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24話 急襲、大人向けロボ対戦
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その日、事が動いたのは夜だった。
そして先日どうしてここまで強烈なデレを見せた後に、試練を持ってくるのかと大聖女に文句を言いたくなる。
死にはしないけど試練はあるとは、恐らく今この状況だろう。
「?!」
ずずんという低い音と、大きな揺れ、結界に異常が感じられて飛び起きた。
派手な音が続く。
廊下を走り抜けながら窓の外を見ると火花が散り、爆発音まで聞こえてくる物騒な様子に眉を顰めた。
「トレゾール」
階段をおりる手前でトレゾールと合流して階下へ急いだ。
階下にはメゾンがいて、開放されたサンルームから庭に出て広く外の様子を見ている。
「メゾン! 何があったの」
「急襲、かな。まったく……気付かなかったよ」
いち早く気づける精霊達が遅れをとったらしい。
今はそれぞれが駆り出され、四方で各々の力のぶつかり合いが見てとれる。
「あけられてる」
「ああ、あれだよ」
指差した先、結界の外壁が一部崩され穴が空いていた。そこから魔がぞろぞろ入ってくる。
ちょっと最近数減ってたのに、あの数尋常じゃない。
というか、いくら私がぺーぺーの聖女だからって、そんな簡単に破られる結界作ってないのに。
「なに、そんなに強いわけ?」
「そうだね。今までとは比にならない」
レベル高い魔については熟練聖女対応で、別エリアに出やすかったはず。
私の配置された場所は新人聖女がよくあてられる魔のレベルも低く数が少ない場所なのに。
「このあたり沿岸の魔討伐もしたし、最近は数が少なかったのに」
御先祖様の言葉を借りれば、今までは嵐の前のなんとやらだったってこと?
私が御先祖様ばりにチートだったら、このあたりの魔なんて一掃できるんだけどね。
「皆は」
「問題ないよ。あちらも強いけど、僕らもただぼんやりしてたわけじゃない」
確かに対応は出来ている。
掠り傷ぐらいなら結界内、私の力で治しながら戦う事も可能。
「けど、おされてる」
「そう。数が圧倒的だよ。このままだと物量に押し切られる」
さて困った事になった。
あけられた結界の穴は二体の魔が抑え込んでいる。あの二体をどうにかしないことには結界は防げない。
けど、その穴の魔の対応は今いる子達では難しい。数が足りなすぎる。
ただこの危機的状況、私より精霊達が早く気付いたという事は、しっかり所がもう手を打っているはずだ。
つまるとこヴァンとかサリュあたりがオンブルに連絡を取っている事は容易に想像できる。
それでも時間が間に合うかは別問題。
「あ」
取りこぼした魔がこちらに真っ直ぐ向かってくる。
「主!」
今回の魔は随分しっかりと私を狙ってくるな。
そんなことをのほほんと考えていると、私の目の前の足元にトレゾールが現れ一吠え。
吠え声と共に土の中から勢いよく飛び出してくる綺麗な結晶がそのまま魔を貫いた。
「トレゾール、いい子」
足元にすり寄ってきた可愛い愛犬を撫でれば満足そうに目を細める。
この子何気なく有能すぎる。
「突破されてきてる」
「そうだね」
いくらここ最近で急激なレベルアップが出来ていても、数が多ければ逃してしまう数も自ずと増える。
入ってくる数が速く多すぎて、そして今の精霊の数では一人一人の持ち範囲が広すぎて対応に限界がある。
近くに雷が落ちる。わお、本当にレベル高いわ今回の魔。
結界の浄化作用が追い付かず、少しずつ結界内に瘴気が満ち始めた。
「さすがにこの数だと浄化しきれない、か」
「主」
結界内、聖女の力があれば瘴気も浄化でき、精霊が戦いやすい状態に整える事も出来る。
地の利が圧倒的にこちらにあるにも関わらず、瘴気が満ちていくのは時間がないと言う事だ。
「うーん……やっぱりあれか」
「待って、主」
そこにきて家を守っていたメゾンが隣に立つ。
彼がいる限り、魔の攻撃を受けても屋敷はそう壊れる事はない。
ただその防御をするが故に、メゾンはここから遠くへ行く事がかなわなかった。
「ここはいよいよ僕の出番だ」
「え?」
「見てて」
にっこり満面の笑みを向けられてすぐ、違った地響きと揺れに身体がぐらつく。
変わる気配に背後を見れば、家が動いていた。
え、家?
