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夏生との思い出を振り返りながら、出番までの時間を過ごした。



短くなった、自分の髪の毛を触る。



昨晩言われた、神崎社長からの条件の1つ。



早朝にヘアメイクさんが経営する美容室に行き、カットをしてもらった。
その時の言葉が、耳に残っている。



『こんなに可愛い目なのに、この瞳の中に、すごい強い“男”がいるよね?いつも思ってた。
この前、夏生ちゃんに会って納得したよ。
夏生ちゃんの目に、瞳に似てるよね。』



その時は何なのかよく分からなかったけど。
こうして夏生との思い出を振り返っていたら分かった。



俺の全ては夏生で出来ていて・・・ 



そして、俺の中には、夏生がいる・・・



いつだって、この右手を引っ張ってくれる夏生が、俺の中に・・・




スタッフの合図で、俺は足を踏み出す。




スポットライトの中へ・・・。





宗side......
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