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第4章 砂漠陰謀編
50.死者の都
砂漠の砂を蹴るたびに砂塵が舞い上がる。
巻き上がった砂の嵐を背中に背負い、俺は両脚で乾いた大地を蹴り続ける。腕輪からあふれ出した金色の光を身に纏い、ひたすらにまっすぐと西へと進んで行った。
「ははっ・・・速すぎてクセになりそうだぜ!」
まるで雷光が閃くように周囲の景色が流れていく。
【豪腕英傑】の奥義である『天主帝釈』。その力によって限界を超えて引き出された身体能力は、かつて馬に【豪腕英傑】を使った時のスピードをも遥かに凌いでいる。
風も、音すらも置き去りにして、本来であれば数日かけて旅するであろう距離を数分で踏破してしまう。
まるで周囲の時間が止まっているようにすら感じる。
「少しきついが・・・想像していたほどではないな」
以前、『天主帝釈』を使用したときには数秒発動させるのがやっとで、キャプテン・ドレークに一撃を叩きこんだだけで疲労困憊になってしまった。
しかし、二度目の使用で身体が慣れたのか、今はあの時ほどの倦怠感は感じない。それどころか、癒しの力で疲労が軽減されて心地よいくらいである。
もちろん、過度に使用すればたとえ俺が不老不死の母親を持っているとしても、いずれは寿命が尽きてしまう。どこかで誘惑を断ち切る確固たる覚悟が必要になるだろう。
「調子に乗ってもいられないが・・・それはおいおい考えればいいな・・・ん?」
俺は大きく跳びあがって砂丘の上に着地した。
小高い砂の丘から見下ろした先、碧い水が流れる巨大な大河が姿を現わした。
「・・・どうやら思ったよりも近くにあったみたいだな。もう到着だ」
南北に砂漠を真っ二つに割る大河の畔、水の流れに沿うようにして石造りの町が築かれていた。
そして――大河の水を吸い上げて生い茂っている緑の大地の向こう側、巨大な三角の建物がそびえたっている。
いったい人間の手でどのようにしてこれほどのサイズの建築物を建てたのだろうか。それとも、特殊な魔具や神の力でも借りたというのだろうか。
そこに立っていた三角の建物は間違いなくランペルージ王国の王城よりも巨大で、見る者を圧倒させるような圧倒的なたたずまいであった。
「こいつはデカい。これほどの建築物を砂漠に建てるとは恐れ入るぜ」
俺は口を笑みの形に歪めてつぶやいた。
腕輪の力を解除して光の鎧を消し去った。途端に重々しい疲労感が身体の奥底から湧き出してくるが、動けないほどではなかった。
砂丘に立つ俺の眼下では、石造りの町の中をミイラが闊歩している。乾いた肉体の死者はときおり町から出て地平線を目指して歩いていく。おそらく、獲物を求めて砂漠をさまよい出て行ったのだろう。
彼らの向かう方角は東と西。東に行けば俺達が住むランペルージ王国があるが・・・ひょっとしたら、砂漠の西側にも人間が住む土地があるのだろうか?
(遥か西のかなたに楽園の地『ガンドゥーラ』があり・・・だったかな。ガキの頃に読んだ絵本に描いてあったのは)
「・・・世界は俺が思う以上に広いってことか。いや、それは今はいいか」
俺は死者が歩き回る廃墟の都市を見下ろして、牙を剥いて笑った。
「まさに『死者の都』だな・・・そして、あの三角の城の中に奴らを統べる女王とやらがいる。さあ、終わりの刻だ。地獄の蓋を閉めに来たぜ!」
俺は砂を滑り降りて町の中へと飛び込んだ。
途端に集まってくる死者の群れを片っ端から剣で斬り捨てて、まっすぐに三角の城へと走って行った。
巻き上がった砂の嵐を背中に背負い、俺は両脚で乾いた大地を蹴り続ける。腕輪からあふれ出した金色の光を身に纏い、ひたすらにまっすぐと西へと進んで行った。
「ははっ・・・速すぎてクセになりそうだぜ!」
まるで雷光が閃くように周囲の景色が流れていく。
【豪腕英傑】の奥義である『天主帝釈』。その力によって限界を超えて引き出された身体能力は、かつて馬に【豪腕英傑】を使った時のスピードをも遥かに凌いでいる。
風も、音すらも置き去りにして、本来であれば数日かけて旅するであろう距離を数分で踏破してしまう。
まるで周囲の時間が止まっているようにすら感じる。
「少しきついが・・・想像していたほどではないな」
以前、『天主帝釈』を使用したときには数秒発動させるのがやっとで、キャプテン・ドレークに一撃を叩きこんだだけで疲労困憊になってしまった。
しかし、二度目の使用で身体が慣れたのか、今はあの時ほどの倦怠感は感じない。それどころか、癒しの力で疲労が軽減されて心地よいくらいである。
もちろん、過度に使用すればたとえ俺が不老不死の母親を持っているとしても、いずれは寿命が尽きてしまう。どこかで誘惑を断ち切る確固たる覚悟が必要になるだろう。
「調子に乗ってもいられないが・・・それはおいおい考えればいいな・・・ん?」
俺は大きく跳びあがって砂丘の上に着地した。
小高い砂の丘から見下ろした先、碧い水が流れる巨大な大河が姿を現わした。
「・・・どうやら思ったよりも近くにあったみたいだな。もう到着だ」
南北に砂漠を真っ二つに割る大河の畔、水の流れに沿うようにして石造りの町が築かれていた。
そして――大河の水を吸い上げて生い茂っている緑の大地の向こう側、巨大な三角の建物がそびえたっている。
いったい人間の手でどのようにしてこれほどのサイズの建築物を建てたのだろうか。それとも、特殊な魔具や神の力でも借りたというのだろうか。
そこに立っていた三角の建物は間違いなくランペルージ王国の王城よりも巨大で、見る者を圧倒させるような圧倒的なたたずまいであった。
「こいつはデカい。これほどの建築物を砂漠に建てるとは恐れ入るぜ」
俺は口を笑みの形に歪めてつぶやいた。
腕輪の力を解除して光の鎧を消し去った。途端に重々しい疲労感が身体の奥底から湧き出してくるが、動けないほどではなかった。
砂丘に立つ俺の眼下では、石造りの町の中をミイラが闊歩している。乾いた肉体の死者はときおり町から出て地平線を目指して歩いていく。おそらく、獲物を求めて砂漠をさまよい出て行ったのだろう。
彼らの向かう方角は東と西。東に行けば俺達が住むランペルージ王国があるが・・・ひょっとしたら、砂漠の西側にも人間が住む土地があるのだろうか?
(遥か西のかなたに楽園の地『ガンドゥーラ』があり・・・だったかな。ガキの頃に読んだ絵本に描いてあったのは)
「・・・世界は俺が思う以上に広いってことか。いや、それは今はいいか」
俺は死者が歩き回る廃墟の都市を見下ろして、牙を剥いて笑った。
「まさに『死者の都』だな・・・そして、あの三角の城の中に奴らを統べる女王とやらがいる。さあ、終わりの刻だ。地獄の蓋を閉めに来たぜ!」
俺は砂を滑り降りて町の中へと飛び込んだ。
途端に集まってくる死者の群れを片っ端から剣で斬り捨てて、まっすぐに三角の城へと走って行った。
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