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それには長峰は黙った。
俺はそれに胸が苦しくなりながら、長峰のことをまた抱き締めた。



雪枝は俺とは結婚したくない・・・。
そんなのは知っている。
そんなのはとっくに知っている。
早く言って・・・何か、言って・・・。



「私、結婚なんてしたくない・・・。
恋愛も結婚もよく分からない・・・。」



その言葉に俺は心の中で何度も頷く。



「だから仕方ないよね、子どもが出来てたとしても結婚しないで育てるしかないよ。」



「でも・・・そんなの良くない・・・。
子どもにとってはきっと良くない・・・。」



「大丈夫だよ、俺達仲が悪いわけじゃないし・・・。」



そう言ってから、雪枝を強く抱き締めたまま腰を早く動かしていく。
そしたら、雪枝の可愛い声と一緒に可愛い言葉まで飛び出してきた。



「宝田だって、私と結婚出来ないでしょ・・・!?」



「俺は出来るよ・・・。」



「嘘っ!・・・偽り!!」



「本当に、そんなの余裕で出来る・・・。
雪枝には出来ないだろうけど、俺はちゃんと夫にも父親にも器用になってみせるよ・・・。」



俺のそんな言葉に、雪枝が可愛い声を上げながら痙攣していく。
そこに俺の熱も注いでいく。



もう動くのを止め、俺は雪枝のことを見詰めた。



「長峰はバカ舌だからね、そんな難しいこと出来ないもんね。」



そう言った俺に、俺のを強く締め付けながら長峰は攻撃的な目で見てきた。



「私だって出来るし!!
子どもの前ではそれくらい出来るし!!」



「いやいや、長峰には無理でしょ。
バカ舌じゃん。」



「それくらい別に難しくないから!!
宝田の方が何だかんだ無理なんじゃない!?
拘り強すぎるし急に口調変わったりしてだるい夫と父親になるんじゃない!?」



「・・・はあ?それを言うなら長峰の方がいつもベッドでゴロゴロしてる妻と母親になるんじゃない!?」



「ならないし!!
子どもが出来たらちゃんとするし!!」



「俺だって子どもが出来たらダルいことしないし!!」



「私の方が宝田よりは結婚にも子育てにも向いてるから!!」



「はあ!?それは絶対ないだろ・・・って、あんまり締め付けないで・・・。」



急にトーンダウンした俺に雪枝が大笑いし、起き上がったかと思ったら今度は俺の上に乗って腰を動かし始めた・・・。



「私の方が結婚も子育ても向いてるってところ、証明する!!」



「俺だって、証明する・・・!!」



そう叫ぶように言ってから、下から雪枝のことを突き上げた。
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