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悲しいかな、どうやら夢は現実だったようで。しかも俗に言う転生というものをしてしまっているようだ。しかも、我が妹がどハマりしていた乙女ゲームの世界の登場人物に。
あの現実逃避の夢から目を覚ましてまず目にしたのが同じ洋装の天井。
寝起きの頭でも思わずまじかよ…とぼ~っとしながら天井を見つめていれば、声をかけられた。
「起きたのか? クレア」
その方向に顔を向けてみれば先程の美少年をそのまま成長させたかのような美丈夫がいた。まさかのお父様登場というやつか。
「ぅ、………」
さすがにあー、でもあううでもいいから返事をしなければならないと思ったのだが声が詰まった。
「ああ、熱を出しているんだ。無理をしてはいけない」
熱いだろう? 喉は乾いていないか? そう聞かれたが今はどうにもまだ混乱していて何も口にする気がおきない。顔を横に振ってこたえた。
寝て起きて少し冷静さを取り戻したからわかる。憶測だが元々体調を崩していたっぽいーー寝る前若干怠かったーーところで、軽いパニックを起こしたから熱が出たのだろう。なにせ中身はおっさんでも体は子どものものだからな。
そんな事を考えていれば今はそっとしておいたほうがいいとでも判断したのだろう、何かあったら呼ぶ事。それだけ言って父親が出て行く。
ナイスタイミング。
せっかくゆっくり考え事をする時間を手に入れたのだ。今後のことを考えるに越したことはない。
まず俺は乙女ゲームで追放or陵辱エンド予定の令嬢である『クレアノーラ・クリュッグ』に転生したであろうという事。俺自身いつ死んだとか死因だとかは全く覚えていない。まぁ覚えておいて楽しい記憶ではないだろうから問題はない。
それに自身が三十代手前だったという事や、死んだ時の記憶以外は覚えているのだから僥倖だろう。
次に考えなければならないのは今後の事だ。
さしあたって俺が知っているこの世界についてを振り返ろうと思うのだが………、残念なことに全くわからないんだなこれが!
事実俺がプレイしていたのではないしーーどハマりしていたのは我が妹ーー妹が俺に対して語ってきた内容も興味がなかったのでひどい話だが、ほぼほぼ聞き流していたので全くと言っていいほどわからない。
覚えているのは背景がファンタジーありきで剣と魔法有りの中世ヨーロッパ風な事と、『クレアノーラ・クリュッグ』に関係のある3人の事だけ。
まず1人目は兄である『クリストフ・クリュッグ』。魔法属性は火、水、風、闇、光の5属性のうち3属性火、水、闇を扱うことができる。普通の人は1つの属性を使うことしかできないのに対して3つ。もう王族レベルのものなのだが、悲しい事に上には上がいた。
それがこの俺、クレアノーラだ。なんとこのクレアノーラ様、5属性全てを使うことができる。まさに神の寵愛を受けしエリートルートまっしぐらのお方なのだ。
だがしかしうまい話には何かある。
なんと原作のクレアノーラは性格が破綻していたのだ。そりゃあ、生まれた時から周りによいしょよいしょされてたらそうなるわな。さもありなん。
そしてその所為で兄であるクリストフは能力の差で引け目を感じるわ、性格がアレだわで嫌っていた。
そんなところに主人公がやってきてクリストフの心の闇ーー主に引け目を感じるところとかーーを癒し導いていく~~というのが主にクリストフルートのエンドだ。
で、その時のクレアノーラはクリュッグ家の当主となったクリストフに追放されるか、もしくは性格がアレだがいかせん魔法の才があるのでクリュッグ家の魔法の力を高めるため、より強い血を残させようとしてただ本人の意思ガン無視の道具扱いをされるという陵辱ルートがあるというわけだ。
いやぁ、恐ろしいね。まだあんまり実感ないから他人事だけど。
次に2人目であるのはクレアノーラの護衛兼従者で将来騎士になることを約束されし『アルチュール・シャンドン』。魔法属性は火と風。見た目は確か赤髪だったような気がする……。
攻略内容は確か護衛対象のクレアノーラにいびられていたところを以下省略。まぁクリストフと似たようなもんだ。……今世でも俺の護衛に着くのだとすれば、優しくしてやろうと思う。
そして最後に3人目であるクレアノーラの婚約者である第一王子『マティス・ヴェルモット』。魔法属性は流石王族といったところか、光以外の4属性を扱うことができた。
見た目は確か絵に描いたような金髪碧眼の王子で攻略内容は………妹は確か王道モノでうんちゃらかんちゃら言ってたような…?
まぁ、ぶっちゃけたこと言ってしまえば野郎どもに興味はなかったから、クレアノーラの兄であるクリストフ以外はあんまり覚えていない。以上!