「はい?!」
「ずっと鍛えていた甲斐があったよ!」
屋敷西側の見張り塔共々、家の半分が動いて形を変えていく。
待った待った、どう考えたってこれは、子供向け番組のそれだ。
御先祖様がすごい好きだったシリーズもののやつ。
「へんけいろぼ、だっけ? 御先祖様が見てたとかいう」
「まさかの?!」
なんてこと、今、目の前で実現してる! ロボで間違いない!
見張り塔だった部分が、そのまま形を砲台に変えた。
ま、まさか。
「必殺技もあるんだ!」
「嘘でしょ」
「皆離れて!」
その言葉に砲台の線状範囲内にいた子達がすぐさま離れた。
あの様子からしてメゾンがロボ変形出来るの知ってるクチだな。
そういう素敵な情報はきちんと次回予告してほしい。
いや、まあメゾンが遠隔攻撃できるかも的な発言してたのはしてたけど!
「えっと、かでんりゅうしほう、だっけ?」
「え、出来るの?」
途端、風が舞って砲台に集まる。
光が砲台の先に集約して、そのまま荷電粒子砲が放たれた。
これ光線な気がするけど、いやもういっそのことどうでもいい。
ここにきて、この盛り上がりときたら。
「ガチでロボもの!」
光線は途中四方に別れ散り、範囲を拡大しながら多くを撃破。
数える程が結界の内側に当たるも、結界にはなにも影響がなかった。どういう仕組み、どういう物質構成なの。
そしてこれ子供向けのそれじゃない。深夜の大人向けロボ対戦ものだ、ファンタジー真っ青だよ。
「すご……」
「ずっときかされてきたからね。これで合っているかはわからないんだけど」
「大丈夫合ってる」
荷電粒子砲を連発するかと思いきや、次は砲台から巨大な剣に形を変えて振り回す。
当然魔は凪ぎ払われ一気に消えていった。
やばいわ、変形ロボとか反則だよ。
これ御先祖様いたら両手ガッツポーズするので間違いない。
そして先日どうしてここまで強烈なデレを見せた後に、試練を持ってくるのかと大聖女に文句を言いたくなる。
死にはしないけど試練はあるとは、恐らく今この状況だろう。
「?!」
ずずんという低い音と、大きな揺れ、結界に異常が感じられて飛び起きた。
派手な音が続く。
廊下を走り抜けながら窓の外を見ると火花が散り、爆発音まで聞こえてくる物騒な様子に眉を顰めた。
「トレゾール」
階段をおりる手前でトレゾールと合流して階下へ急いだ。
階下にはメゾンがいて、開放されたサンルームから庭に出て広く外の様子を見ている。
「メゾン! 何があったの」
「急襲、かな。まったく……気付かなかったよ」
いち早く気づける精霊達が遅れをとったらしい。
今はそれぞれが駆り出され、四方で各々の力のぶつかり合いが見てとれる。
「あけられてる」
「ああ、あれだよ」
指差した先、結界の外壁が一部崩され穴が空いていた。そこから魔がぞろぞろ入ってくる。
ちょっと最近数減ってたのに、あの数尋常じゃない。
というか、いくら私がぺーぺーの聖女だからって、そんな簡単に破られる結界作ってないのに。
「なに、そんなに強いわけ?」
「そうだね。今までとは比にならない」
レベル高い魔については熟練聖女対応で、別エリアに出やすかったはず。
私の配置された場所は新人聖女がよくあてられる魔のレベルも低く数が少ない場所なのに。
「このあたり沿岸の魔討伐もしたし、最近は数が少なかったのに」
御先祖様の言葉を借りれば、今までは嵐の前のなんとやらだったってこと?
