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44話 ソッケ王国特使は銀を運ぶ商人
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「パサウリス様、お久しぶりです」
「……ああ、エーヴァ」
東の大陸より銀を持ってきてくれる唯一の商人、それがこのフードの人物だ。
パサウリス・スカシ・アピメイラ公爵。名前だけかろうじて知り得たけど、他の情報が全く掴めなかった方だ。
私はバーツ様がどうやって銀細工を作っているか探ってこの人物に辿り着いた。国政を担っていたのをいいことに、唯一権力に物言わせて接触したのがこの人。
険しく高い山を越えて東の大陸から銀を持ってこれる人間はこのフードの人物だけだった。
「やっぱり銀細工師界隈では有名なんだね」
「ええ……ディーナ様、今特使と仰いました?」
「うん。ネカルタス王国からソッケ王国に派遣された特使がアピメイラ公爵だよ!」
「え?!」
「ま、魔法使い!?」
「うん」
あれ知らなかった? とディーナ様は爽やかに笑った。
私もバーツ様も知らない。銀を取引できればよかったからだ。それに鎖国している魔法大国ネカルタスの魔法使いが国外に出て東の大陸と貿易を営む商人をしているなんて想像できない。
「……城には行かないから」
「分かってますって。東の大陸に行くのもオッケーのままで、ソッケ王国への特使として、新しい銀と鉱石・魔石がとれるここを拠点に採取される全ての管理や流通をお願いするって話になったでしょう?」
この領地にとどまり、周辺諸国間で銀と鉱石・魔石の管理・取引等を行う監視役として任されたのが魔法大国ネカルタスの特使。
これなら公平性が保たれやすい。採取場領主の辺境伯が領地内のものとして管理するには独占という点で怪しいものだし、キルカス王国との国境でもあるからソッケ国のみで取り扱うのもデリケートな部分だった。いくら会談で平等が決まっても今後ちょっとしたことで傾く可能性のあるものがより盤石なものとなったと言っていい。
「じゃ、もう帰っていい?」
「こういう場が苦手なのは分かってますけど、もう少しいてください」
ディーナ様が軽くパサウリス様にお願いしてあっさりきいてもらえている。パサウリス様は取引相手を厳選する難しい商人として一部で有名だった。それをいとも簡単に距離を縮めている。これほど友好的な関係を築けて特使として着任するなら安泰だ。
魔石の収集という点で魔法大国ネカルタスも魔法使いが現場に特使として常駐していれば問題ないだろう。
「では、残りの部分詰めちゃいましょうか」
この魔法使いという特使の出現で一気に場が納得のいく空気になった。こういった部分で纏め上げる力もさすがディーナ様だ。
「ディーナ様、ありがとうございます」
会談が終わり、私はバーツ様と一緒にディーナ様の元へお礼を伝えに伺った。
「こちらこそありがとう。バーツとエーヴァが銀細工を広めてくれたおかげで認知度あがってて説明しやすかったよ」
すぐに諸島リッケリに戻るようだ。今日中に終わってよかった。
「何かあったのですか」
「約束があって。セモツ国と会談あるの」
「……え!?」
セモツ国と言ったら先の六ヶ国同盟を経て立ち向かった悪の根源で敗戦国だ。
「会談!?」
驚く私とバーツ様に対し、ディーナ様の隣に立つディーナ様の旦那様がうんうん頷いていた。
そうだろう驚くだろう当然だと言わんばかりに。
「王陛下から一任されてるから大丈夫!」
「一度失敗してますが」
「ヴォルムってばそういうことは言わなくていいよ」
それでも落ち込んだ様子も憂う様子もディーナ様にはない。
「ディーナ様は失敗しても続けるのですか」
「当然」
自信に満ちた佇まいと力強い瞳にどきりとする。
「何度でも話し合うよ。やれる限りやる」
「何度も?」
「うん。私が納得できるまで」
「!」
納得できるまで。
私の中で何かが解消した。
ディーナ様の言葉一つで、私が自分のやりたかったことに決着をつけた。
「ディーナ様、応援してます」
「ありがとう。そっちも落ち着いたら連絡ちょうだい」
「はい」
急ぐディーナ様と別れ、私とバーツ様は馬車に乗り一時滞在先へ戻る。
「バーツ、私やっと両親と話し合える気持ちになりました」
「……よかった」
「どこまでできるか分かりませんが、少しでも耳を傾けてくれるまでチャレンジしてみたいです」
「いいよ。エーヴァが納得するまで付き合うから」
ディーナ様は失敗しても話し続けると決意された。
