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第2章 帝国騒乱 編
41.裁きの雷
side スロウス・バアル
【雷帝神槌】。またの名を『バベルの塔』。
それはかつてバアル帝国の初代皇帝がこの地にあった国を滅ぼして、帝国を建国するのに使用した魔具である。
帝国建国当時、冒険者であった初代皇帝ゼブル・バアルは平原だったこの場所に新種の古代遺跡を発見した。
仲間達と共にその遺跡を攻略したゼブルは、遺跡の最奥である装置を発見したらしい。ゼブルが装置を起動させると、天を衝くような巨大な塔が現れて神の力をゼブルへともたらした。ゼブルは神の力を使って帝国を建国して、周辺諸国を次々と滅ぼして併合していった。
しかし、その神の力には副作用があり、それ故にゼブルは【雷帝神槌】を禁忌の魔具として宮廷の奥深くへと封印した。
「誰が封印を・・・ラーズもグリードも遠征中のはずだろ?」
【雷帝神槌】の封印は初代皇帝の血を引く人間にしか解除することができないはずである。その資格を持った人間は地上に四人。自分とラーズ、グリード、ルクセリアだけである。
ラーズとグリードは西方に遠征中。ルクセリアは囚われの身で、そして自分はここにいる。宮廷内に封印を解くことができる者は誰もいないはずである。
「い、いや! そんなことはどうでもいい! 今すぐ軍を撤退させるぞ!」
「お、おいおい! ここまで包囲して何を言ってやがる! あの塔はそんなにやばいのか!?」
「やばいんだよ! もしも、あれが伝説通りの力を持っているのなら・・・」
俺が言葉を終えるよりも先に閃光が走った。天空から稲妻が降り注いで帝都を包囲している部隊を打ち抜いた。
ズダアアアアアアアアン!
「う、うわあああああああああ!」
「ら、落雷だあああああああっ!」
雷がたて続けに第3軍団と煌王朝の連合軍に襲いかかる。雨のように降り続く雷に蹴散らされて、次々と部隊が崩壊していく。
「くっ、伝説通りか!」
帝国最強の魔具である【雷帝神槌】は天空から雷を落とす魔具である。その威力は見ての通りである。いかに精強な軍勢といえども、神の裁きのごとき雷に対抗などできるわけがない。二つの軍団をたやすく壊滅され、兵士達は散り散りになって逃げていく。
「足を止めるな! 武器を捨ててもいいから、全員逃げろ! 生きてここから逃げ延びるんだ!」
「スロウス! なにやってル! お前も、逃げるゾ!」
「わかって・・・くうっ!」
「ぐああああああああああああっ!」
俺達がいる後陣にも雷が降ってきた。俺のすぐ傍にいたラゴウが雷撃に打たれて、黒焦げになって地面に倒れる。先ほどまで笑い合っていた友人をこんなにもあっさり失ってしまった。
どうやら俺がこの場所にいることが補足されたらしい。もはや逃げ場はなかった。
雷を放ち続けている塔を見上げて、俺は諦めたようにつぶやいた。
「やれやれ・・・・・・短い天下だったな」
「スロウス!」
俺の身体を押し倒してシャオマオが覆いかぶさってくる。
折り重なるように地面に倒れた俺達の身体を、容赦ない雷撃が射抜いた。
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