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第3章 南海冒険編
42.腐った人間
「スー、見るな」
「あ・・・」
俺は地面に膝をついて呆然としているスーの両眼を腕で覆い、修道女たちの死体から目を隠した。
10人ほどの修道女は、両手を広げて十字架にかけられた状態で広場にさらされていた。
どれほどの時間そうされていたのか、彼女達の身体は乾ききって黒いミイラになっている。
磔台には死臭に誘われたカラスが集まっているが、全ての水分を失った修道女の身体には啄ばむところさえないようだ。
カラスはやってきた俺達の姿を見て、慌てて空に飛び去って行った。
「ごしゅ、じんさま・・・あれは・・・みんなは・・・」
「何も考えるな。何も言うな。これは主人の命令だ」
「あうっ・・・」
ぎゅう、と身体にしがみついてくるスーを抱きしめ返して、俺は忌々しげに修道女の骸へと視線を戻した。
「腹が立つ光景だな・・・誰がこんなことをやりやがった!」
神に仕える乙女の無残な末路は、あまりにも無残で冒涜的なものだった。
彼らの身体には外傷らしきものはない。おそらく、生きたまま磔にされて衰弱死するまで放置されたのだろう。
飢えと渇きに苦しみながら死んでいった彼女らの姿を思うと、信仰心の薄い俺にだって怒りが湧いてきた。
「神がどうとかいう気はないが・・・女を粗末に扱いやがって! 女を殺すのはベッドの中だけで十分だろうが・・・!」
目の前の光景を作り出した人間に激しい憎悪を抱きながら、俺は背後へと声を投げる。
「サクヤ」
「はい、ここに」
「任せた」
情報収集に出たはずの彼女がどうしてここにいるのか、そんなつまらないことを言及することはなく、俺はスーの身体をメイド服の少女へと押しつけた。
「俺は無神論者だが、弔いぐらいはしてやろう。男だったら放置でよかったんだけどな」
磔台へと歩み寄り、俺は軽く黙とうをささげた。
修道女の中には若い女性もいて、生前はさぞや美人であったのがうかがえる。
「できれば生きているうちに会いたかったぜ。神に仕える女を夜這いとか、一度はやってみたかったんだけどな。心からの冥福を祈る。あの世で会うことがあったら、一回抱かせてくれよな」
神がいるとしたら激怒しかねないゲスな祈りをささげて、俺は剣を抜いて修道女を拘束しているロープを切ろうとする。
「降ろしてはならぬ!」
「あ?」
しかし、そんな俺へと制止の声がかけられた。
振り返ると、こちらを睨みつける年配の男の姿があった。男の声を聴いたのか、近くの民家からもワラワラと人が出てきた。
「へえ、こんなに人がいたのかよ。貝みたいに閉じこもりやがって、全然気がつかなかったぜ」
「その女達を降ろすんじゃない! ドレーク様を怒らせてしまうだろうが!」
「ドレーク・・・その男が彼女達を?」
俺が睨みつけると、男はたじろいだように一歩、二歩と後ろに下がる。
しかし、周囲に人が集まっているのを見て、再び声を上げる。
「そうだ! これはこの国の総督となったドレーク様のご命令により行われたことだ! 彼女達の犠牲によって、この町は獅子王国に征服されてからも重税を免れているのだ! よそ者が余計なことをするんじゃない!」
「そうよ! ドレーク様を怒らせたら、私達が同じ目に遭うでしょ!」
「出ていけ! 外国人が!」
周囲に集まった人々も、男に同調してこちらに罵声の言葉をかけてくる。
俺は鬱陶しそうに目を細めて、男に尋ねた。
「へえ、ずいぶんとドレーク様とやらに忠実なんだな。ひょっとして、彼女らを磔にしたのはお前らだったりするのか?」
「そ、それは・・・」
俺の言葉に、男は見る見るうちに顔を青くした。どうやら、図星であったらしい。
「酷いことをするよな。修道女にこんなことをして、罰が当たるぜ?」
