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第2章 帝国騒乱 編
59.暴走、崩壊、破滅
side グリード・バアル
「いったい・・・いったい、私が何をしたというんだ・・・?」
私の護衛であるメイド型ゴーレムとディンギル・マクスウェルが戦っている。
二人の戦いは最初こそ拮抗していたものの、すぐにゴーレムが押され始めて、じきに勝敗は決まってしまうだろう。
「こんなはずじゃなかった・・・私は、この帝国に理想郷を・・・」
自分は神に選ばれた人間だ。
こんなところで終わっていいはずがない。
「だって・・・いつも母様がそう言ってたじゃないか」
私は幼い頃の記憶を思い起こした。それは母がまだ生きていた頃のことである。
母は金色の髪がとても綺麗な女性で、その髪の美しさを見初められて皇帝に嫁ぐことになった。
正室となった母は結婚してからなかなか子宝に恵まれず、私が生まれたのは側室がラーズを生んだ後のことだった。
もしも私が長男として生まれていたのであれば、次期皇帝となるのは私で間違いなかっただろう。
しかし、長子継承という帝室の慣習を主張するものが思いのほか多く、そのせいで私は兄と皇帝の座を争うことになってしまった。
出産が遅くなってしまったことに責任を感じていたのか、母は私が幼い頃から私にずっと言い聞かせていた。
『あなたは神様に選ばれた子。次の皇帝になって大陸統一を成し遂げる人よ』
母にそう教えられてきた私は、皇帝になるために必死に努力した。
残念ながら体が弱く武勇の才には恵まれなかったが、それを補うべく政治や経済、帝王学を頭に叩き込んできた。
最初は、母を喜ばせたいだけだった。
母の望むように生きたい。母に笑っていて欲しい。それだけの理由で皇帝を目指していた。
しかし、母が病気で亡くなってから、私の中で何かが狂ってしまった。
「ははは・・・本当に何でこんなことに・・・」
メイド型ゴーレムの右肩が斬り飛ばされた。ゴーレムはこれで両手を失い、もはや戦うことはできないだろう。
ゴーレムが壊された後は、確実に自分に刃が向けられる。
私は殺される。
何も成し遂げることはなく、愛する者を奪われて。
「私は神に選ばれた人間だ・・・こんなところで死んでいい人間じゃないんだ。そうだ、これから大陸を統一して、大陸中に帝国の旗を立てるんだ。そして・・・」
この世で最も美しい女性を、妻に・・・
「ルクセリア・・・」
私が最高の女性と認めた彼女。母と同じく美しい金髪を持った彼女は、自分ではなくディンギル・マクスウェルの傍にいる。
ルクセリアがディンギル・マクスウェルを見つめる視線には明らかな恋慕の色が込められている。
「なんで、君がそこにいるんだ? どうして私を見てくれないんだ? どうして・・・」
どうして、私は一人きりなんだ?
騎士も、側近も、私の傍には誰もいない。
私が間違っていたというのか?
「違う・・・」
私は間違っていない。
そして、私が間違っていないのなら私以外の全てが間違っていたに違いない。
私を認めないルクセリアも。私を認めない世界も。何もかも、最初からおかしかったのだ。
「もういい! 皇帝の座も大陸統一も知ったことか! 消えろ、何もかも消えてしまえ!」
もはや全てがどうでもよくなった。
ディンギル・マクスウェルと対峙しているゴーレムへと高々と命じる。
「【守護石兵】、自爆しろ! 全て消し飛ばせ!」
「承知、イタシマシタ」
私の命にしたがって、ゴーレムの身体が赤と白に明滅する。数秒後にはその動力全てを破壊の炎へと変換するだろう。
「くっ!」
ディンギル・マクスウェルが異変を察して、ルクセリアを背中に庇う。
私は唇の端をつり上げて、ダメ押しの一手を放った。
「【雷帝神槌】! 最大出力だ! このフロア全てを消し飛ばせ!」
私の言葉に従って、雷を操る【雷帝神槌】が起動する。
塔の尖端に雷のエネルギーを集約される。神のごとき破壊の力が、己自身に向けて撃ち放たれた。
「あはははははははははは! 消えろっ! 全部消えてしまええええええええっ!」
無数の雷撃が天井を突き破って、最上階へと降りそそいでくる。
同時に、メイド型ゴーレムの身体から激しい爆炎が放出された。