それに基本クレアノーラのエンドはあの2つくらいだし、エンドに辿り着くのはほぼほぼ性格のせいだからまぁ、大人しくしてれば大丈夫だろう。と思いたいのだが何が起こるかわからない。
一応念には念を入れて適当に媚びでも売って罰を軽くしてもらえるようにでもしようか。
………我ながらゲスい作戦だと思うが、現状手探りの状態なのだから手段は選べない。
狙いは追放エンドで、追放後も自力で生きていけるように勉強とかも頑張ろう。
才能があることは原作で証明されているのだし、真面目にしてればいけるはず。
かくして、俺の『媚び売って情を買おう作戦』が決行されたのであった。
あの現実逃避の夢から目を覚ましてまず目にしたのが同じ洋装の天井。
寝起きの頭でも思わずまじかよ…とぼ~っとしながら天井を見つめていれば、声をかけられた。
「起きたのか? クレア」
その方向に顔を向けてみれば先程の美少年をそのまま成長させたかのような美丈夫がいた。まさかのお父様登場というやつか。
「ぅ、………」
さすがにあー、でもあううでもいいから返事をしなければならないと思ったのだが声が詰まった。
「ああ、熱を出しているんだ。無理をしてはいけない」
熱いだろう? 喉は乾いていないか? そう聞かれたが今はどうにもまだ混乱していて何も口にする気がおきない。顔を横に振ってこたえた。
寝て起きて少し冷静さを取り戻したからわかる。憶測だが元々体調を崩していたっぽいーー寝る前若干怠かったーーところで、軽いパニックを起こしたから熱が出たのだろう。なにせ中身はおっさんでも体は子どものものだからな。
そんな事を考えていれば今はそっとしておいたほうがいいとでも判断したのだろう、何かあったら呼ぶ事。それだけ言って父親が出て行く。
ナイスタイミング。
せっかくゆっくり考え事をする時間を手に入れたのだ。今後のことを考えるに越したことはない。
まず俺は乙女ゲームで追放or陵辱エンド予定の令嬢である『クレアノーラ・クリュッグ』に転生したであろうという事。俺自身いつ死んだとか死因だとかは全く覚えていない。まぁ覚えておいて楽しい記憶ではないだろうから問題はない。
それに自身が三十代手前だったという事や、死んだ時の記憶以外は覚えているのだから僥倖だろう。
次に考えなければならないのは今後の事だ。
さしあたって俺が知っているこの世界についてを振り返ろうと思うのだが………、残念なことに全くわからないんだなこれが!
事実俺がプレイしていたのではないしーーどハマりしていたのは我が妹ーー妹が俺に対して語ってきた内容も興味がなかったのでひどい話だが、ほぼほぼ聞き流していたので全くと言っていいほどわからない。
覚えているのは背景がファンタジーありきで剣と魔法有りの中世ヨーロッパ風な事と、『クレアノーラ・クリュッグ』に関係のある3人の事だけ。
まず1人目は兄である『クリストフ・クリュッグ』。魔法属性は火、水、風、闇、光の5属性のうち3属性火、水、闇を扱うことができる。普通の人は1つの属性を使うことしかできないのに対して3つ。もう王族レベルのものなのだが、悲しい事に上には上がいた。
それがこの俺、クレアノーラだ。なんとこのクレアノーラ様、5属性全てを使うことができる。まさに神の寵愛を受けしエリートルートまっしぐらのお方なのだ。
だがしかしうまい話には何かある。
なんと原作のクレアノーラは性格が破綻していたのだ。そりゃあ、生まれた時から周りによいしょよいしょされてたらそうなるわな。さもありなん。
そしてその所為で兄であるクリストフは能力の差で引け目を感じるわ、性格がアレだわで嫌っていた。
そんなところに主人公がやってきてクリストフの心の闇ーー主に引け目を感じるところとかーーを癒し導いていく~~というのが主にクリストフルートのエンドだ。
で、その時のクレアノーラはクリュッグ家の当主となったクリストフに追放されるか、もしくは性格がアレだがいかせん魔法の才があるのでクリュッグ家の魔法の力を高めるため、より強い血を残させようとしてただ本人の意思ガン無視の道具扱いをされるという陵辱ルートがあるというわけだ。
いやぁ、恐ろしいね。まだあんまり実感ないから他人事だけど。
次に2人目であるのはクレアノーラの護衛兼従者で将来騎士になることを約束されし『アルチュール・シャンドン』。魔法属性は火と風。見た目は確か赤髪だったような気がする……。
攻略内容は確か護衛対象のクレアノーラにいびられていたところを以下省略。まぁクリストフと似たようなもんだ。……今世でも俺の護衛に着くのだとすれば、優しくしてやろうと思う。
そして最後に3人目であるクレアノーラの婚約者である第一王子『マティス・ヴェルモット』。魔法属性は流石王族といったところか、光以外の4属性を扱うことができた。
見た目は確か絵に描いたような金髪碧眼の王子で攻略内容は………妹は確か王道モノでうんちゃらかんちゃら言ってたような…?
まぁ、ぶっちゃけたこと言ってしまえば野郎どもに興味はなかったから、クレアノーラの兄であるクリストフ以外はあんまり覚えていない。以上!
それに基本クレアノーラのエンドはあの2つくらいだし、エンドに辿り着くのはほぼほぼ性格のせいだからまぁ、大人しくしてれば大丈夫だろう。と思いたいのだが何が起こるかわからない。
一応念には念を入れて適当に媚びでも売って罰を軽くしてもらえるようにでもしようか。
………我ながらゲスい作戦だと思うが、現状手探りの状態なのだから手段は選べない。
狙いは追放エンドで、追放後も自力で生きていけるように勉強とかも頑張ろう。
才能があることは原作で証明されているのだし、真面目にしてればいけるはず。
かくして、俺の『媚び売って情を買おう作戦』が決行されたのであった。
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