九十九神の世界線

時雨悟はち

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記憶迴

世界の造り、絡まる運命

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ふと、ある記憶が頭を駆け巡る。目の前には美味しそうな果実がある。でもそれは食べてはいけないと言われてて、一度も口にしたことがなかった。でもその日は嫌なことがあって、「こんな人生…」そんな思いでその果実を一口食べた。それはそれは美味しくて、ペロッと食べ終えた直後。体の内側が熱くなり、みるみるうちに人ではない何かに変わっていく。恐怖と不安に煽られ、後悔とともに記憶はぱったりと途切れる。


「ねえ、刀華さん。ちょっといい?」

土曜日の朝日を浴びてた刀華さんに聞きたいことがあってそう聞いた。

「ん?なに?」
「あの果実さ。もしかして、九十九神も食べられたり出来るんだよね?だったら、あの果実って、今もどこかで作られたりしてるのかな…」

もちろん、憶測だった。仮にそうだとしても、そんな物出回ることなんてしないはずだし、出回ってるならそういう噂が立ってなきゃおかしい。

「さあ…今のところ、トラウマをすべて思いさせる効果があるとしかわからないから。なにかそういうのに詳しい九十九神がいたらいいんだけど…」
「呼んだでございますか?」

と、そんな声が聞こえてきた。

「!!!」


知らない声だったため僕と刀華さんは身構えた。

「あ、そんなに身構えなくてもよきでございます。わたくし、フラスコの九十九神をやらせてもらってる、マルメガネと申します。あ、漢字で書くと丸召雅音と書きます。ややこしいですが、何卒よろしくございますね」
「つ、九十九神?なんでこんなところに」
「簡単ですぞ?最近また裏神ハンターなるものが出たと九十九界は大騒ぎですからな」

裏神…ハンター?

「刀華さん、裏神ハンターって何?」
「まあ、簡単に言えば裏神を積極的に倒してく人って感じよ。まあ、最近裏神の出現頻度が高かったし、しょうがないわね。そう言われても」
「ところで、その果実とやらはどこにあるんですか?」

その一言で、僕たちは凍り付く。

「ねえ、君は一体誰なの?」
「誰って、さっき名乗ったでございますよ~。わたくしは丸召雅音ですぞ」
「そうじゃなくて、どうして急に僕らの前に現れたの?」
「だから言ったでしょう?あなたは九十九界で超超超有名なんですぞ?そんな有名人の家に行きたいって思うのは至極当然だと思うのですが…」
「じゃあ、試しに自分の体を出してみて。九十九神だったら当然出せるわよね?」

刀華さんがそういうと何も言わずに三角のフラスコを出してきた。

「…どうやら本当みたいね」

と呟いた。

「そして、その~果実とやらを解析してみたいのですが…よろしいでしょうか?」

迷っていた。確かに、フラスコの九十九神と言うこともあって知識は高そうだ。だけど、潔白だって言う証拠が余りにも不十分過ぎる。

「なら、火射羅に見てもらっておきましょう。そうしたら怪しいことをしたらすぐに脳天ぶち抜いてもらえるし」

oh…中々残酷な事を考える刀華さん。

「じゃあ、そうしてもらおっか。火射羅さ~ん。ちょっときて~」
「おう、どうした?礼人」

そして火射羅さんにすべての事情とお願いを話した。

「なるほど…わかった。見ておくよ」
「ありがと~。じゃあちょっとよろしくね」

そして、僕と刀華さんは外に散歩をしにいった。


「どう?そっちの調子は」

とても重大な事をしているとは思えないメールないようだった。

「今いいところ。邪魔しないで」

と、簡単な返事をしたあと、その仕事に集中した。もうすぐ、もうすぐ。いつしか少しばかり緊張が走るようになった。


「ねえ?誰かに見られてない?」

と、視線を感じた方向を見る。

「え?そんなことないけど…」
「一体何が…」

そう思ってたその時だった。

「!、礼人!危ない!」

その声で、助かった。あと数瞬遅れていたらあの世行き列車に乗ってる所だった。

「裏神…」

そしてすぐに刀華さんを体に入れる。

「そういえば、あのイヤホン持ってきてるわよね?」

と体の中から声がした。

「あ、うん。ちゃんと持ってきたよ。」
「じゃあ、それを耳に当ててみて」

え?と思いながら言われた通りにした。
急激に自分の術力があがっていくのがわかった。

「このイヤホンはいわば『装備品』礼人の力をあげたり、特殊な力を与えたりする事があるわ。これから裏神の本体をこんな風に集めてみて」

……なんかソシャゲとかのチュートリアル聞いてる見たい…。
そして、帰宅後。

「ああ~、ハンター殿、ついに解析結果が出ましたぞ~」

と嬉しそうに言ってきた。

「そ、そうなんだ…。どうだった?」
「どうやら、特定の土にしか生えないっぽいですな~。ちゃんとした土ではなく、手入れが甘い庭の土などに生えております」

ってことは…。

「身近に潜んでる事が多いってこと?」
「はい。そうです。つまりこれを作ったのなら、人為的に近くに九十九神の近くで、裏神を生成することが出来ますな~」
「許さない…」

口からそんな声が漏れた。

「うん。礼人、私たちで止めよう。この事件を」

そんな決意をしてるなか、一人礼人は、また何か見られてる感覚が体中を走り回った。
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