Hate or Fate?

たきかわ由里

文字の大きさ
59 / 233

19-3

しおりを挟む

 今度は更に早いな。1コール切れないうちに出た。
「着いたか?」
「ああ、どこにいる?」
「マックの前にいる」
 予想した通りだ。既に俺はそっちに向かって歩いてる。
「OK。すぐ行く」
「待ってるよ」
 いや、待ち合わせなんだから待ってて当たり前だろ。
 通話を切って、歩いて行く。宵闇の姿はすぐに見えた。あいつも俺に気付いてこっちに向かって歩いて来る。
「おつかれ」
 宵闇は笑って俺を迎える。
「おう。飯はどこ行く?」
 腹減ったし、とっとと飯食いに行こう。
「あそこのさ、ゆるりって居酒屋行ったことあるか?」
 宵闇の指さす先のビルを見るが、そこには入ったことがない。大体、この辺で呑む時は鳥貴族とか庄やとかだな。
「ないな」
「行こうぜ」
 今日はぐいぐい来るじゃねぇか。どこ行くか考えるのもめんどくさいから、ちょうどいいか。
「ああ、行こう。腹減ったわ」
「俺も」
 宵闇はにこにこしながら、俺の手元に手を伸ばす。
「持ってやるよ。重そうだな」
 俺が下げてるバッグの把手をつかんで引く。あれこれと講義の為の資料や小物が詰め込んであるバッグは、確かに結構重い。重いけれども。どう見ても、宵闇の方が俺より断然ひょろくて筋肉もない。持ってもらうのおかしいだろ、これ。
「いやいい、自分で持つし」
 バッグを引くと、宵闇はいったん手を離し、今度は反対の手で俺の空いてる手をつかむ。
 は? どういうことだ。
「じゃあ行こう」
「はあ?」
 宵闇は有無を言わせず俺の手を引いて歩き出す。何なんだこれ。ちょっとビックリした俺は、抵抗出来ずにそのまま引っ張って行かれる。
 大通りを渡って向かい側のそのビルにすぐに到着し、宵闇はきょろきょろと入口を探す。
「あ、ここか」
 1階に入っている店舗の脇に入口があって、そこを入るとエレベーターがある。タイミング良く1階で待機していたそれに乗り込み、宵闇が最上階の10階のボタンを押した。すぐに扉が閉まり、エレベーターは動き出す。
 つかまれたままだった手をそっと引く。大して力は入っていなかったし、抵抗なくヤツの手は離れた。もう一回握ってくるってことはなくて、特に何のリアクションもない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

恋とキスは背伸びして

葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員 成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長 年齢差 9歳 身長差 22㎝ 役職 雲泥の差 この違い、恋愛には大きな壁? そして同期の卓の存在 異性の親友は成立する? 数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの 二人の恋の物語

石榴(ざくろ)の月~愛され求められ奪われて~

めぐみ
歴史・時代
お民は江戸は町外れ徳平店(とくべいだな)に夫源治と二人暮らし。  源治はお民より年下で、お民は再婚である。前の亭主との間には一人息子がいたが、川に落ちて夭折してしまった。その後、どれだけ望んでも、子どもは授からなかった。  長屋暮らしは慎ましいものだが、お民は夫に愛されて、女としても満ち足りた日々を過ごしている。  そんなある日、徳平店が近々、取り壊されるという話が持ちあがる。徳平店の土地をもっているのは大身旗本の石澤嘉門(いしざわかもん)だ。その嘉門、実はお民をふとしたことから見初め、お民を期間限定の側室として差し出すなら、長屋取り壊しの話も考え直しても良いという。  明らかにお民を手に入れんがための策略、しかし、お民は長屋に住む皆のことを考えて、殿様の取引に応じるのだった。 〝行くな!〟と懸命に止める夫に哀しく微笑み、〝約束の1年が過ぎたから、きっとお前さんの元に帰ってくるよ〟と残して―。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

ワケあり上司とヒミツの共有

咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。 でも、社内で有名な津田部長。 ハンサム&クールな出で立ちが、 女子社員のハートを鷲掴みにしている。 接点なんて、何もない。 社内の廊下で、2、3度すれ違った位。 だから、 私が津田部長のヒミツを知ったのは、 偶然。 社内の誰も気が付いていないヒミツを 私は知ってしまった。 「どどど、どうしよう……!!」 私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?

