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「それ、付き合ってくれることになった昨日も言ってたけど、本気で言ってたの?
2ヶ月くらい前までの彼女達とは腕を組んで歩いてるのを見たことあるし、エッチだってしてたんでしょ?」
「だから、たまたま昨日会った駅前でも言っただろ?
俺、そういうの無理になったって。
それでもいいなら付き合えるって言ったら、お前即答で“それでもいい”って答えてたのに速攻で約束破ってくるなよ。」
「だって・・・やっぱり、龍二の妹ちゃんは龍二の名前呼んで一緒に登下校までしてるのに、彼女の私が出来ないなんておかしいと思う。」
「杏は俺の妹だから俺の名前くらい普通に呼ぶし、こいつはヤバいくらい行きの満員電車では痴漢されるし、更にヤバいくらいの方向音痴だから帰りの電車では俺が一緒に帰ってるんだよ。
それはどの彼女の時も同じことで、そんなことまで彼女に口出しされるとかマジで無理だって。」
怖い顔と低い声を出しているけれど、そこまでのヤバさを龍二から感じないことに少し安心し、あたしは明るい声で口出しをする。
「龍二、あたし1人で帰るから。
谷・・・安藤さんもごめんね?
2人でよく話し合って。」
スマホをしっかりと手に持ち2人の傍を離れようとしたあたしの腕を、龍二がパッと掴んできた。
「そのアプリを使っても目的地に辿り着けたことがないのに、何寝惚けたこと言ってんだよ?
俺らが帰りに使ってる電車の最寄り駅を使ってる奴はいないから帰宅する奴らの道も出来てない。
どうやって1人で帰るつもりだよ。」
「今日は・・・みんなが使ってる電車の方を使うよ。
そっちの方が大回りにならない分少し早く帰れるし。」
「そっちの電車の帰りの時間は中学の奴らも使ってるから絶対に使うな。」
「でも、龍二と彼女の喧嘩の理由になるくらいなら、私はそっちの電車を・・・」
“そっちの電車を使うよ”
そう言おうとした私の腕を、龍二が痛いくらいに引っ張ってきた。
「こいつはもう彼女じゃない、元カノ。」
そんな酷いことを言っている龍二に引っ張られていた身体が、グッッ···と反対方向にも引っ張られた。
見てみると、谷間さんが両手で私の腕を掴んでいる。
「元カノ達みんなが言ってるよ?
格好良いし面白いし頼りにもなる龍二のことを妹ちゃんだって好きなのはうちらだって分かるけど、高校生にもなってお兄ちゃんとベッタリとか流石にキモいって。」
谷間さんが私のことを“キモい”と言ってきて、それには慌ててしまう。
「妹ちゃんがいつまで経ってもそんなんだから、龍二が妹ちゃんの傍から離れられないんじゃないの?
そろそろ龍二に迷惑掛けるのやめなよ。」
「うん、分かった、そうだよね、ごめんなさい。」
これ以上谷間さんが“何か”を言う前にあたしは謝り、龍二のことを見上げて笑った。
「龍二、とにかく今日は安藤さんとよく話し合って?」
「こいつと話すことなんてもう何もない・・・。
早く帰るぞ、杏・・・。
早く・・・早く、帰るぞ。」
龍二が苦しそうな顔で、限界そうな顔でそう言ってきたので、あたしはそれに頷こうとした。
安藤さんのことは可哀想だけど、これ以上は龍二がヤバそうなので早く帰ることがまずは先だと思った。
「じゃあ妹ちゃんも一緒で良いから、龍二ともう1度ちゃんと話したい。
このままだと絶対に妹ちゃんにとっても良くないもん。
いつまでもお兄ちゃんの龍二が一緒にいられるわけじゃないし。
それに龍二とこんなにベッタリしてたら妹ちゃんのことを狙ってる沢山の男子達にチャンスが・・っっい・・・・・・っっ」
谷間さんが何かを言い終える前に、私の腕を掴んでいた谷間さんの手を龍二が掴んだ。
「煩い・・・黙れ・・・・。」
私の目の前にある龍二の手が谷間さんの手首を握り潰すように、掴んだ・・・。
2ヶ月くらい前までの彼女達とは腕を組んで歩いてるのを見たことあるし、エッチだってしてたんでしょ?」
「だから、たまたま昨日会った駅前でも言っただろ?