私も両親との会話を諦めたくない。だから、ディーナ様のように何度でも話してみようと思う。
「……ああ、エーヴァ」
東の大陸より銀を持ってきてくれる唯一の商人、それがこのフードの人物だ。
パサウリス・スカシ・アピメイラ公爵。名前だけかろうじて知り得たけど、他の情報が全く掴めなかった方だ。
私はバーツ様がどうやって銀細工を作っているか探ってこの人物に辿り着いた。国政を担っていたのをいいことに、唯一権力に物言わせて接触したのがこの人。
険しく高い山を越えて東の大陸から銀を持ってこれる人間はこのフードの人物だけだった。
「やっぱり銀細工師界隈では有名なんだね」
「ええ……ディーナ様、今特使と仰いました?」
「うん。ネカルタス王国からソッケ王国に派遣された特使がアピメイラ公爵だよ!」
「え?!」
「ま、魔法使い!?」
「うん」
あれ知らなかった? とディーナ様は爽やかに笑った。
私もバーツ様も知らない。銀を取引できればよかったからだ。それに鎖国している魔法大国ネカルタスの魔法使いが国外に出て東の大陸と貿易を営む商人をしているなんて想像できない。
「……城には行かないから」
「分かってますって。東の大陸に行くのもオッケーのままで、ソッケ王国への特使として、新しい銀と鉱石・魔石がとれるここを拠点に採取される全ての管理や流通をお願いするって話になったでしょう?」
この領地にとどまり、周辺諸国間で銀と鉱石・魔石の管理・取引等を行う監視役として任されたのが魔法大国ネカルタスの特使。
これなら公平性が保たれやすい。採取場領主の辺境伯が領地内のものとして管理するには独占という点で怪しいものだし、キルカス王国との国境でもあるからソッケ国のみで取り扱うのもデリケートな部分だった。いくら会談で平等が決まっても今後ちょっとしたことで傾く可能性のあるものがより盤石なものとなったと言っていい。
「じゃ、もう帰っていい?」
「こういう場が苦手なのは分かってますけど、もう少しいてください」
ディーナ様が軽くパサウリス様にお願いしてあっさりきいてもらえている。パサウリス様は取引相手を厳選する難しい商人として一部で有名だった。それをいとも簡単に距離を縮めている。これほど友好的な関係を築けて特使として着任するなら安泰だ。
魔石の収集という点で魔法大国ネカルタスも魔法使いが現場に特使として常駐していれば問題ないだろう。
「では、残りの部分詰めちゃいましょうか」
この魔法使いという特使の出現で一気に場が納得のいく空気になった。こういった部分で纏め上げる力もさすがディーナ様だ。
「ディーナ様、ありがとうございます」
会談が終わり、私はバーツ様と一緒にディーナ様の元へお礼を伝えに伺った。
「こちらこそありがとう。バーツとエーヴァが銀細工を広めてくれたおかげで認知度あがってて説明しやすかったよ」
すぐに諸島リッケリに戻るようだ。今日中に終わってよかった。
「何かあったのですか」
「約束があって。セモツ国と会談あるの」
「……え!?」
セモツ国と言ったら先の六ヶ国同盟を経て立ち向かった悪の根源で敗戦国だ。
「会談!?」
驚く私とバーツ様に対し、ディーナ様の隣に立つディーナ様の旦那様がうんうん頷いていた。
そうだろう驚くだろう当然だと言わんばかりに。
「王陛下から一任されてるから大丈夫!」
「一度失敗してますが」
「ヴォルムってばそういうことは言わなくていいよ」
それでも落ち込んだ様子も憂う様子もディーナ様にはない。
「ディーナ様は失敗しても続けるのですか」
「当然」
自信に満ちた佇まいと力強い瞳にどきりとする。
「何度でも話し合うよ。やれる限りやる」
「何度も?」
「うん。私が納得できるまで」
「!」
納得できるまで。
私の中で何かが解消した。
ディーナ様の言葉一つで、私が自分のやりたかったことに決着をつけた。
「ディーナ様、応援してます」
「ありがとう。そっちも落ち着いたら連絡ちょうだい」
「はい」
急ぐディーナ様と別れ、私とバーツ様は馬車に乗り一時滞在先へ戻る。
「バーツ、私やっと両親と話し合える気持ちになりました」
「……よかった」
「どこまでできるか分かりませんが、少しでも耳を傾けてくれるまでチャレンジしてみたいです」
「いいよ。エーヴァが納得するまで付き合うから」
ディーナ様は失敗しても話し続けると決意された。
私も両親との会話を諦めたくない。だから、ディーナ様のように何度でも話してみようと思う。
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