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第3章 南海冒険編
31.海鳥の女王
「ミャー、ミャー」
「ミャー、ミャー、ミャアアアッ!」
港の上空を無数の海鳥が飛んでいる。
海鳥はそれぞれ足やクチバシに火のついたロープを持っており、上空から海賊船めがけて投下してくる。
海鳥の中には油が入った瓶を持ったものまでいて、火種に引火して燃え広がる。
炎は今まさに使おうとしていた焙烙玉や石火矢、『国滅ぼし』に使用する火薬に引火して爆炎を上げた。
ドオオオオオオオオオオン!
ドオオオオオオオオオオン!
ドオオオオオオオオオオン!
「ぎゃあああああああああああああっ!?」
次々と船が炎に飲み込まれて、黒煙が空へと昇る。
いくら火薬の扱いに慣れた海賊達であっても、まさか上空から火が降ってくるなど思いもしない。
悪魔の所業ような火の雨を降らせているのが見慣れた海鳥だと気がつく間もなく、悲鳴を上げながら炎に巻かれていった。
一方、灼熱地獄と化した港から少し離れた郊外の住宅地。ありふれた民家の玄関先に、一人の少女が立っていた。
潮風に青みがかった髪をなびかせる少女はディンギルの奴隷のスーである。
「はい、それじゃあゴハンを食べたらお仕事をしてくださいねー」
「みゃあっ」
「うん、気をつけていってらっしゃい」
「ミャー!」
スーが差し出した手に海鳥が群がっている。
海鳥は手に乗せられた豆を美味しそうについばんで、食事を終えるとロープと油を持って大空へと羽ばたいていく。
「・・・すごいな、本当に鳥を操れるのか?」
護衛として付けられている白鬼海賊団の男が呆けたように口を開けながら尋ねた。
ディンギルからスーの能力のことは聞いていたが、実際に目の前で鳥を操っている姿を見せられると驚かされてしまう。
「操っているわけではありませんよ? お願いして、助けてもらっているだけです」
「それでもすげえよ・・・海は広いな」
男はしみじみとため息をついて、ゆっくりと首を振った。
「それよりも、こんなことがご主人様の助けになるのでしょうか?」
「若さんがそう言ってるんだからそうなんだろうよ。ま、あの人ならうまくやるだろうよ」
「そうですか! ご主人様、褒めてくれるかな・・・」
「えらい懐きようだな・・・お嬢ちゃんと若さん、会ったばかりじゃなかったか?」
男がいぶかしげに問うと、スーは両手を胸に当てて花が咲くようと唇をほころばせた。
「お主人様は私の力を知って、初めて受け入れてくれた人ですから。父も、修道院の院長も、この力を知ってから急によそよそしくなりました。それに、ご主人様は私に新しい世界を教えてくれました」
「そりゃあ・・・」
あの人は美人だったら、何でもいいのでは?
そんな言葉を口にしそうになる男であったが、直前で言葉を飲み込んだ。
真っ白な海鳥に囲まれて幸せそうに眼を閉じる少女の姿はあまりにも神秘的で、無粋な言葉で汚すことが憚られたからだ。
白い羽が飛び散って少女の身体を取り巻いている。それはまるで、地上に降臨した天使のようである。
「やれやれ・・・どうしていい女はあの人にばっかり、惚れるんだか」
海の悪党である海賊には眩しすぎる光景から目を離して、男は唇を尖らせて不満そうに愚痴った。
ドオオオオオオオオオオン!
再び低い音が響き、遠くで黒煙が青空へと昇っていく。
ブルートスの港をめぐる戦いは佳境を迎え、終焉へと向かっていった。
「ミャー、ミャー、ミャアアアッ!」
港の上空を無数の海鳥が飛んでいる。
海鳥はそれぞれ足やクチバシに火のついたロープを持っており、上空から海賊船めがけて投下してくる。
海鳥の中には油が入った瓶を持ったものまでいて、火種に引火して燃え広がる。
炎は今まさに使おうとしていた焙烙玉や石火矢、『国滅ぼし』に使用する火薬に引火して爆炎を上げた。
ドオオオオオオオオオオン!
ドオオオオオオオオオオン!
ドオオオオオオオオオオン!
「ぎゃあああああああああああああっ!?」
次々と船が炎に飲み込まれて、黒煙が空へと昇る。
いくら火薬の扱いに慣れた海賊達であっても、まさか上空から火が降ってくるなど思いもしない。
悪魔の所業ような火の雨を降らせているのが見慣れた海鳥だと気がつく間もなく、悲鳴を上げながら炎に巻かれていった。
一方、灼熱地獄と化した港から少し離れた郊外の住宅地。ありふれた民家の玄関先に、一人の少女が立っていた。
潮風に青みがかった髪をなびかせる少女はディンギルの奴隷のスーである。
「はい、それじゃあゴハンを食べたらお仕事をしてくださいねー」
「みゃあっ」
「うん、気をつけていってらっしゃい」
「ミャー!」
スーが差し出した手に海鳥が群がっている。
海鳥は手に乗せられた豆を美味しそうについばんで、食事を終えるとロープと油を持って大空へと羽ばたいていく。
「・・・すごいな、本当に鳥を操れるのか?」
護衛として付けられている白鬼海賊団の男が呆けたように口を開けながら尋ねた。
ディンギルからスーの能力のことは聞いていたが、実際に目の前で鳥を操っている姿を見せられると驚かされてしまう。
「操っているわけではありませんよ? お願いして、助けてもらっているだけです」
「それでもすげえよ・・・海は広いな」
男はしみじみとため息をついて、ゆっくりと首を振った。
「それよりも、こんなことがご主人様の助けになるのでしょうか?」
「若さんがそう言ってるんだからそうなんだろうよ。ま、あの人ならうまくやるだろうよ」
「そうですか! ご主人様、褒めてくれるかな・・・」
「えらい懐きようだな・・・お嬢ちゃんと若さん、会ったばかりじゃなかったか?」
男がいぶかしげに問うと、スーは両手を胸に当てて花が咲くようと唇をほころばせた。
「お主人様は私の力を知って、初めて受け入れてくれた人ですから。父も、修道院の院長も、この力を知ってから急によそよそしくなりました。それに、ご主人様は私に新しい世界を教えてくれました」
「そりゃあ・・・」
あの人は美人だったら、何でもいいのでは?
そんな言葉を口にしそうになる男であったが、直前で言葉を飲み込んだ。
真っ白な海鳥に囲まれて幸せそうに眼を閉じる少女の姿はあまりにも神秘的で、無粋な言葉で汚すことが憚られたからだ。
白い羽が飛び散って少女の身体を取り巻いている。それはまるで、地上に降臨した天使のようである。
「やれやれ・・・どうしていい女はあの人にばっかり、惚れるんだか」
海の悪党である海賊には眩しすぎる光景から目を離して、男は唇を尖らせて不満そうに愚痴った。
ドオオオオオオオオオオン!
再び低い音が響き、遠くで黒煙が青空へと昇っていく。
ブルートスの港をめぐる戦いは佳境を迎え、終焉へと向かっていった。
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