九十九神の世界線

時雨悟はち

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記憶迴

認知が産んだ侵略者

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「ああ、憎い。とても、憎い」
「礼…人?」

バカバカしい。さっさと終わらそう。

「結界・絶命」

真っ黒な術力が広がる。それがすぐに自分らを囲む。

「君は…一体?」
「気付いたかな」

俺…俺は…

「こいつの…礼人が思うかっこいい男の図だ。こいつが弱々しいのがよければそうなる。こんなふうに、悪徳の方がよかったらこうなる。礼人が作り出した人格。それが俺。常闇雷血だ」
「なるほど…ね。つまり、君は記憶の人格って事だね?」
「いや、違う。たとえ記憶が消えても、俺の記憶は消えない。俺を作ってるのはこいつ自信の思い込み、認知、それらが複雑に混じって出来たんだ。んまあ、用は単に記憶を消しても、このじゃまな雷血君は消えないって事さ」
「礼人…」

体の内から聞こえるのは力の源。
これから利用される…。

「じゃあ、行くよ!」

と、一発。斬りかかる剣を片手で薙ぎはらう。

「!、なぜ…?」
「単に人格だけが変わるだけじゃないんでね」

と、首を鷲掴みにし、壁へと投げる。けたたましい音と共にさっきまでの姿が見る影もなくなった怪夢の姿があった。

「最期に、言い残すことは」

右眼が黄色く光る。そして徐々に術力が左手に溜まる。

「…ックク…ククク…クッハハハハハハハ!!良いぞ、良いぞ良いぞ良いぞ良いぞ!ッハッハ!雷血、君は…君こそが…僕の…求めた…」

その瞬間。何かがものすごい早さで怪夢を連れ去っていき、あっという間に消えていった。

「おい!ま…」

と共に、意識が遠のいていった。


「…人、…いと!礼人!」

と、うるさすぎる声に目を覚ました。

「うっ、う~ん…っは!か、怪夢は?」
「…」

と、何やら答えにくいような空気をだす皆。

「…ねえ、何があったの?」

一連の事件を聞いて、僕の空いた口は塞がらなくなってしまった。


「…それで?これからどうするの?」
「う~ん、多分怪夢は、何か大っきなグループの一人な気がするんだ」
「何で?」
「多分、怪夢一人だったらきっととっくに僕は死んでる。でも、死んでないのには、何か理由がある気がするんだ」
「なるほど…」
「だから、まずはそのグループを見つけて、それからそのボスを倒すべきだと思うんだ」
「でも、今の戦力じゃ…」
「なら、集めれば良いんだよ!」
「…え?」
「全国九十九神探しの旅、開幕!」

そうして、全国を巡る九十九神探しの旅が始まった。
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