上 下
102 / 304
7

7-9

しおりを挟む
「全部、見たことがないお酒。」



宝多米店のお酒だけが置いているこのお店で、結子が驚いている。
そんな結子には駿も私も驚く。



「さっきもうちのお店のお酒を見て、売れるお酒だけを置いてるのが分かってたの。
美味しいお酒ではなくて売れるお酒を置いてるって。」



「そうなんだ。」



「うん、私はそういうことは勉強させられてる。
だからそういうことは分かる。」



結子がそう言って、宝多米店の純米酒を見ていく。
そして、駿はゆっくりと立ち上がり結子の隣に並んだ。



「試飲してみる?」



「え!?まだ高校生だよ!?」



「俺達はもっと小さい頃からそういう勉強もさせて貰ってる。
目で見るだけじゃ分からないでしょ?」



「それはそうだけど・・・。」



「パパに怒られちゃう?」



駿がそんなことを言って、少しバカにしたような顔で結子のことを見た。



「こんな商店街に来たこともパパに怒られちゃうんじゃないの?
結子、わざわざ公立の高校に何しに来たの?」



駿がバカにした顔で結子を見下ろす。
そしたら結子はムッとした顔になり、口を開いた。



「試飲してみる。」



「そうこなくっちゃ。」
しおりを挟む

処理中です...