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プロローグ 皇帝殺しの悪役令嬢
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「イヤアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
暗い牢屋の中、若い女性の悲鳴が響きわたる。
固く冷たい石の床に組み臥されて複数の男から狼藉を受けているのは、白銀色の髪を腰まで伸ばした十代後半の女性である。
瞳の色は鮮やかな翡翠色。顔立ちは王侯貴族でも滅多に見ないほど整っていた。
しかし、そんな美しい顔が涙でグチャグチャになっており、男達の凌辱を必死になって耐えている。
「どうして……どうして、私がこんな目に……!」
女性が涙を流しながら、自身が置かれている絶望的な状況を嘆く。
彼女の名前はアリーシャ・レイベルン。
エイルーン帝国の筆頭貴族であるレイベルン公爵家の令嬢であり、いずれは皇太子に嫁いで皇太子妃となるはずだった。
しかし、アリーシャがいつものように皇妃教育を受けるべく城を訪れたところ、騎士によって取り押さえられて地下牢に閉じこめられてしまった。
アリーシャに突きつけられたのは身に覚えのない罪。皇帝と皇妃に毒を盛って殺害したという罪状である。
一方的に拘束を受けて、アリーシャは必死になって抗弁した。
そもそも、皇帝夫妻が殺害された時間にはアリーシャは自宅の屋敷にいた。毒を飲ませることなど不可能である。
人を使って毒を飲ませたという主張も強引だった。
そもそも、人を介したのであれば犯人がアリーシャである必要はない。誰にだって可能ということになってしまうのだから。
公爵である父親に連絡してくれと訴えるアリーシャであったが……彼女の要求が通ることはなかった。
アリーシャは地下牢に幽閉されることになり、尋問という名前の強姦を受けることになったのである。
「いや……いやよ……どうして、私が何をしたというのですか……!」
「わからないのか、アリーシャ」
「貴方は……!」
冷たい声が牢屋に響く。
恐怖から閉ざしていた両目を開くと……そこには皇太子にして婚約者であるルーデリヒ・エイルーンの姿があった。
「殿下……どうして、こんなことを! やめさせてください……!」
「やめるわけがないだろう。皇帝夫妻を殺した大罪人め!」
「そんな……! 殿下まで私が陛下達を殺したというのですか!?」
アリーシャは愕然とした。
まさか、婚約者であるルーデリヒまで自分が皇帝と皇妃を殺害した下手人であると思っているのか。
「……全て、お前が悪いのだ。お前さえいなければ、予はエリスと結ばれることができたというのに……!」
「え、エリスって……? 殿下、何をおっしゃっているのですか……!?」
エリスという名前に一人の令嬢の顔が頭に浮かぶ。
同名の別人でなければ、最近になって社交界を騒がせている令嬢の名前だ。
その令嬢は男爵家の娘でありながら、太陽のような明るさと愛らしさで若い男性を魅了しているという。
エリスを巡って何人もの男達が婚約破棄をしたり、多額の金銭を貢いだりして、大層な騒ぎになっていると聞いたが……まさか、皇太子であるルーデリヒまで彼女に傾倒しているというのだろうか?
「父上と母上もだ。エリスと婚約者を交代してくれとあんなに訴えたのに、一向に受け入れてくれないからこんなことに……! 素直に私の要望を受け入れてくれたのであれば、毒を盛るなどということをせずに済んだものを……!」
「で、殿下、貴方はまさか……!」
耳を疑うような言葉を聞かされ、アリーシャは愕然と凍りついた。
「まさか……そんなことのために、貴方は皇帝陛下と皇妃様を殺害したのですか!? 婚約者である私にあらぬ罪を被せてまで。そうまでして、エリスという女性と結ばれたかったというのですか!?」
「当然だ! エリス以外の女を妻にするだなんてあり得ない!」
ルーデリヒが噛みつくように答える。
爛々と輝く瞳は狂気にも近い色に染まっていた。
愛する女性のために長年の親交がある婚約者を裏切り、親殺しまで成し遂げた男の目である。
「……予とて鬼ではないからな。これまでの功績に免じて国外追放で許してやる」
「そ、そんな……殿下……!」
「ルーデリヒ殿下、まだ一番美味い部分は残っていますよ! 良かったら貴方も食っていきませんか?」
尋問をしていた男の一人……皇太子の側近である青年が下卑た笑みで言う。
「そうだな……妻には出来ぬが、一度くらいは味わってやるか」
側近の誘いを受けて、ルーデリヒが上着を脱ぎ捨てる。
「お前はエリスのような愛らしさも明るさも持っていない氷のような女だが、それでも容姿だけは認めている。その澄ました美貌を苦痛で歪ませてやりたいとずっと思っていた」
「ヒッ……!」
ルーデリヒがアリーシャに覆いかぶさる。
先ほどまで他の女への愛を語っていながら、同じ口で抵抗できない女にむしゃぶりつく。
矛盾している男の欲望。自分の婚約者がケダモノであったと思い知らされる。
「後のことは心配するな。お前の父親……レイベルン公爵とは話がついている。お前は何も考えずに踏みにじられ、そのまま野垂れ死にすればいいのだ」
「ッ……イヤアアアアアアアアアアアアアッ!」
アリーシャの絶叫が牢内にこだまする。
ルーデリヒが、側近達が代わる代わるアリーシャの身体にまたがり、熟れた肢体を容赦なく貪っていく。
アリーシャが解放されたのは翌朝のこと。
解放されると同時に、皇帝夫妻を殺害したことへの処罰も下された。
降された刑罰は国外追放。
