ルイ・ディアローグ

なまけ猫

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11歳の誕生日

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 ここは帝国クロエ。技術開発に秀でており、軍事的には強い国である。今でこそ他国とも友好関係を築けているが、20年ほど前に大きな戦いが終わったばかりなのだ。復興も進み、街に活気が溢れる。軍事力についても、できるだけ傷が浅くなるような戦術を採用していたため、大きく低下はしていない。この国の軍事部は陸の赤象団、海の青龍団、空の白翼団があり、先の戦いで命を落とした赤象団の騎士部隊長の後任となったのが、ルイという男だ。騎士部隊では戦闘技術はもちろん、真面目さや機転がきくこともあり、部隊内外からの評価が高い男だ。
 そんな男にも悩みはある。ルイには10歳になる息子のリュカがいるのだが、妻はリュカを産んでまもなくなくなってしまったのだ。愛する妻を守れなかった後悔から、リュカには
家族を守れるように強い大人になってほしいと思っている。この国では、早い子では3歳ごろから武術を学び始める。リュカも早くから武術に触れていたこともあり、10歳とは思えない武術の才を現わしていた。ルイは真面目に楽しく練習に励むリュカの様子を見て、嬉しく思っていた。
 リュカの11歳の誕生日、昼は大勢呼んでパーティーをしていたが、夜はふたりでお祝いをすることにしていた。ケーキを食べ、一息ついているときにルイはリュカに何気なく聞いてみた。
「リュカは将来何になりたいんだ」
ルイは、騎士になりたいといってくれたら嬉しいと思ったが、他の部隊であっても大切な人や国を守ってくれる、そしてその才能もあると思っていた。
「僕は、世界をみてみたい」
武術も楽しいし、軍事部に入って生まれ育ったこの国を守ることも誇りあることだとは思うが、今は色んな世界を見てみたいんだといった。
 ルイは思ってもみなかった返答に戸惑いが隠せず、小さく「そうか」と言い、黙り込んでしまった。
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