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第2章 帝国騒乱 編
2.どこの国にも下衆はいる
side 帝国第二皇子 グリード・バアル
「まったく、みんな頭が悪くて嫌になりますね」
帝国御前会議が終わり、私は宮廷の廊下を歩いて行く。頭に浮かぶのは先ほどの会議の様子、愚かな兄弟達の姿だった。
兄であるラーズ・バアルは情に厚い性格が一部の者達に好かれているが、非情になるべきときに非情になることができず失敗を繰り返す愚か者。
弟であるスロウス・バアルは平和主義者を気取っているが、決断力がなく争い事から逃げているだけの臆病者。
どちらも栄光ある帝国の覇者にはふさわしくない。皇帝となり、この大陸を統一する覇王となることができるのは、私だけだ。
「さようでございますね。グリード殿下」
私の側近であるサイム・フルカスが自慢の白髭を撫でながら、追従してくる。
この世界には役に立つ馬鹿と、役に立たない馬鹿がいる。この老人は私が認めた数少ない役に立つ馬鹿の一人であった。
「いかに兄君とはいえ、あのような男が長子としてグリード様の上に立っているのは許しがたいことでございます。いと早く皇帝となって帝国に王道楽土をお築きくださいませ」
「ふっ、当然ですね。そのためにもラーズ兄上には早く消えてもらわなければ・・・」
私が皇帝となるための手段は二つある。
一つは、父の遺言を果たして敵国を滅ぼすこと。もう一つは、他の皇位継承者、特に長子であるラーズ兄上を殺してしまうことだ。
前者の条件については、すでに達成不可能であると諦めていた。
私が滅ぼすべき敵国として指定されたのは、北方遊牧民のサーメル民族である。
彼らは決まった国や都市を持っているわけではなく、広い草原をいくつかの部族に分かれて旅をしながら生活をしている。
ある部族を滅ぼしたかと思えば別の部族が攻め込んでくる。ある部族を包囲網で追い詰めたかと思えば、他の部族が後方で暴れている。
おまけに馬を乗りこなした彼らは神出鬼没そのもので、部族ごとにゲリラ戦を展開されて何度も辛酸を舐めさせられてきた。
自分に与えられた帝国第2軍団だけでサーメル民族を滅ぼすのは、いかに才能ある私の力を持ってしても不可能である。
早い段階で見切りをつけた私は、領内で大規模な徴税を行い、帝国北方に1000キロにおよぶ長城を築いてサーメル民族の攻撃を防ぐことに力を尽くした。
(そのせいで反乱を起こされたりはしましたけど・・・まったく、馬鹿は私の考えを理解できないから嫌ですね)
長城を築くことで北方に暮らす民はサーメル民族に怯えることなく生活できるようになる。そんな当たり前のことがわからず反乱を起こした馬鹿どもには、ずいぶんと苛立たされてしまった。
「苦労して築いた長城のおかげで、最低限の兵力で国境を守れるようになりました。これで兄上を討つ準備は整ったのですが・・・」
「スロウス殿下ですね、あとの問題は」
ラーズ兄上が率いる第1軍団は勝手に失敗して弱体化している。今なら、私の第2軍団で容易に潰すことができるだろう。
しかし、それをやってしまうと皇帝の遺言に反した反逆者の汚名を被ることになってしまい、スロウスに私を討つ大義名分を与えてしまう。
(いくらあの弟がやる気のない軟弱者とはいえ、第3軍団はほぼ無傷で残っていますから侮れませんね)
いっそのことラーズ兄上の方から攻めてきてくれれば、愚かな兄を討つ大義名分を得られるものを。
そんなことを考えながら歩いていると、宮廷の一角に作られた花畑が見えてきた。
そこにいたのは――
「っ! ルクセリア!」
「・・・グリードお兄様」
そこには天使の姿があった。私はフルカスをその場に置き去りにして、天使の元へと駆け寄った。
黄金のように輝く髪を背中まで伸ばした、天使のごとき美貌の少女。彼女の名前はルクセリア・バアル。皇帝の四番目の子供であり、唯一の娘。今年で18歳になる皇女である。
神に見放された戦乱の世界において、ルクセリアは唯一、神の愛を体現しているかのごとく美しさを持っていた。
「ああ、ルクセリア! 我が妹よ! 花摘みをしているのかい!? 今日も変わらず美しいね!」
「・・・ありがとうございます、兄上。会議は終わったのですか?」
私の賞賛の言葉に、なぜかルクセリアは表情を曇らせる。しかし、憂いに満ちた表情も美しく、私の心臓は高鳴るばかりだ。
(ああ、我が愛しい妹よ! いつか君の憂いを私が取り除いてみせる! この大陸の全てを手に入れて、君に捧げよう!)
