異世界召喚されて捨てられた僕が邪神であることを誰も知らない……たぶん。

レオナール D

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連載

159.四人の番人(三階層・手前)

「俺の名前は『悠久機関アイドリングエンジン』、ジョイ・カーベス」

「僕の名前は『陽キャ道化エターナルリング』、ワイニート」

「私の名前は『人外鬼畜ヌエノシンゾウ』、サクラバイナミ」

「拙者の名前は『鬼殺菩薩オワリノハジメ』、ヴィン=ラ」

「「「「お前の命を頂戴する(します)(でござる)!」」」」

「うわあ、濃い人達が出てきたよ」

 次の階層にやってきたウータ達であったが、目の前に立ちふさがったのは四人の男女である。
 年齢、人種、服装、髪や瞳の色……あらゆる点がバラバラだ。
 共通しているのは、四人が四人とも感情が抜けきったような死んだ目をしていることだけである。

「さっきの子……『バンビ部隊』の人と同じ目をしているね。もしかして、この城で流行っているのかな?」

「『万人舞台』ですよ、ウータさん」

『あんな心のないガラス玉のような目が流行したら終わりですね……』


 平常運転のウータに、ステラと和葉が控えめにツッコミを入れた。

「君達が番人ってことで良いのかな? このカギ、持ってる?」

「「「「…………」」」」

 四人は無言。
 しかし、服の懐やポケットから『万人舞台』から奪ったのと同じ鍵を取り出してウータに見せつける。

「うんうん。良かったよー。それじゃあ貰えるかな?」

「「「「…………」」」」

 四人はやはり無言。鍵を再び仕舞った。
 それは事実上の宣戦布告である。この状況なので元より他に可能性などないが……ウータと戦うつもりであるらしい。

「俺様が持っている一万の命。吹き消せるものならやってみやがれ!」

「僕はどんな環境にも適応して進化することができる。アンタにも適応してあげるよ」

「私は相手の能力をコピーすることができる。どんな魔法も異能も私のものにして見せるわ」

「究極にして無敵なる確殺の一撃……とくとご覧あれ」

「『悠久機関アイドリングエンジン』」

「『陽キャ道化エターナルリング』」

「『人外鬼畜ヌエノシンゾウ』」

「『鬼殺菩薩オワリノハジメ』」

「「「「発動!!!!!」」」」

 四人の番人が能力を発動させた。
 人間の蒐集を趣味としている『風』の女神エア……彼女が長い年月をかけて集めてきた異能者たちがウータめがけて襲いかかってくる。
『神にすら届く』……エアがそう称した異能がウータめがけて炸裂した。

「塵になーれ」

 そして……消えた。一瞬だった。
 四人の異能者が塵となって地面に散らばった。

「え……終わりですか?」

『ウータさん……』

 ステラと和葉が唖然とした様子で声を漏らした。
 彼らは明らかな強敵だったはず。
『万人舞台』にだってそれなりに手こずっていたはずなのに、彼と同格であろう四人を瞬殺してしまった。

「ええっと、嘘ですよね? ここから復活してくるとか、そういう話ですよね?」

「いやあ、死んじゃった人は生き返らないんじゃないかな。当たり前じゃん」

「ウータさんに常識を語られるとモヤッとしますね……実際、どうしてそんな簡単に倒せたんですか?」

「コツを掴んだからね。わりと簡単だったよー?」

 ウータが何でもない事のように言う。

「最初に出てきた増える人だけどさ。不思議な力を使ってきて『花散ウータ』としての僕じゃ消しきれなかったんだ。でも、邪神としての僕を出したら簡単に倒せた。つまり、そういうことなんだよ」

「そ、そういうこと……?」

「うんうん。三人の神様を食べて器を強化したからできたことだよねー。やっぱり、努力と健康的な食事は大事ってことで」

 ウータの説明は最初から最後まで意味不明。
 ステラの疑問は深まる一方であり、何一つ望む答えは得られなかった。

「……和葉さん、今の言葉わかりましたか?」

『わかりません……でも、ウータさんですからね。それくらいできて当然です』

「そうでしたね……ウータさんですものね」

 ステラと和葉が顔を見合わせて苦笑いになる。
『ウータだから』で不思議な現象が解決してしまえるのは少しおかしい気もする。
 それはともかくとして……全ての鍵を集めることに成功した。
 ウータが塵の山から鍵を探し出すと……目の前に光り輝く扉のようなものが出現する。

「ああ、どうやらこの先にいるみたいだねー」

「ウータさん。もしかしてワナなんじゃ……」

「そうだね。でも、この向こうに女神がいるのは間違いないよ。竜哉たちの気配もするね」

『私の身体も向こうにあるみたいです……』

 つまり、罠であったにせよ飛び込まないわけにはいかない。
 三人は意を決して、光の扉の向こうに足を踏み入れた。

「あら、ビックリ。本当に来ちゃったのねー。驚いたわー」

 光の向こう側、そこは大樹の頂上だった。
 緑の葉で生い茂った足場。その向こうに背中からトンボのような羽を生やした緑髪の女性の姿がある。
『風』を司る女神エアの顕現であった。

「予想通り……いや、素直に予想以上と言うべきかしらねー。アハハハ、あの子たちに殺されていたら楽に死ねたのに本当にかわいそ」

「塵になれ」

「う」

 初手で挨拶もなしに攻撃。
 ウータがエアの眼前に転移して頭部を掴んで、彼女の身体を塵に変えたのだった。

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