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第26話 【着火】マンは実技試験に挑む
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さて、レイラさんに呼ばれたので午後からの実技試験だ。
十二人中、合格したのが七人と、まあなんでアレで落ちるかなという気もするけど、字の読み書きが出来なかったんだろうね。
知り合いじゃ無いのは一人、赤マント、赤甲冑の女だった。
「おお、風格あるね、私と格好がかぶってら」
「……」
話しかけたペネロペを睨むと赤い女は武術場に入って行った。
無口な人なのかな。
「はい、ではキアラさん、この人と試合してください」
キアラと呼ばれた赤い女はコクリと頷いた。
武器は構えない。
相手はいつもに酒場で飲んだくれているハゲデブさんであった。
見かけはゴツイが意外に親切な人だ。
「おいおい、武器はなんなんだ? え?」
赤い女は鋭く踏み込むと速度のある正拳突きを放った。
ハゲデブさんはとっさに盾を構えたが、それを打ち抜いて吹っ飛ばされた。
「素手なのね、キアラさん合格です」
なかなかの腕だな。
しかし、E級依頼で街の仕事では見た事が無いが……。
まあ、この街も広いからなあ。
赤い女はうなづくと武術場から出て行った。
去り際にこちらをチラリと睨んだような気がするが、何なんだろう。
「いいな、あいつ滅茶苦茶強いぞ」
「深部狙いかな、気合い入ってんな」
ペネロペとフロルが、そう感想を漏らした。
「それでは、ペネロペさん。この人と試合してください」
「さっきのハゲデブじゃねえか」
「うるせえな、俺が一番頑丈なんだ」
先ほど赤い女に吹っ飛ばされたのに、特にこたえた様子も無くハゲデブさんは壇上に立った。
盾は凹んでいるな。
「俺はこう見えてもC級だからな、お前さんがどれくらい使うか、見るって寸法よ」
「そうか、死ね」
「ちょ、ちょっ!!」
ペネロペは必殺の斬撃を笑みを浮かべながら放った。
ハゲデブさんは慌てて盾で受けた。
「殺してもいい試験なんだろ」
「や、やめろようっ」
ハゲデブさんは半泣きだ。
「大丈夫ですペネロペさん、ダメージはあそこにある身代わり石が受けますから、殺せません」
レイラさんは部屋の隅にある大きな石の球を指さした。
「それは良い事を聞いた」
「や、やめろようっ」
ハゲデブさんはペネロペにぼこぼこにされた。
痛くは無いとはいえ、プライドが踏みにじられた感じだ。
台上に倒れて泣き始めた。
「ペネロペさん合格です。お強いですね、戦闘力だけならB級ぐらいはありますね」
「ははは、せっかくだからS級のカードを取って領に戻るかな」
「がんばってくださいね」
ペネロペは台上から降りて観客席にどっかり座り込んだ。
後の試験も見るらしい。
「次はフロル君」
「あいようっ」
元気よくフロルは返事をして台上に駆け上がった。
ハゲデブさんは使い物にならなくなったので、替わりに上がって来たのは髭ダルマ氏であった。
「おう、フロル大きくなったなあ」
「おうよっ、いくぜ、おっちゃん」
「よしこいっ!」
二人とも盾と片手剣だ。
フロルの方は短剣なので、すこしだけ不利かな。
それでも足を使って軽快に戦っている。
「おお、強くなったなあ、戦い方もオヤジさんそっくりだ」
「いつも鍛えられてるからなっ」
カンカンカンカン。
リズミカルにお互いの盾の音が響く。
剣同士を打ち付けたりはしないようだ。
刃こぼれするからかな。
しばらく打ち合った所で、レイラさんが、やめ! と声を掛けた。
「良いわね、合格です。五階までの魔物だったら戦えるわね」
「いーやったあっ!! D級昇級だあああっ!!」
フロルは試合場の上をびょんびょん跳ねて喜びを全身で表現していた。
おめでとう。
なんだか、私も嬉しいね。
「次はエリシアちゃん」
「は~い」
エリシアが試合場に上がった。
フロルが降り際に片手を出した。
パアンと音を立てて手が打ち合わされた。