俺は目線を鋭くして、青ざめた男の顔を睨みつけた。
「あ・・・」
俺は地面に膝をついて呆然としているスーの両眼を腕で覆い、修道女たちの死体から目を隠した。
10人ほどの修道女は、両手を広げて十字架にかけられた状態で広場にさらされていた。
どれほどの時間そうされていたのか、彼女達の身体は乾ききって黒いミイラになっている。
磔台には死臭に誘われたカラスが集まっているが、全ての水分を失った修道女の身体には啄ばむところさえないようだ。
カラスはやってきた俺達の姿を見て、慌てて空に飛び去って行った。
「ごしゅ、じんさま・・・あれは・・・みんなは・・・」
「何も考えるな。何も言うな。これは主人の命令だ」
「あうっ・・・」
ぎゅう、と身体にしがみついてくるスーを抱きしめ返して、俺は忌々しげに修道女の骸へと視線を戻した。
「腹が立つ光景だな・・・誰がこんなことをやりやがった!」
神に仕える乙女の無残な末路は、あまりにも無残で冒涜的なものだった。
彼らの身体には外傷らしきものはない。おそらく、生きたまま磔にされて衰弱死するまで放置されたのだろう。
飢えと渇きに苦しみながら死んでいった彼女らの姿を思うと、信仰心の薄い俺にだって怒りが湧いてきた。
「神がどうとかいう気はないが・・・女を粗末に扱いやがって! 女を殺すのはベッドの中だけで十分だろうが・・・!」
目の前の光景を作り出した人間に激しい憎悪を抱きながら、俺は背後へと声を投げる。
「サクヤ」
「はい、ここに」
「任せた」
情報収集に出たはずの彼女がどうしてここにいるのか、そんなつまらないことを言及することはなく、俺はスーの身体をメイド服の少女へと押しつけた。
「俺は無神論者だが、弔いぐらいはしてやろう。男だったら放置でよかったんだけどな」
磔台へと歩み寄り、俺は軽く黙とうをささげた。
修道女の中には若い女性もいて、生前はさぞや美人であったのがうかがえる。
「できれば生きているうちに会いたかったぜ。神に仕える女を夜這いとか、一度はやってみたかったんだけどな。心からの冥福を祈る。あの世で会うことがあったら、一回抱かせてくれよな」
神がいるとしたら激怒しかねないゲスな祈りをささげて、俺は剣を抜いて修道女を拘束しているロープを切ろうとする。
「降ろしてはならぬ!」
「あ?」
しかし、そんな俺へと制止の声がかけられた。
振り返ると、こちらを睨みつける年配の男の姿があった。男の声を聴いたのか、近くの民家からもワラワラと人が出てきた。
「へえ、こんなに人がいたのかよ。貝みたいに閉じこもりやがって、全然気がつかなかったぜ」
「その女達を降ろすんじゃない! ドレーク様を怒らせてしまうだろうが!」
「ドレーク・・・その男が彼女達を?」
俺が睨みつけると、男はたじろいだように一歩、二歩と後ろに下がる。
しかし、周囲に人が集まっているのを見て、再び声を上げる。
「そうだ! これはこの国の総督となったドレーク様のご命令により行われたことだ! 彼女達の犠牲によって、この町は獅子王国に征服されてからも重税を免れているのだ! よそ者が余計なことをするんじゃない!」
「そうよ! ドレーク様を怒らせたら、私達が同じ目に遭うでしょ!」
「出ていけ! 外国人が!」
周囲に集まった人々も、男に同調してこちらに罵声の言葉をかけてくる。
俺は鬱陶しそうに目を細めて、男に尋ねた。
「へえ、ずいぶんとドレーク様とやらに忠実なんだな。ひょっとして、彼女らを磔にしたのはお前らだったりするのか?」
「そ、それは・・・」
俺の言葉に、男は見る見るうちに顔を青くした。どうやら、図星であったらしい。
「酷いことをするよな。修道女にこんなことをして、罰が当たるぜ?」
俺は目線を鋭くして、青ざめた男の顔を睨みつけた。
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