自分以外の全てを見下している私であったが、目の前の妹だけは例外だ。この神が作った芸術のような少女こそが、世界の唯一の至宝なのだから。
「ああ、ラーズ兄上もスロウスも、頭が悪くてなかなか会議が進まなかったよ! やはり私が皇帝となるしかないようだ! そのときは・・・この世で最も美しい女性を皇妃に迎えるつもりだよ!」
「・・・そうですか、その女性は幸運ですね。私も祝福させていただきます」
「ああ、そうだとも! 彼女には最高の幸福を与えるつもりだ!」
遠回しなプロポーズのつもりだったのだが、ルクセリアは気がつかなかったらしい。少し鈍いところも可愛らしい!
「ルクセリア、この後、時間はあるかい? 良ければ一緒にお茶でも・・・」
「申し訳ありません、兄上。この後はダンスの稽古がありますので」
「け、稽古なんてまた時間を変えれば・・・」
勇気を振り絞っての誘いを袖にされて、私はなんとか言い募る。しかし――
「いずれ素敵な男性と結婚して、良き妻となるために必要なことですから。申し訳ありません」
「そうか! 花嫁修業ならば仕方がないな! 頑張ってきたまえ!」
「・・・失礼します」
ルクセリアが侍女を連れて立ち去っていく。
流れるような金髪とドレスに包まれた背中と腰、裾から覗く白い足首を後ろからじっくり鑑賞しつつ、ルクセリアを見送った。
「あ、あの・・・グリード殿下?」
「黙っていてください! 今、ルクセリアの姿を脳内保存しているのです!」
気まずそうに話しかけてくるフルカスに一喝して、私はルクセリアと過ごした一時を思い返す。
美しい金髪。青い瞳。白い肌。小鳥の囀りのような声。匂い立つような花の香り。
あますところなくすべてを記憶して、忘れることがないように心の宝石箱へとしまい込む。
たっぷり10分ほどかけてルクセリアとの時間を反復して、私はようやくフルカスの方へと顔を向ける。
(・・・・・・醜いですね)
ルクセリアと話した後だと、この髭面の老人がよりいっそう醜く見える。私の声は自然と不機嫌なものになってしまう。
「・・・まだいたのですか、何の用です?」
「えー・・・あー・・・申し訳ございません。殿下にひいきの商人から贈り物が届いているのをお伝えしていなかったもので」
「贈り物?」
「ええ、綺麗な人形ですよ」
「ほう! 部屋に届けさせなさい!」
私はフルカスへと命じて、跳ねるようにして宮廷内の自室へと向かった。
部屋でほんの少しだけ待っていると、扉がノックされてフルカスが「人形」を連れて入ってきた。
「どうぞ、殿下。存分にお楽しみください」
「ほう、これはこれは、よく出来た人形ですね!」
「う・・・」
髭面の老人に連れられてきたのは3人の少女である。12歳以下で、3人とも金色の長い髪をしている。
「ふふっ、やはり人形は金髪にかぎりますね」
「っ・・・!」
少女を抱き寄せて、金色の髪の毛へと唇を落とす。香水をつけているらしく、花の香りが鼻腔をくすぐる。
「ふふ、ルクセリア・・・私のルクセリア・・・見ていてくれよ。いつか私が君を皇妃にしてみせるから・・・」
「うう・・・」
「やあ・・・」
少女達の服を剥ぎ取って白い肌をまさぐると、彼女達は口から嗚咽を漏らす。
涙まじりの声を堪能しつつ、私は愛しい妹の姿を思い浮かべた。
(ああ、ルクセリア。君はどんな声で啼くのかな?)
