【完】俺の顔を描いて1

Bu-cha

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その不細工な“何か”は、他の奴らみたいな絵ではなくて。
ああいう格好良い絵ではなくて。



まるで3コマ漫画に描かれているような絵の描き方で。



不細工な顔をした男。



そんな不細工な男は不細工に笑った顔をしている。



それも顔だけが描かれているわけじゃない。



胸の所まで描かれているわけじゃない。



何故か全身描かれていて。



その身体は・・・



その身体は・・・



3頭身だった・・・。



その3頭身の不細工な男は走っていた。
不細工な顔をして不細工な笑顔で、両手には駄菓子を持って、不細工な格好で走っていた。



それには衝撃を受けて、何も言えなかった。
喧嘩で年上の奴らからどんなに殴られたり蹴られたりしても、何の衝撃も感じないのに。



大人達からどんなに怒鳴られても何の衝撃も感じないのに。



みんなからどんな目で見られても何の衝撃も感じないのに。



嬉しそうな顔で、照れたような顔で、真っ白なはずの顔を少し赤くして俺を見上げてくる珠緒の顔に視線を移す。



珠緒には俺のことがこんなに不細工な男に見えていたらしい。
他の奴らのことは実物よりもずっと綺麗に格好良く見えているのに、俺のことはこんなに不細工な男に見えていたらしい。



衝撃を受けた。



それに、凄く強い衝撃を受けた。



胸が痛すぎて、息も吸えないくらいの衝撃を受けた。
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