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俺に抱き付いたまま眠ってしまった夏生を、グイッと抱き上げる。



「え・・・!?大丈夫ですか!?
私、手伝いますよ!!
そんな、お姫様抱っこなんて・・・!」



夏生の友達が驚きながら、俺に寄ってきてくれる。



「大丈夫、よくやってるし。」



「え!?」



「それより、ごめん。
俺の後ろのポケットから、お札出せる?」



夏生の友達に後ろを向き、ポケットからお札を出してもらう。



「それで、足りるかな?一応多めに持ってきたけど。」



「足ります足ります!ここ、普通の居酒屋なんで!!」



夏生の友達がお札を見ながら驚いている。



「お兄さん達、ごめんね。
夏生、こんなになっちゃったから先帰るね?
お金足りてるみたいだから、残ったら皆で使っちゃって?」



俺の言葉に男の人達は喜び、夏生の友達から渡されたお札を数えている。



そんな光景を見ていると、俺の首に回された両手にギュッと力が入った・・・。



個室の外をチラリと見ると、テーブル席の人達が興味津々な様子で見ている。




「ごめんね、タクシーで帰るんだけど、タクシー乗るまで一緒に待っててもらえるかな?」




と、夏生の友達にお願いをした。
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