皇帝の椅子も、君の身体も。決して誰にも渡さない。
邪魔するものは、一人残らず始末してやる。
「まったく、みんな頭が悪くて嫌になりますね」
帝国御前会議が終わり、私は宮廷の廊下を歩いて行く。頭に浮かぶのは先ほどの会議の様子、愚かな兄弟達の姿だった。
兄であるラーズ・バアルは情に厚い性格が一部の者達に好かれているが、非情になるべきときに非情になることができず失敗を繰り返す愚か者。
弟であるスロウス・バアルは平和主義者を気取っているが、決断力がなく争い事から逃げているだけの臆病者。
どちらも栄光ある帝国の覇者にはふさわしくない。皇帝となり、この大陸を統一する覇王となることができるのは、私だけだ。
「さようでございますね。グリード殿下」
私の側近であるサイム・フルカスが自慢の白髭を撫でながら、追従してくる。
この世界には役に立つ馬鹿と、役に立たない馬鹿がいる。この老人は私が認めた数少ない役に立つ馬鹿の一人であった。
「いかに兄君とはいえ、あのような男が長子としてグリード様の上に立っているのは許しがたいことでございます。いと早く皇帝となって帝国に王道楽土をお築きくださいませ」
「ふっ、当然ですね。そのためにもラーズ兄上には早く消えてもらわなければ・・・」
私が皇帝となるための手段は二つある。
一つは、父の遺言を果たして敵国を滅ぼすこと。もう一つは、他の皇位継承者、特に長子であるラーズ兄上を殺してしまうことだ。
前者の条件については、すでに達成不可能であると諦めていた。
私が滅ぼすべき敵国として指定されたのは、北方遊牧民のサーメル民族である。
彼らは決まった国や都市を持っているわけではなく、広い草原をいくつかの部族に分かれて旅をしながら生活をしている。
ある部族を滅ぼしたかと思えば別の部族が攻め込んでくる。ある部族を包囲網で追い詰めたかと思えば、他の部族が後方で暴れている。
おまけに馬を乗りこなした彼らは神出鬼没そのもので、部族ごとにゲリラ戦を展開されて何度も辛酸を舐めさせられてきた。
自分に与えられた帝国第2軍団だけでサーメル民族を滅ぼすのは、いかに才能ある私の力を持ってしても不可能である。
早い段階で見切りをつけた私は、領内で大規模な徴税を行い、帝国北方に1000キロにおよぶ長城を築いてサーメル民族の攻撃を防ぐことに力を尽くした。
(そのせいで反乱を起こされたりはしましたけど・・・まったく、馬鹿は私の考えを理解できないから嫌ですね)
長城を築くことで北方に暮らす民はサーメル民族に怯えることなく生活できるようになる。そんな当たり前のことがわからず反乱を起こした馬鹿どもには、ずいぶんと苛立たされてしまった。
「苦労して築いた長城のおかげで、最低限の兵力で国境を守れるようになりました。これで兄上を討つ準備は整ったのですが・・・」
「スロウス殿下ですね、あとの問題は」
ラーズ兄上が率いる第1軍団は勝手に失敗して弱体化している。今なら、私の第2軍団で容易に潰すことができるだろう。
しかし、それをやってしまうと皇帝の遺言に反した反逆者の汚名を被ることになってしまい、スロウスに私を討つ大義名分を与えてしまう。
(いくらあの弟がやる気のない軟弱者とはいえ、第3軍団はほぼ無傷で残っていますから侮れませんね)
いっそのことラーズ兄上の方から攻めてきてくれれば、愚かな兄を討つ大義名分を得られるものを。
そんなことを考えながら歩いていると、宮廷の一角に作られた花畑が見えてきた。
そこにいたのは――
「っ! ルクセリア!」
「・・・グリードお兄様」
そこには天使の姿があった。私はフルカスをその場に置き去りにして、天使の元へと駆け寄った。
黄金のように輝く髪を背中まで伸ばした、天使のごとき美貌の少女。彼女の名前はルクセリア・バアル。皇帝の四番目の子供であり、唯一の娘。今年で18歳になる皇女である。
神に見放された戦乱の世界において、ルクセリアは唯一、神の愛を体現しているかのごとく美しさを持っていた。
「ああ、ルクセリア! 我が妹よ! 花摘みをしているのかい!? 今日も変わらず美しいね!」
「・・・ありがとうございます、兄上。会議は終わったのですか?」
私の賞賛の言葉に、なぜかルクセリアは表情を曇らせる。しかし、憂いに満ちた表情も美しく、私の心臓は高鳴るばかりだ。
(ああ、我が愛しい妹よ! いつか君の憂いを私が取り除いてみせる! この大陸の全てを手に入れて、君に捧げよう!)
