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第3章 南海冒険編
32.戦いの終わり
ドオオオオオオオオオオン!
「なんて、恐ろしい」
爆炎を上げて沈んでいく海賊船を見ながら、サクヤが顔を青ざめさせた。
俺とサクヤは、乗組員を皆殺しにした船から、周囲の海賊船を眺めている。
大小200隻はあった海賊船も、すでに半数近くが海の藻屑に代わっていた。
また一つ、目の前で大型船が火を上げて横倒しになり、近くの小型船を巻き込んで海の底へと消えていく。
「まさか、あの奴隷の女がこれほどのことをしでかすとは・・・危険ですね」
「そう言ってやるなよ。ああ見えて、脱ぐと良い身体をしてるんだぜ?」
「・・・そんなことは聞いていません。あの能力を暗殺や諜報に使われたら、対処の使用がありません」
サクヤが不満そうにこちらを睨んでいってくる。
暗殺、諜報を生業とする『鋼牙』もタカやフクロウを使役することはあるが、せいぜい伝書鳩のように手紙を運ばせるくらいのものである。
あれほど見事に海鳥を操ることができる者などいなかった。
「そうだな・・・鳥を使っての偵察。ネズミや猫を家に侵入させて毒を仕込む。やり方次第ではいくらでも悪用ができる能力だ」
「本当に敵でなくてよかったですね・・・よければ、あの娘を『鋼牙』に預けてみてはどうでしょう? きっと、有能な暗殺者になりますよ」
サクヤの言葉に俺はしばらく考えて、やがて首を横に振った。
「それも悪くはないが・・・残念ながら、彼女が俺の奴隷になっているのはガーネット王国につくまでの期間限定だ。守れる約束は守らないとな」
「そんな約束はどうとでもなるでしょう? いつものように、夜の手練手管で虜にしてしまえば良いでしょうに」
「そうだなあ・・・」
揶揄するように言ってくるサクヤに苦笑を返して、俺は海鳥が舞う空を見上げた。
あの能力は放置するにはあまりにも危険で、ついでにあの美貌は手放すにはあまりにも勿体ない。
ずっと手元に置いておきたいのは山々だ。
「それができればいいけど・・・こっちも命がけになるだろうな」
「は? 不感症なのですか?」
俺の言葉にサクヤは失礼な発言をしながら首を傾げた。
会ったばかりのサクヤは知らないだろうが、夜のスーは昼間以上の怪物級である。
手籠めにするどころか、精魂吸い尽くされてこっちがミイラになってしまうかもしれない。
「じきにお前もわかるさ。世の中は広い。俺達が知らない力を持った化け物がいるってな」
「よくわかりませんが・・・まあ、今はいいです。それで、この後はどうするおつもりで?」
炎と煙から逃れることができた海賊が敗走を始めている。
辛くも海に逃げてきた上陸部隊を拾い上げて、港から撤退していく。
遅れて港に到着した海賊が海の向こうに遠ざかっていく味方の船を目にして、怨嗟の声を上げて膝をついている
そんな海賊も追撃してきた傭兵に追い詰められて、武器を捨てて降伏する。
「もう戦いは終わりだ。これ以上、戦う必要はないな」
「追撃はよろしいのですか?」
「海の向こうにどうやって追いかけるんだよ。こっちは奪った海賊船が一隻。沖で戦ったら勝ち目はないだろう」
「承知いたしました。それでは、お茶の用意でもしましょうか」
サクヤがどこから取り出したのか、メイド服に着替えて瓶からカップにお茶を注ぐ。
「少し冷めていますが、お許しを」
「ああ」
俺は短く返事をして、血まみれの死体が転がる船の上でお茶を入れるメイドの背中を観察した。
手際よくお茶の用意をするサクヤの髪は潜入のために短く切られていて、いつもは見えない首元もはっきりと見えている。
「なるほどな・・・ショートカットも悪くないじゃないか」