幼き改革者、皇孫降臨 〜三歳にして朝廷を震わせる〜

由香
キャラ文芸
瑞栄王朝の皇孫・凌曜は、わずか三歳。 泣かず、騒がず、ただ静かに周囲を見つめる幼子だった。 しかしその「無邪気な疑問」は、後宮の不正を暴き、腐敗した朝廷を揺るがしていく。 皇帝である祖父の絶対的な溺愛と後ろ盾のもと、血を流すことなく失脚者を生み、国の歪みを正していく凌曜。 やがて反改革派の最後の抵抗を越え、彼は“決める者”ではなく、“問い続ける存在”として朝廷に立つ。 これは、剣も権謀も持たぬ幼き改革者が、「なぜ?」という一言で国を変えていく物語。

恋人はメリーゴーランド少年だった~永遠の誓い編

夏目奈緖
BL
「恋人はメリーゴーランド少年だった」続編です。溺愛ドS社長×高校生。恋人同士になった二人の同棲物語。束縛と独占欲。。夏樹と黒崎は恋人同士。夏樹は友人からストーカー行為を受け、車へ押し込まれようとした際に怪我を負った。夏樹のことを守れずに悔やんだ黒崎は、二度と傷つけさせないと決心し、夏樹と同棲を始める。その結果、束縛と独占欲を向けるようになった。黒崎家という古い体質の家に生まれ、愛情を感じずに育った黒崎。結びつきの強い家庭環境で育った夏樹。お互いの価値観のすれ違いを経験し、お互いのトラウマを解消するストーリー。

『【朗報】ボッチの僕、実は世界一の財閥の御曹司だった。〜18年の庶民修行を終えた瞬間、美少女11人が「専属秘書」として溺愛してくる件〜』

まさき
青春
「あんたみたいなボッチ、一生底辺のまま卒業ね」 ​学園の女王、高飛車な生徒会長、そして冷徹な美少女たち……。 天涯孤独でボッチな僕、佐藤(※苗字のみ使用)は、彼女たちからゴミを見るような目で見られ、虐げられる日々を送っていた。 ​だが、彼らには決して言えない秘密があった。 それは、僕が世界一の資産を誇る**『世界最強財閥』の唯一の跡継ぎであること。 そして、18歳になるまで一切の援助を受けずに生き抜く【庶民修行】**の最中であること。 ​そして運命の誕生日、午前0時。 修行終了を告げる通知がスマホに届いた瞬間、僕の世界は一変する。 ​「おめでとうございます、お坊ちゃま。これより『11人の専属秘書候補』による、真の主従関係を開始いたします」 ​昨日まで僕を蔑んでいた学園の美少女たちが、手のひらを返して膝をつく。 彼女たちの正体は、財閥が僕のために選りすぐった、愛が重すぎるエリート秘書たちだった――。 ​「ずっとおそばでお仕えしたかったんです……」 「昨日までの暴言は、修行を完遂させるための演技。今日からは全身全霊で甘やかさせていただきますね?」 ​24時間体制の過保護な奉仕、競い合うような求愛、そして財力による圧倒的なざまぁ。 ボッチだった僕の日常は、11人の美女たちに全肯定され、溺愛し尽くされる甘すぎる生活へと塗り替えられていく。

2月31日 ~少しずれている世界~

希花 紀歩
恋愛
プロポーズ予定日に彼氏と親友に裏切られた・・・はずだった 4年に一度やってくる2月29日の誕生日。 日付が変わる瞬間大好きな王子様系彼氏にプロポーズされるはずだった私。 でも彼に告げられたのは結婚の申し込みではなく、別れの言葉だった。 私の親友と結婚するという彼を泊まっていた高級ホテルに置いて自宅に帰り、お酒を浴びるように飲んだ最悪の誕生日。 翌朝。仕事に行こうと目を覚ました私の隣に寝ていたのは別れたはずの彼氏だった。

処理中です...