皇帝殺しの処罰としてはあまりにも軽すぎるが、アリーシャは自分が無実であることを知っている。
男達に蹂躙され尽くしたアリーシャはゴミでも処分するかのように国境の街道に捨てられ、二度と祖国に戻ってくることはなかったのである。
暗い牢屋の中、若い女性の悲鳴が響きわたる。
固く冷たい石の床に組み臥されて複数の男から狼藉を受けているのは、白銀色の髪を腰まで伸ばした十代後半の女性である。
瞳の色は鮮やかな翡翠色。顔立ちは王侯貴族でも滅多に見ないほど整っていた。
しかし、そんな美しい顔が涙でグチャグチャになっており、男達の凌辱を必死になって耐えている。
「どうして……どうして、私がこんな目に……!」
女性が涙を流しながら、自身が置かれている絶望的な状況を嘆く。
彼女の名前はアリーシャ・レイベルン。
エイルーン帝国の筆頭貴族であるレイベルン公爵家の令嬢であり、いずれは皇太子に嫁いで皇太子妃となるはずだった。
しかし、アリーシャがいつものように皇妃教育を受けるべく城を訪れたところ、騎士によって取り押さえられて地下牢に閉じこめられてしまった。
アリーシャに突きつけられたのは身に覚えのない罪。皇帝と皇妃に毒を盛って殺害したという罪状である。
一方的に拘束を受けて、アリーシャは必死になって抗弁した。
そもそも、皇帝夫妻が殺害された時間にはアリーシャは自宅の屋敷にいた。毒を飲ませることなど不可能である。
人を使って毒を飲ませたという主張も強引だった。
そもそも、人を介したのであれば犯人がアリーシャである必要はない。誰にだって可能ということになってしまうのだから。
公爵である父親に連絡してくれと訴えるアリーシャであったが……彼女の要求が通ることはなかった。
アリーシャは地下牢に幽閉されることになり、尋問という名前の強姦を受けることになったのである。
「いや……いやよ……どうして、私が何をしたというのですか……!」
「わからないのか、アリーシャ」
「貴方は……!」
冷たい声が牢屋に響く。
恐怖から閉ざしていた両目を開くと……そこには皇太子にして婚約者であるルーデリヒ・エイルーンの姿があった。
「殿下……どうして、こんなことを! やめさせてください……!」
「やめるわけがないだろう。皇帝夫妻を殺した大罪人め!」
「そんな……! 殿下まで私が陛下達を殺したというのですか!?」
アリーシャは愕然とした。
まさか、婚約者であるルーデリヒまで自分が皇帝と皇妃を殺害した下手人であると思っているのか。
「……全て、お前が悪いのだ。お前さえいなければ、予はエリスと結ばれることができたというのに……!」
「え、エリスって……? 殿下、何をおっしゃっているのですか……!?」
エリスという名前に一人の令嬢の顔が頭に浮かぶ。
同名の別人でなければ、最近になって社交界を騒がせている令嬢の名前だ。
その令嬢は男爵家の娘でありながら、太陽のような明るさと愛らしさで若い男性を魅了しているという。
エリスを巡って何人もの男達が婚約破棄をしたり、多額の金銭を貢いだりして、大層な騒ぎになっていると聞いたが……まさか、皇太子であるルーデリヒまで彼女に傾倒しているというのだろうか?
「父上と母上もだ。エリスと婚約者を交代してくれとあんなに訴えたのに、一向に受け入れてくれないからこんなことに……! 素直に私の要望を受け入れてくれたのであれば、毒を盛るなどということをせずに済んだものを……!」
「で、殿下、貴方はまさか……!」
耳を疑うような言葉を聞かされ、アリーシャは愕然と凍りついた。
「まさか……そんなことのために、貴方は皇帝陛下と皇妃様を殺害したのですか!? 婚約者である私にあらぬ罪を被せてまで。そうまでして、エリスという女性と結ばれたかったというのですか!?」
「当然だ! エリス以外の女を妻にするだなんてあり得ない!」
ルーデリヒが噛みつくように答える。
爛々と輝く瞳は狂気にも近い色に染まっていた。
愛する女性のために長年の親交がある婚約者を裏切り、親殺しまで成し遂げた男の目である。
「……予とて鬼ではないからな。これまでの功績に免じて国外追放で許してやる」
「そ、そんな……殿下……!」
「ルーデリヒ殿下、まだ一番美味い部分は残っていますよ! 良かったら貴方も食っていきませんか?」
尋問をしていた男の一人……皇太子の側近である青年が下卑た笑みで言う。
「そうだな……妻には出来ぬが、一度くらいは味わってやるか」
側近の誘いを受けて、ルーデリヒが上着を脱ぎ捨てる。
「お前はエリスのような愛らしさも明るさも持っていない氷のような女だが、それでも容姿だけは認めている。その澄ました美貌を苦痛で歪ませてやりたいとずっと思っていた」
「ヒッ……!」
ルーデリヒがアリーシャに覆いかぶさる。
先ほどまで他の女への愛を語っていながら、同じ口で抵抗できない女にむしゃぶりつく。
矛盾している男の欲望。自分の婚約者がケダモノであったと思い知らされる。
「後のことは心配するな。お前の父親……レイベルン公爵とは話がついている。お前は何も考えずに踏みにじられ、そのまま野垂れ死にすればいいのだ」
「ッ……イヤアアアアアアアアアアアアアッ!」
アリーシャの絶叫が牢内にこだまする。
ルーデリヒが、側近達が代わる代わるアリーシャの身体にまたがり、熟れた肢体を容赦なく貪っていく。
アリーシャが解放されたのは翌朝のこと。
解放されると同時に、皇帝夫妻を殺害したことへの処罰も下された。
降された刑罰は国外追放。
皇帝殺しの処罰としてはあまりにも軽すぎるが、アリーシャは自分が無実であることを知っている。
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