紫柳学園モノガタリ

英(ハナブサ)

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過去編⑦〜気持ちに触れて〜

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「この学園には幼等部から入っている。あとはだな、、偶に弓道をやっている。

  これくらいで良いか。」


私の知らない事が一つ知れた!

「弓道をやってたんだね!

  私はやった事がないからわかんないけど、結構チカラがいるんだよね。

  一回やってみたいスポーツNo.1に入るかもなぁ」

紫柳くんが弓を引く姿を想像してクスッと笑ってしまう。


「じゃあさ、今度行かないか?

  
  教えてやる。」


「いいの?!

  あっ、、、でも、修弥様は、、?」


「大丈夫だ。こちらで対応するから。
じゃあ日程が決まり次第連絡する。

そういや、佐倉の携帯番号知らないな。
登録するからスマホ出せ。」


私は紫柳くんに言われた通りにスマホをカバンから取り出した。





嬉しい。紫柳くんと遊ぶんだ。

修弥様と違って、キリッとした冷たい顔をしているけど、とても温かい性格で、自分のしたいことがもう決まっているような目をしている。まだ、将来何がしたいのかよくわからないけど、その内話してくれるといいな。

そう思いながら修弥様の部屋へ向かう。



バンッ!!

「おい!」
急に修弥様の部屋のドアが開いて私の腕を掴んだ。

「お前、何故アイツの所にいた」


「、、、、、」
私は口ごもった。

紫柳くんとの約束を無かった事にしたくなくて、私は口を閉ざす。

   パンッ!!

「………っ!!」

私の左頬に痛みを感じ、そこで修弥様に左頬を叩かれたのだと理解した。

「何を!!「お前が悪いんだ!!」」

何をするんですか!と言おうとした私の言葉に重ねて、修弥様は私に怒りを露わにした。


「何でだ!!何故皆俺ではなくアイツを褒める。何故アイツばかり……!」


涙を流していたわけじゃない。
でも、そう言い残す修弥様はとても泣いているように見えて、とても苦しそうに見えた。


まるで、紫柳くんをみているみたいに。。。




壊れそうで脆い修弥様の側で支えてあげたい。
でも、私は紫柳くんの事を知って、もっと知ってあげたい。

そうだ。



だから裏切りじゃないんだ。

ごめんなさい。

こんな優柔不断な私を許して。。。


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