自分以外の全てを見下している私であったが、目の前の妹だけは例外だ。この神が作った芸術のような少女こそが、世界の唯一の至宝なのだから。
「ああ、ラーズ兄上もスロウスも、頭が悪くてなかなか会議が進まなかったよ! やはり私が皇帝となるしかないようだ! そのときは・・・この世で最も美しい女性を皇妃に迎えるつもりだよ!」
「・・・そうですか、その女性は幸運ですね。私も祝福させていただきます」
「ああ、そうだとも! 彼女には最高の幸福を与えるつもりだ!」
遠回しなプロポーズのつもりだったのだが、ルクセリアは気がつかなかったらしい。少し鈍いところも可愛らしい!
「ルクセリア、この後、時間はあるかい? 良ければ一緒にお茶でも・・・」
「申し訳ありません、兄上。この後はダンスの稽古がありますので」
「け、稽古なんてまた時間を変えれば・・・」
勇気を振り絞っての誘いを袖にされて、私はなんとか言い募る。しかし――
「いずれ素敵な男性と結婚して、良き妻となるために必要なことですから。申し訳ありません」
「そうか! 花嫁修業ならば仕方がないな! 頑張ってきたまえ!」
「・・・失礼します」
ルクセリアが侍女を連れて立ち去っていく。
流れるような金髪とドレスに包まれた背中と腰、裾から覗く白い足首を後ろからじっくり鑑賞しつつ、ルクセリアを見送った。
「あ、あの・・・グリード殿下?」
「黙っていてください! 今、ルクセリアの姿を脳内保存しているのです!」
気まずそうに話しかけてくるフルカスに一喝して、私はルクセリアと過ごした一時を思い返す。
美しい金髪。青い瞳。白い肌。小鳥の囀りのような声。匂い立つような花の香り。
あますところなくすべてを記憶して、忘れることがないように心の宝石箱へとしまい込む。
たっぷり10分ほどかけてルクセリアとの時間を反復して、私はようやくフルカスの方へと顔を向ける。
(・・・・・・醜いですね)
ルクセリアと話した後だと、この髭面の老人がよりいっそう醜く見える。私の声は自然と不機嫌なものになってしまう。
「・・・まだいたのですか、何の用です?」
「えー・・・あー・・・申し訳ございません。殿下にひいきの商人から贈り物が届いているのをお伝えしていなかったもので」
「贈り物?」
「ええ、綺麗な人形ですよ」
「ほう! 部屋に届けさせなさい!」
私はフルカスへと命じて、跳ねるようにして宮廷内の自室へと向かった。
部屋でほんの少しだけ待っていると、扉がノックされてフルカスが「人形」を連れて入ってきた。
「どうぞ、殿下。存分にお楽しみください」
「ほう、これはこれは、よく出来た人形ですね!」
「う・・・」
髭面の老人に連れられてきたのは3人の少女である。12歳以下で、3人とも金色の長い髪をしている。
「ふふっ、やはり人形は金髪にかぎりますね」
「っ・・・!」
少女を抱き寄せて、金色の髪の毛へと唇を落とす。香水をつけているらしく、花の香りが鼻腔をくすぐる。
「ふふ、ルクセリア・・・私のルクセリア・・・見ていてくれよ。いつか私が君を皇妃にしてみせるから・・・」
「うう・・・」
「やあ・・・」
少女達の服を剥ぎ取って白い肌をまさぐると、彼女達は口から嗚咽を漏らす。
涙まじりの声を堪能しつつ、私は愛しい妹の姿を思い浮かべた。
(ああ、ルクセリア。君はどんな声で啼くのかな?)
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