃうのか。」



「そうなのかもな。」



増田にテキトーに返事をすると、増田が気持ちが良いくらいの笑顔で笑う。



「今度俺が岩渕さんとばったり会ったら、連絡先聞くからね!!
土日にドラッグストアでよく見掛けるよ!!」



「・・・なんでお前が頻繁にばったり会ってるんだよ!!」



小学生の頃はよく街でもばったりと会っていた・・・。
中学に入ってからも、増田はよく“岩渕さん”を見掛けていたらしい。
何故か俺は全然ばったり会えなくて・・・。



小学校の卒業式の日の約束は、まだ守れずにいた・・・。
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