無敵の【着火】マン ~出来損ないと魔導伯爵家を追放された私なんだが、しかたがないので唯一の攻撃魔法【着火】で迷宮都市で成り上がる~

川獺右端

文字の大きさ
9 / 47

第7話 【着火】マンは歓迎会に参加する

しおりを挟む
 私の歓迎会をすると言って聞かないフロルたちに連れられて冒険者ギルドの酒場を訪れた。
 窓の外を見るととっぷりと暮れている。

 冒険者の酒場は冒険者ギルドの中にある。
 荒くれ者用に安酒と食事を出してくれるようだ。

 受付カウンターでレイラさんが仕事をしているのを見ながら食事するのは何だか変な感じだね。
 もう夜になったので、これぞ冒険者という感じのパーティがワイワイと酒を飲んだり食事をしたりしていた。

 チョリソーが身軽に動いて隅の席を確保して、我々を呼んだ。
 さすがは盗賊だなあ。

「意外に美味いんだぜっ。おっちゃん、定食を五つくれい」
「おうよフロル、今日は景気がいいな」
「【着火】マンが銀のグリフォン団に入って、ハンターベアを狩ったからな、大金持ちさ」
「そりゃ、すげえや」

 酒場の親父さんは、がははと笑ってフロルの注文を受けた。

「おじさん、私も定食~、あとねエールと、おつまみ~~」
「なんだよ、ウジェ姉ちゃん、あんたは銀のグリフォン団じゃないだろう」
「い、いーじゃないのうっ、私もマレンツ博士と一緒にご飯が食べたい~~」
「ウジェニーさん、黄金の禿鷹団の他の方々は?」
「今は休暇中~~、一昨日五十六階から帰ったばっかりだから寝てるか、女の子と遊んでいるかだよっ」

 そうか、ちょうどダンジョンアタックから帰ってきた所だったのか。
 五十六階とはどれくらいの深度なのだろうか。

「ゼラビス大迷宮はどれくらいの深さまであるんですか?」
「わっかんない、百階とか二百階とか言われているよ、これまでの最大深度は八十四階、五十年ぐらい昔の話」
「まだ底についたパーティは居ないのですね」
「いねえって、ゼラビスは前人未踏の大迷宮なんだぜ」

 おじさんとウエイトレスさんが定食を運んできた。
 メニューは、シチューと黒パン、それから漬物だった。
 質素な感じだが、大学に行っていた頃はだいたいこんな感じだった。
 懐かしい感じもするね。

 エールも来て、ウジェニーさんがぐびぐびと飲んだ。

「ぷはーっ、おいしいっ」

 美味しそうにお酒を飲む人だなあ。
 私はシチューを口に運んだ。

 お、これはなかなか美味しい。

「美味しいね、これ」
「そうだろー、酒場のおっちゃんは料理上手いからな」
「美味しいよねえ~」

 他の人と一緒に食事をするなんて何年ぶりかな。
 なんだか楽しいな。

「ハカセはどこに泊まるんだ?」
「決めて無いよ、やっぱり迷宮都市はホテルが高いかな」
「高い」
「高いよ」
「観光客向きだから高いね」
「ホテルに泊まる奴は馬鹿だってかあちゃん言ってた」

 着の身着のままで実家を追い出されたからなあ。
 財布に入っていたお金だけで迷宮都市までやってこれたが、ハンターベアのお金が入って良かった。

「ああ、学者さん、あんた宿を探しているのかい? 汚い部屋だがギルドの三階に部屋があるぜ」

 ウジェニーさんのおつまみを持って来たオヤジさんが会話に混ざった。

「お幾らぐらいですか」
「一人部屋で五千ロクスだ。飯は付かないし、ギルドは夜中まで騒がしいが、まあ、泊まれるぜ」
「ああ、そうしろハカセ。後でアパートとか探せばいいよ」
「そうしようかな、お願いします、オヤジさん」
「あいようっ」

 オヤジさんはレイラさんの元に行き、二三の言葉を交わしたあと鍵を持って帰ってきた。

「支払いは前金でレイラさんに渡してくれよ」
「わかりました、ありがとうございます」

 食事を完食した。
 意外に美味しくて満足できたな。
 値段も馬鹿みたいに安い。

「それじゃ、俺たちは帰るよ、また明日なハカセ」
「おやすみ、みんな。明日も薬草摘み?」
「そうだよ、あとエリシアに早くファイヤーボールを教えてやってくれよ」
「わかった、薬草を摘みながらコーチをしようか」
「たのしみ~~、早くファイヤーボールを撃てるようになりたーい」
「なによ、ファイヤーボールなら私が教えてあげようか」
「え~~、ウジェニーさんは何だか理不尽な教え方しそうだから、やだ~~、ハカセがいい~~」
「なによう、私はS級なのに~~」

 子供達は帰っていった。

「さて、私も部屋に行きますか。おやすみなさいウジェニーさん」
「ああん、もうちょっと一緒に飲みましょうよう~~」
「疲れているので、ごめんなさいね」
「女の子のお誘いを華麗にかわすマレイン博士も素敵」

 うん、なんかウジェニーさんの目が捕食獣みたいだからね、深入りしないのが正解でしょう。

 ギルドのカウンターに行って、レイラさんにお金を払った。

「何か注意する事は?」
「無いわね、酒場が遅くまで騒いでいるから寝にくいけど、慣れてください」
「解りました、ありがとうございます」

 私は階段を上がって三階まで登る。
 沢山の小部屋が並んでいるね。

 306号室、ここだね。
 開けてみると細長いウナギの寝床のような部屋だった。
 本当に寝るだけの部屋だな。

 寝台に横たわると藁の良い匂いがした。
 意外にシーツは綺麗だな。

 さて、明日からは本格的に迷宮都市生活が始まる。
 今日はゆっくりと寝ますか。

 私は魔法灯を消して眠りについた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜

ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。 その一員であるケイド。 スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。 戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。 それでも彼はこのパーティでやって来ていた。 彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。 ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。 途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。 だが、彼自身が気付いていない能力があった。 ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。 その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。 自分は戦闘もできる。 もう荷物持ちだけではないのだと。 見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。 むしろもう自分を卑下する必要もない。 我慢しなくていいのだ。 ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。 ※小説家になろう様でも連載中

処理中です...