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最後はゆっくりと、私の唇から自分の唇を離して・・・
私を怖いくらい真剣な顔で見詰め、もう1度軽めに唇を重ねた。
何も喋れず息だけ上がっている私に、この人は満足そうな顔で笑う。
「タバコの火は消さないで。」
「タバコの、火・・・?」
「君は社長に残された、たった1本の紙巻きタバコ。
きょうだいの中でも1番強い毒・・・」
そこで言葉を切り、片手で私の胸の谷間をなぞる・・・。
それに何度も身体が跳ねてしまう・・・。
「その強い毒を、この会社に吸い込ませて。
そして・・・社員達から吐き出させる。
吸い込んだタバコの毒を、仕事をする時に吐き出させる。」
あまりに強い目で、目が離せない・・・。
こんなに強い目を出来る人だとは、知らなかった・・・。
「だから、君はタバコの火を消さないで。
夜の世界だけでなく、この会社でも。
君というタバコの毒を、この会社に吐き出させるから。」
そう言って笑うこの人は・・・経営者だった・・・。
うちのクソ親父とは違う・・・。
裕福な家に生まれ育ったうちのクソ親父とは違う、きっと、違う・・・経営者だった・・・。
あのクソガキ・・・
とんでもない男を私に近付けさせたね・・・。
とんでもなく最低で、とんでもなく良い男で・・・。
こんなの、私には無理・・・。
私には重みがないから・・・。
重みがないから・・・。
引き寄せられてしまう・・・。
引き寄せられてしまう・・・。
こんなに簡単に、引き寄せられてしまう・・・。
お互いゆっくりと顔を近付け、唇を重ねた・・・。
「響ちゃん自身が吹き掛ける、吐き出すタバコの煙は、俺にだけで・・・。」
そう言って笑うこの人は・・・
あの夜、私が夢中になって求めた・・・
拓実だった・・・。
私を怖いくらい真剣な顔で見詰め、もう1度軽めに唇を重ねた。
何も喋れず息だけ上がっている私に、この人は満足そうな顔で笑う。
「タバコの火は消さないで。」
「タバコの、火・・・?」
「君は社長に残された、たった1本の紙巻きタバコ。
きょうだいの中でも1番強い毒・・・」
そこで言葉を切り、片手で私の胸の谷間をなぞる・・・。
それに何度も身体が跳ねてしまう・・・。
「その強い毒を、この会社に吸い込ませて。
そして・・・社員達から吐き出させる。
吸い込んだタバコの毒を、仕事をする時に吐き出させる。」
あまりに強い目で、目が離せない・・・。
こんなに強い目を出来る人だとは、知らなかった・・・。
「だから、君はタバコの火を消さないで。
夜の世界だけでなく、この会社でも。
君というタバコの毒を、この会社に吐き出させるから。」
そう言って笑うこの人は・・・経営者だった・・・。
うちのクソ親父とは違う・・・。
裕福な家に生まれ育ったうちのクソ親父とは違う、きっと、違う・・・経営者だった・・・。
あのクソガキ・・・
とんでもない男を私に近付けさせたね・・・。
とんでもなく最低で、とんでもなく良い男で・・・。
こんなの、私には無理・・・。
私には重みがないから・・・。
重みがないから・・・。
引き寄せられてしまう・・・。
引き寄せられてしまう・・・。
こんなに簡単に、引き寄せられてしまう・・・。
お互いゆっくりと顔を近付け、唇を重ねた・・・。
「響ちゃん自身が吹き掛ける、吐き出すタバコの煙は、俺にだけで・・・。」
そう言って笑うこの人は・・・
あの夜、私が夢中になって求めた・・・
拓実だった・・・。
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