死亡フラグと修正力に抗う一周目悪役令嬢な私【元ツンデレ現変態ストーカーと亡き公国の魔女 外伝3】

文字の大きさ
38 / 55

38話 最推しカプと会話

しおりを挟む
 サクが解熱した日から彼の元へは頻繁に通っていた。

「サクたああああんんんん!」
「帰れ」

 なにせ何も説明しなくても私の事情とこの世界線を理解しているので気兼ねなく話せる。なにより推しだから会えるだけで嬉しい。

「クラスんは?」
「治癒だっつーて騎士舎にいる。ユースティーツィアが護衛してるから大丈夫だろ」
「本編のようだ……」
「……お前、あの婚約者は?」
「ふっふっふ、聞いてサクたん。初めてかもしれないんだけど、今私一人で!」

 エールはイグニス様に呼ばれて話をしている。で、その間にここに来ていいとイグニス様に了承得て来ている。エールはそれはもう嫌そうにしていたけど、隣の部屋だし相手がサクだから許してくれた。

「エールってばいっつも一緒だから。死亡フラグとそこまで深く付き合いたくないんですけどね~」
「……」

 サクの前でエールの名前を出すのは全部みられて知られているから。ああ本当サクの前だと色々楽だわ。

「お前しょっちゅう死亡フラグつってるけどよ」
「はいはい」
「俺とクラスは?」
「がっつり死亡フラグですけど、最推しカプ尊いが勝っているので不問」

 呆れた顔をする。
 と、すぐに何かに気づいた顔をして、部屋の扉を開けた。そこには今まさに扉を開けようとしたら開いてびっくりしましたな顔をしたクラスが立っている。
 さすが変態、さすがストーカー、ヒロインが来るの分かるんだ!

「クラス、お疲れ」
「うん。サク、お客様? 席外そうか?」
「いい、入って」
「でも」
「あれはクラスがいる方が喜ぶ」

 その通りです!
 遠慮がちにサクの隣に座るクラスを見て眼福ですとも! もっとくっついて!

「なんの話してたの?」
「こいつにとって周りの人間のほとんどが自分を殺してくるとかいう妄想の話だよ」

 それって私の頭がやばい人みたいだけど?
 幸いクラスはそう受け止めていないけど、ことクラスに対してはサクは彼女を徹底的に守ろうとしている。その姿勢はよしだ。

「死亡フラグの中、本編と外伝のカップルを成立させた私を褒めて欲しいんですけど」
「俺とクラスに関しては何もしてねえだろうが」
「クラスをウニバーシタス帝国に呼ぼうよって言ったの私なのに……」
「ありがとうございます」
「えへへ、クラスん可愛いねえ」
「きもいっつってんだろ」

 サクの言葉使いを嗜めて、その次にみてあげようよと言うクラスは本当女神だ。
 ん? みる?

「待って、その力使ったらだめで」
「大丈夫ですよ」

 と、いきなり二人手を繋いだ。全然目の前でいちゃついてくれて構わないけど、だめと言っても聞かずにそのままサクがじっと私をみる。クラスはただにこにこしてるだけだった。

「えっと?」
「あ、私が半分受け持つことでサクの負担を減らすんです。そうすれば繋がって力を使っても大丈夫だって」
「ほお?!」
「精霊王のお墨付きもらってるから、今こうしてみてもサクの身体に負担はないんですよ」

 なにそれ尊っ!
 本編でもやってくれればよかった! いや、今この世界線だから叶う話だった? てかもう二人こんな早くに結ばれてる時点ですごくない? いい世界線になったんじゃない?

「それでサク、どうだったの?」
「ああ、お前の言うとこの死亡フラグか」
「ええ是非」

 でも聖人の力使って未来ってみえたっけ? 未来の知識を仕入れることはできても一個人の未来をみていた描写はなかった。

「まあ話せる範囲になるけど」
「かまいません」

 個人の未来の詳細はそこまでみえないし言えるものでもない。その上で可能な範囲で教えてくれるらしい。

「お前が怯えている奴らの誰もお前を殺そうなんて考えてねえよ」
「それは嬉しい限り」

 お前暢気だなと呆れられた。前のフィクタは神経質だったけどなと加わり、私はひどいと嘆きながら返した。当然無視されるけど。

「お前、自分にとっての死亡フラグばっか気にしてるけど、相手にとっての死亡フラグ考えてんのか?」
「当然。マジア侯爵夫妻とか双子とかイグニス様のことなら、関わり持ったけど細心の注意を払ってて」
「それ以外も注意しとけ」
「え?」
「お前にとっての死亡フラグは相手にとっての死亡フラグになりえるって話だ」
「なにそれ文面だけだと怖いんですけど」