視界の全てを雷と炎が余すとこなく覆い尽くし、目の前が真っ白に染まった。
「いったい・・・いったい、私が何をしたというんだ・・・?」
私の護衛であるメイド型ゴーレムとディンギル・マクスウェルが戦っている。
二人の戦いは最初こそ拮抗していたものの、すぐにゴーレムが押され始めて、じきに勝敗は決まってしまうだろう。
「こんなはずじゃなかった・・・私は、この帝国に理想郷を・・・」
自分は神に選ばれた人間だ。
こんなところで終わっていいはずがない。
「だって・・・いつも母様がそう言ってたじゃないか」
私は幼い頃の記憶を思い起こした。それは母がまだ生きていた頃のことである。
母は金色の髪がとても綺麗な女性で、その髪の美しさを見初められて皇帝に嫁ぐことになった。
正室となった母は結婚してからなかなか子宝に恵まれず、私が生まれたのは側室がラーズを生んだ後のことだった。
もしも私が長男として生まれていたのであれば、次期皇帝となるのは私で間違いなかっただろう。
しかし、長子継承という帝室の慣習を主張するものが思いのほか多く、そのせいで私は兄と皇帝の座を争うことになってしまった。
出産が遅くなってしまったことに責任を感じていたのか、母は私が幼い頃から私にずっと言い聞かせていた。
『あなたは神様に選ばれた子。次の皇帝になって大陸統一を成し遂げる人よ』
母にそう教えられてきた私は、皇帝になるために必死に努力した。
残念ながら体が弱く武勇の才には恵まれなかったが、それを補うべく政治や経済、帝王学を頭に叩き込んできた。
最初は、母を喜ばせたいだけだった。
母の望むように生きたい。母に笑っていて欲しい。それだけの理由で皇帝を目指していた。
しかし、母が病気で亡くなってから、私の中で何かが狂ってしまった。
「ははは・・・本当に何でこんなことに・・・」
メイド型ゴーレムの右肩が斬り飛ばされた。ゴーレムはこれで両手を失い、もはや戦うことはできないだろう。
ゴーレムが壊された後は、確実に自分に刃が向けられる。
私は殺される。
何も成し遂げることはなく、愛する者を奪われて。
「私は神に選ばれた人間だ・・・こんなところで死んでいい人間じゃないんだ。そうだ、これから大陸を統一して、大陸中に帝国の旗を立てるんだ。そして・・・」
この世で最も美しい女性を、妻に・・・
「ルクセリア・・・」
私が最高の女性と認めた彼女。母と同じく美しい金髪を持った彼女は、自分ではなくディンギル・マクスウェルの傍にいる。
ルクセリアがディンギル・マクスウェルを見つめる視線には明らかな恋慕の色が込められている。
「なんで、君がそこにいるんだ? どうして私を見てくれないんだ? どうして・・・」
どうして、私は一人きりなんだ?
騎士も、側近も、私の傍には誰もいない。
私が間違っていたというのか?
「違う・・・」
私は間違っていない。
そして、私が間違っていないのなら私以外の全てが間違っていたに違いない。
私を認めないルクセリアも。私を認めない世界も。何もかも、最初からおかしかったのだ。
「もういい! 皇帝の座も大陸統一も知ったことか! 消えろ、何もかも消えてしまえ!」
もはや全てがどうでもよくなった。
ディンギル・マクスウェルと対峙しているゴーレムへと高々と命じる。
「【守護石兵】、自爆しろ! 全て消し飛ばせ!」
「承知、イタシマシタ」
私の命にしたがって、ゴーレムの身体が赤と白に明滅する。数秒後にはその動力全てを破壊の炎へと変換するだろう。
「くっ!」
ディンギル・マクスウェルが異変を察して、ルクセリアを背中に庇う。
私は唇の端をつり上げて、ダメ押しの一手を放った。
「【雷帝神槌】! 最大出力だ! このフロア全てを消し飛ばせ!」
私の言葉に従って、雷を操る【雷帝神槌】が起動する。
塔の尖端に雷のエネルギーを集約される。神のごとき破壊の力が、己自身に向けて撃ち放たれた。
「あはははははははははは! 消えろっ! 全部消えてしまええええええええっ!」
無数の雷撃が天井を突き破って、最上階へと降りそそいでくる。
同時に、メイド型ゴーレムの身体から激しい爆炎が放出された。
視界の全てを雷と炎が余すとこなく覆い尽くし、目の前が真っ白に染まった。
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