「がんばれっ」
「まかせてっ」
台上には黒いローブの神経質そうな男がいた。
「勝負はファイヤーボール三連射ですっ」
「はいっ!」
エリシアは黒いローブの男と並んで、試合場の端に出された的に正対した。
『そは灼熱の諸元の組成、根源の地より来たれ、我が敵を打ち砕け』
『そは灼熱の諸元の組成、根源の地より来たれ、我が敵を打ち砕け』
同じ速度、同じ拍子で詠唱が唱えられて、同時にファイヤーボールが発射された。
さすがアセット魔法だ、大きさも威力も同じだね。
ファイヤーボールは同時に的に当たり破裂した。
『そは灼熱の諸元の組成、根源の地より来たれ、我が敵を打ち砕け』
『そは灼熱の~諸元の組成、根源の地より~来たれ、我が敵を~打ち砕け』
二発目は黒いローブの男が拍子を変えてきた。
なるほど、詠唱が釣られて失敗しないかという試験だね。
エリシアはまったく気に掛けず、いつも通りの詠唱で、いつも通りに発射した。
遅れて男のファイヤーボールも発射される。
三回目は、男が途中で詠唱破棄して、再び最初から、圧縮詠唱をしたが、エリシアは動じなかった。
「エリシアちゃん、合格です」
「んもう、マキシさん、酷いですうっ!」
「あっはっは、ごめんごめん、お母さんにそうしろって頼まれたんだ」
「んもう、ママったらっ!!」
エリシアのお母さんは教育熱心だね。
次は、ラトカの試験。
お坊さんと向かい合って神聖術第二階層の|【回復】(ヒール)を掛け合うというもの、難なくクリアした。
チョリソーの試験は宝箱を本職と一緒に開くという試験。
ほぼ同時に宝箱は開いた。
良い出来だったらしく、盗賊のプロの人にチョリソーは褒められていた。
うん、良かったね。
「マレンツ博士、あなたの試験は……」
「私がやるっ!」
そう言ってさっきの赤い女が武術場に入って来た。
出て行ったんじゃないのか?
「駄目ですっ!」
レイラさんが叫ぶと、アルバーノさんがどこからともなく現れ、暴れる赤い女を抱きすくめて武術場から出て行った。
「なにあれ?」
「さあ? マレンツ博士の【着火】はこの間見ましたので、それを試験に代えさせて貰います」
「では、D級昇格ですか」
「はい、D級おめでとうございます」
レイラさんがにっこり笑った。
「みんな受かったぜ」
「銀のグリフォン団、万歳!! 万歳!!」
「「「「ばんざーい、ばんざーい!!」」」」
ああ、なんだか、この一体感は良いね。
とても嬉しい。
十二人中、合格したのが七人と、まあなんでアレで落ちるかなという気もするけど、字の読み書きが出来なかったんだろうね。
知り合いじゃ無いのは一人、赤マント、赤甲冑の女だった。
「おお、風格あるね、私と格好がかぶってら」
「……」
話しかけたペネロペを睨むと赤い女は武術場に入って行った。
無口な人なのかな。
「はい、ではキアラさん、この人と試合してください」
キアラと呼ばれた赤い女はコクリと頷いた。
武器は構えない。
相手はいつもに酒場で飲んだくれているハゲデブさんであった。
見かけはゴツイが意外に親切な人だ。
「おいおい、武器はなんなんだ? え?」
赤い女は鋭く踏み込むと速度のある正拳突きを放った。
ハゲデブさんはとっさに盾を構えたが、それを打ち抜いて吹っ飛ばされた。
「素手なのね、キアラさん合格です」
なかなかの腕だな。
しかし、E級依頼で街の仕事では見た事が無いが……。
まあ、この街も広いからなあ。
赤い女はうなづくと武術場から出て行った。
去り際にこちらをチラリと睨んだような気がするが、何なんだろう。
「いいな、あいつ滅茶苦茶強いぞ」
「深部狙いかな、気合い入ってんな」
ペネロペとフロルが、そう感想を漏らした。
「それでは、ペネロペさん。この人と試合してください」
「さっきのハゲデブじゃねえか」
「うるせえな、俺が一番頑丈なんだ」
先ほど赤い女に吹っ飛ばされたのに、特にこたえた様子も無くハゲデブさんは壇上に立った。
盾は凹んでいるな。
