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呼吸を整えている俺を大笑いしながら長峰は見てきて、それには俺も笑う。



そんな俺の笑顔を見て長峰は少し身構えた。
俺の考えに少しは気付いているのか、バカ舌どころか素晴らしすぎた舌を駆使してきた長峰に俺からまた近付く。



「え、なに?もう終わりでしょ?」



「まだじゃない?
俺のまだこんなになってるし。」



「・・・なんでまだそんなになってるの?」



「全然気持ち良くなかったんじゃない?」



「それは嘘偽!!!
いちいちめちゃくちゃ反応しまくってたじゃん!!
宝田があんなになるの逆にビックリしたし!!!」



それについては内心恥ずかしくなりながら、それにはバレないように笑った。



「でも、俺のはまだ実際こんな風になってるし。
長峰は何度もなってたし、やっぱり俺の勝ちか。」



「私だって別にそんなに気持ち良くなかったから!!」



バカ舌だけど素晴らしくもある舌なので、そう言ってきた。
心の中で笑いながら、俺は引き出しから避妊具を取り出した。
それも、大量にある避妊具から1つを・・・。



「それ・・・どうしたの?買ったの?」



案の定、長峰はめちゃくちゃ驚いている。
それには俺も笑いながら頷いた。



「竜さんから会う度に渡されるんだよ。」



「あの人、宝田にそんなことしてくるの?」



「俺だけじゃなくて、幼馴染み達も渡されてる。
“覚悟を決めてから子どもは作れ”って真剣な顔で言ってくるから、それには頷くしかないよね。
あの2人って実際離婚してるし、竜さんから言われると重いからさ。」



奇想天外なことをする竜さんのことは怖いだけであまり好きではなかったけれど、“あの女”が長峰の前に現れたそのタイミングで現れた竜さん。
タイミングを掴める男なのだと、正仁さんの言葉をあの時やっと理解した。



理解したし、あのタイミングで現れた竜さんのことは凄く格好良く見えた。
そして、俺には出来ない、力ずくで“あの女”を商店街から引き摺り出したその姿にも尊敬した。
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