俺、そういうの無理になったって。
それでもいいなら付き合えるって言ったら、お前即答で“それでもいい”って答えてたのに速攻で約束破ってくるなよ。」
「だって・・・やっぱり、龍二の妹ちゃんは龍二の名前呼んで一緒に登下校までしてるのに、彼女の私が出来ないなんておかしいと思う。」
「杏は俺の妹だから俺の名前くらい普通に呼ぶし、こいつはヤバいくらい行きの満員電車では痴漢されるし、更にヤバいくらいの方向音痴だから帰りの電車では俺が一緒に帰ってるんだよ。
それはどの彼女の時も同じことで、そんなことまで彼女に口出しされるとかマジで無理だって。」
怖い顔と低い声を出しているけれど、そこまでのヤバさを龍二から感じないことに少し安心し、あたしは明るい声で口出しをする。
「龍二、あたし1人で帰るから。
谷・・・安藤さんもごめんね?
2人でよく話し合って。」
スマホをしっかりと手に持ち2人の傍を離れようとしたあたしの腕を、龍二がパッと掴んできた。
「そのアプリを使っても目的地に辿り着けたことがないのに、何寝惚けたこと言ってんだよ?
俺らが帰りに使ってる電車の最寄り駅を使ってる奴はいないから帰宅する奴らの道も出来てない。
どうやって1人で帰るつもりだよ。」
「今日は・・・みんなが使ってる電車の方を使うよ。
そっちの方が大回りにならない分少し早く帰れるし。」
「そっちの電車の帰りの時間は中学の奴らも使ってるから絶対に使うな。」
「でも、龍二と彼女の喧嘩の理由になるくらいなら、私はそっちの電車を・・・」
“そっちの電車を使うよ”
そう言おうとした私の腕を、龍二が痛いくらいに引っ張ってきた。
「こいつはもう彼女じゃない、元カノ。」
そんな酷いことを言っている龍二に引っ張られていた身体が、グッッ···と反対方向にも引っ張られた。
見てみると、谷間さんが両手で私の腕を掴んでいる。
「元カノ達みんなが言ってるよ?
格好良いし面白いし頼りにもなる龍二のことを妹ちゃんだって好きなのはうちらだって分かるけど、高校生にもなってお兄ちゃんとベッタリとか流石にキモいって。」
谷間さんが私のことを“キモい”と言ってきて、それには慌ててしまう。
「妹ちゃんがいつまで経ってもそんなんだから、龍二が妹ちゃんの傍から離れられないんじゃないの?
そろそろ龍二に迷惑掛けるのやめなよ。」
「うん、分かった、そうだよね、ごめんなさい。」
これ以上谷間さんが“何か”を言う前にあたしは謝り、龍二のことを見上げて笑った。
「龍二、とにかく今日は安藤さんとよく話し合って?」
「こいつと話すことなんてもう何もない・・・。
早く帰るぞ、杏・・・。
早く・・・早く、帰るぞ。」
龍二が苦しそうな顔で、限界そうな顔でそう言ってきたので、あたしはそれに頷こうとした。
安藤さんのことは可哀想だけど、これ以上は龍二がヤバそうなので早く帰ることがまずは先だと思った。
「じゃあ妹ちゃんも一緒で良いから、龍二ともう1度ちゃんと話したい。
このままだと絶対に妹ちゃんにとっても良くないもん。
いつまでもお兄ちゃんの龍二が一緒にいられるわけじゃないし。
それに龍二とこんなにベッタリしてたら妹ちゃんのことを狙ってる沢山の男子達にチャンスが・・っっい・・・・・・っっ」
谷間さんが何かを言い終える前に、私の腕を掴んでいた谷間さんの手を龍二が掴んだ。
「煩い・・・黙れ・・・・。」
私の目の前にある龍二の手が谷間さんの手首を握り潰すように、掴んだ・・・。
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