 もしかして本来の悪役に目覚めてしまう的な? 小説の中と同じく誰かを傷つけることはもうしたくない。

「あ、でもサクたん。私が道外しそうな時はスパッと斬ってくれって頼んであるから大丈夫」
「あの婚約者か」
「そうそう。婚約解消して逃げたくてたまらない今だけど、悪役になってしまった時の保険はきちんとかけてるわけ」
「はっ、何が保険だ。断られてるだろうが」
「まあそこはね……」
「いっそ結婚しちまえ」

 サクって意外とお節介というか面倒見いいのは小説で描かれているから知っているけど、なにも私に対して発揮しなくてもいいと思う。

「それは嫌だなあ」
「え、でも御二人は婚約してるんですよね」

 事実書面上はきちんと婚約している。でもあれって便宜上というか、死亡フラグを折る為な要素だった。

「偽装婚約みたいな?」
「え、でもマーロン侯爵は」
「クラス、黙っておけ」
「いいの?」
「それはこいつらが解決することで俺たちが言うことじゃない」

 そうだろ、と私を通り越した先にサクが声をかけた。
 あれノックなんて聞いてないよね、と嫌な予感がしつつもゆっくり振り返る。
 扉が開かれていて、そこには笑いをこらえるイグニスといつもより割り増し微笑んでいるエールがいた。
 これは怒らせたな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

悪役令嬢に成り代わったのに、すでに詰みってどういうことですか!?

ぽんぽこ狸
恋愛
 仕事帰りのある日、居眠り運転をしていたトラックにはねられて死んでしまった主人公。次に目を覚ますとなにやら暗くジメジメした場所で、自分に仕えているというヴィンスという男の子と二人きり。  彼から話を聞いているうちに、なぜかその話に既視感を覚えて、確認すると昔読んだことのある児童向けの小説『ララの魔法書!』の世界だった。  その中でも悪役令嬢である、クラリスにどうやら成り代わってしまったらしい。  混乱しつつも話をきていくとすでに原作はクラリスが幽閉されることによって終結しているようで愕然としているさなか、クラリスを見限り原作の主人公であるララとくっついた王子ローレンスが、訪ねてきて━━━━?!    原作のさらに奥深くで動いていた思惑、魔法玉(まほうぎょく)の謎、そして原作の男主人公だった完璧な王子様の本性。そのどれもに翻弄されながら、なんとか生きる一手を見出す、学園ファンタジー!  ローレンスの性格が割とやばめですが、それ以外にもダークな要素強めな主人公と恋愛?をする、キャラが二人ほど、登場します。世界観が殺伐としているので重い描写も多いです。読者さまが色々な意味でドキドキしてくれるような作品を目指して頑張りますので、よろしくお願いいたします。  完結しました!最後の一章分は遂行していた分がたまっていたのと、話が込み合っているので一気に二十万文字ぐらい上げました。きちんと納得できる結末にできたと思います。ありがとうございました。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子

ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。 (その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!) 期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。

悪役令嬢と転生ヒロイン

みおな
恋愛
「こ、これは・・・!」  鏡の中の自分の顔に、言葉をなくした。 そこに映っていたのは、青紫色の髪に瞳をした、年齢でいえば十三歳ほどの少女。  乙女ゲーム『タンザナイトの乙女』に出てくるヒロイン、そのものの姿だった。  乙女ゲーム『タンザナイトの乙女』は、平民の娘であるヒロインが、攻略対象である王太子や宰相の息子たちと交流を深め、彼らと結ばれるのを目指すという極々ありがちな乙女ゲームである。  ありふれた乙女ゲームは、キャラ画に人気が高まり、続編として小説やアニメとなった。  その小説版では、ヒロインは伯爵家の令嬢となり、攻略対象たちには婚約者が現れた。  この時点で、すでに乙女ゲームの枠を超えていると、ファンの間で騒然となった。  改めて、鏡の中の姿を見る。 どう見ても、ヒロインの見た目だ。アニメでもゲームでも見たから間違いない。  問題は、そこではない。 着ているのがどう見ても平民の服ではなく、ドレスだということ。  これはもしかして、小説版に転生?  

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

山下小枝子
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

処理中です...