私が御先祖様ばりにチートだったら、このあたりの魔なんて一掃できるんだけどね。
「皆は」
「問題ないよ。あちらも強いけど、僕らもただぼんやりしてたわけじゃない」
確かに対応は出来ている。
掠り傷ぐらいなら結界内、私の力で治しながら戦う事も可能。
「けど、おされてる」
「そう。数が圧倒的だよ。このままだと物量に押し切られる」
さて困った事になった。
あけられた結界の穴は二体の魔が抑え込んでいる。あの二体をどうにかしないことには結界は防げない。
けど、その穴の魔の対応は今いる子達では難しい。数が足りなすぎる。
ただこの危機的状況、私より精霊達が早く気付いたという事は、しっかり所がもう手を打っているはずだ。
つまるとこヴァンとかサリュあたりがオンブルに連絡を取っている事は容易に想像できる。
それでも時間が間に合うかは別問題。
「あ」
取りこぼした魔がこちらに真っ直ぐ向かってくる。
「主!」
今回の魔は随分しっかりと私を狙ってくるな。
そんなことをのほほんと考えていると、私の目の前の足元にトレゾールが現れ一吠え。
吠え声と共に土の中から勢いよく飛び出してくる綺麗な結晶がそのまま魔を貫いた。
「トレゾール、いい子」
足元にすり寄ってきた可愛い愛犬を撫でれば満足そうに目を細める。
この子何気なく有能すぎる。
「突破されてきてる」
「そうだね」
いくらここ最近で急激なレベルアップが出来ていても、数が多ければ逃してしまう数も自ずと増える。
入ってくる数が速く多すぎて、そして今の精霊の数では一人一人の持ち範囲が広すぎて対応に限界がある。
近くに雷が落ちる。わお、本当にレベル高いわ今回の魔。
結界の浄化作用が追い付かず、少しずつ結界内に瘴気が満ち始めた。
「さすがにこの数だと浄化しきれない、か」
「主」
結界内、聖女の力があれば瘴気も浄化でき、精霊が戦いやすい状態に整える事も出来る。
地の利が圧倒的にこちらにあるにも関わらず、瘴気が満ちていくのは時間がないと言う事だ。
「うーん……やっぱりあれか」
「待って、主」
そこにきて家を守っていたメゾンが隣に立つ。
彼がいる限り、魔の攻撃を受けても屋敷はそう壊れる事はない。
ただその防御をするが故に、メゾンはここから遠くへ行く事がかなわなかった。
「ここはいよいよ僕の出番だ」
「え?」
「見てて」
にっこり満面の笑みを向けられてすぐ、違った地響きと揺れに身体がぐらつく。
変わる気配に背後を見れば、家が動いていた。
え、家?
「はい?!」
「ずっと鍛えていた甲斐があったよ!」
屋敷西側の見張り塔共々、家の半分が動いて形を変えていく。
待った待った、どう考えたってこれは、子供向け番組のそれだ。
御先祖様がすごい好きだったシリーズもののやつ。
「へんけいろぼ、だっけ? 御先祖様が見てたとかいう」
「まさかの?!」
なんてこと、今、目の前で実現してる! ロボで間違いない!
見張り塔だった部分が、そのまま形を砲台に変えた。
ま、まさか。
「必殺技もあるんだ!」
「嘘でしょ」
「皆離れて!」
その言葉に砲台の線状範囲内にいた子達がすぐさま離れた。
あの様子からしてメゾンがロボ変形出来るの知ってるクチだな。
そういう素敵な情報はきちんと次回予告してほしい。
いや、まあメゾンが遠隔攻撃できるかも的な発言してたのはしてたけど!
「えっと、かでんりゅうしほう、だっけ?」
「え、出来るの?」
途端、風が舞って砲台に集まる。
光が砲台の先に集約して、そのまま荷電粒子砲が放たれた。
これ光線な気がするけど、いやもういっそのことどうでもいい。
ここにきて、この盛り上がりときたら。
「ガチでロボもの!」
光線は途中四方に別れ散り、範囲を拡大しながら多くを撃破。
数える程が結界の内側に当たるも、結界にはなにも影響がなかった。どういう仕組み、どういう物質構成なの。
そしてこれ子供向けのそれじゃない。深夜の大人向けロボ対戦ものだ、ファンタジー真っ青だよ。
「すご……」
「ずっときかされてきたからね。これで合っているかはわからないんだけど」
「大丈夫合ってる」
荷電粒子砲を連発するかと思いきや、次は砲台から巨大な剣に形を変えて振り回す。
当然魔は凪ぎ払われ一気に消えていった。
やばいわ、変形ロボとか反則だよ。
これ御先祖様いたら両手ガッツポーズするので間違いない。
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