白いうなじをじっくりと鑑賞しながら、俺は口元に笑みを浮かべた。
「なんて、恐ろしい」
爆炎を上げて沈んでいく海賊船を見ながら、サクヤが顔を青ざめさせた。
俺とサクヤは、乗組員を皆殺しにした船から、周囲の海賊船を眺めている。
大小200隻はあった海賊船も、すでに半数近くが海の藻屑に代わっていた。
また一つ、目の前で大型船が火を上げて横倒しになり、近くの小型船を巻き込んで海の底へと消えていく。
「まさか、あの奴隷の女がこれほどのことをしでかすとは・・・危険ですね」
「そう言ってやるなよ。ああ見えて、脱ぐと良い身体をしてるんだぜ?」
「・・・そんなことは聞いていません。あの能力を暗殺や諜報に使われたら、対処の使用がありません」
サクヤが不満そうにこちらを睨んでいってくる。
暗殺、諜報を生業とする『鋼牙』もタカやフクロウを使役することはあるが、せいぜい伝書鳩のように手紙を運ばせるくらいのものである。
あれほど見事に海鳥を操ることができる者などいなかった。
「そうだな・・・鳥を使っての偵察。ネズミや猫を家に侵入させて毒を仕込む。やり方次第ではいくらでも悪用ができる能力だ」
「本当に敵でなくてよかったですね・・・よければ、あの娘を『鋼牙』に預けてみてはどうでしょう? きっと、有能な暗殺者になりますよ」
サクヤの言葉に俺はしばらく考えて、やがて首を横に振った。
「それも悪くはないが・・・残念ながら、彼女が俺の奴隷になっているのはガーネット王国につくまでの期間限定だ。守れる約束は守らないとな」
「そんな約束はどうとでもなるでしょう? いつものように、夜の手練手管で虜にしてしまえば良いでしょうに」
「そうだなあ・・・」
揶揄するように言ってくるサクヤに苦笑を返して、俺は海鳥が舞う空を見上げた。
あの能力は放置するにはあまりにも危険で、ついでにあの美貌は手放すにはあまりにも勿体ない。
ずっと手元に置いておきたいのは山々だ。
「それができればいいけど・・・こっちも命がけになるだろうな」
「は? 不感症なのですか?」
俺の言葉にサクヤは失礼な発言をしながら首を傾げた。
会ったばかりのサクヤは知らないだろうが、夜のスーは昼間以上の怪物級である。
手籠めにするどころか、精魂吸い尽くされてこっちがミイラになってしまうかもしれない。
「じきにお前もわかるさ。世の中は広い。俺達が知らない力を持った化け物がいるってな」
「よくわかりませんが・・・まあ、今はいいです。それで、この後はどうするおつもりで?」
炎と煙から逃れることができた海賊が敗走を始めている。
辛くも海に逃げてきた上陸部隊を拾い上げて、港から撤退していく。
遅れて港に到着した海賊が海の向こうに遠ざかっていく味方の船を目にして、怨嗟の声を上げて膝をついている
そんな海賊も追撃してきた傭兵に追い詰められて、武器を捨てて降伏する。
「もう戦いは終わりだ。これ以上、戦う必要はないな」
「追撃はよろしいのですか?」
「海の向こうにどうやって追いかけるんだよ。こっちは奪った海賊船が一隻。沖で戦ったら勝ち目はないだろう」
「承知いたしました。それでは、お茶の用意でもしましょうか」
サクヤがどこから取り出したのか、メイド服に着替えて瓶からカップにお茶を注ぐ。
「少し冷めていますが、お許しを」
「ああ」
俺は短く返事をして、血まみれの死体が転がる船の上でお茶を入れるメイドの背中を観察した。
手際よくお茶の用意をするサクヤの髪は潜入のために短く切られていて、いつもは見えない首元もはっきりと見えている。
「なるほどな・・・ショートカットも悪くないじゃないか」
白いうなじをじっくりと鑑賞しながら、俺は口元に笑みを浮かべた。
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