「俺はこう見えてもC級だからな、お前さんがどれくらい使うか、見るって寸法よ」
「そうか、死ね」
「ちょ、ちょっ!!」
ペネロペは必殺の斬撃を笑みを浮かべながら放った。
ハゲデブさんは慌てて盾で受けた。
「殺してもいい試験なんだろ」
「や、やめろようっ」
ハゲデブさんは半泣きだ。
「大丈夫ですペネロペさん、ダメージはあそこにある身代わり石が受けますから、殺せません」
レイラさんは部屋の隅にある大きな石の球を指さした。
「それは良い事を聞いた」
「や、やめろようっ」
ハゲデブさんはペネロペにぼこぼこにされた。
痛くは無いとはいえ、プライドが踏みにじられた感じだ。
台上に倒れて泣き始めた。
「ペネロペさん合格です。お強いですね、戦闘力だけならB級ぐらいはありますね」
「ははは、せっかくだからS級のカードを取って領に戻るかな」
「がんばってくださいね」
ペネロペは台上から降りて観客席にどっかり座り込んだ。
後の試験も見るらしい。
「次はフロル君」
「あいようっ」
元気よくフロルは返事をして台上に駆け上がった。
ハゲデブさんは使い物にならなくなったので、替わりに上がって来たのは髭ダルマ氏であった。
「おう、フロル大きくなったなあ」
「おうよっ、いくぜ、おっちゃん」
「よしこいっ!」
二人とも盾と片手剣だ。
フロルの方は短剣なので、すこしだけ不利かな。
それでも足を使って軽快に戦っている。
「おお、強くなったなあ、戦い方もオヤジさんそっくりだ」
「いつも鍛えられてるからなっ」
カンカンカンカン。
リズミカルにお互いの盾の音が響く。
剣同士を打ち付けたりはしないようだ。
刃こぼれするからかな。
しばらく打ち合った所で、レイラさんが、やめ! と声を掛けた。
「良いわね、合格です。五階までの魔物だったら戦えるわね」
「いーやったあっ!! D級昇級だあああっ!!」
フロルは試合場の上をびょんびょん跳ねて喜びを全身で表現していた。
おめでとう。
なんだか、私も嬉しいね。
「次はエリシアちゃん」
「は~い」
エリシアが試合場に上がった。
フロルが降り際に片手を出した。
パアンと音を立てて手が打ち合わされた。
「がんばれっ」
「まかせてっ」
台上には黒いローブの神経質そうな男がいた。
「勝負はファイヤーボール三連射ですっ」
「はいっ!」
エリシアは黒いローブの男と並んで、試合場の端に出された的に正対した。
『そは灼熱の諸元の組成、根源の地より来たれ、我が敵を打ち砕け』
『そは灼熱の諸元の組成、根源の地より来たれ、我が敵を打ち砕け』
同じ速度、同じ拍子で詠唱が唱えられて、同時にファイヤーボールが発射された。
さすがアセット魔法だ、大きさも威力も同じだね。
ファイヤーボールは同時に的に当たり破裂した。
『そは灼熱の諸元の組成、根源の地より来たれ、我が敵を打ち砕け』
『そは灼熱の~諸元の組成、根源の地より~来たれ、我が敵を~打ち砕け』
二発目は黒いローブの男が拍子を変えてきた。
なるほど、詠唱が釣られて失敗しないかという試験だね。
エリシアはまったく気に掛けず、いつも通りの詠唱で、いつも通りに発射した。
遅れて男のファイヤーボールも発射される。
三回目は、男が途中で詠唱破棄して、再び最初から、圧縮詠唱をしたが、エリシアは動じなかった。
「エリシアちゃん、合格です」
「んもう、マキシさん、酷いですうっ!」
「あっはっは、ごめんごめん、お母さんにそうしろって頼まれたんだ」
「んもう、ママったらっ!!」
エリシアのお母さんは教育熱心だね。
次は、ラトカの試験。
お坊さんと向かい合って神聖術第二階層の|【回復】(ヒール)を掛け合うというもの、難なくクリアした。
チョリソーの試験は宝箱を本職と一緒に開くという試験。
ほぼ同時に宝箱は開いた。
良い出来だったらしく、盗賊のプロの人にチョリソーは褒められていた。
うん、良かったね。
「マレンツ博士、あなたの試験は……」
「私がやるっ!」
そう言ってさっきの赤い女が武術場に入って来た。
出て行ったんじゃないのか?
「駄目ですっ!」
レイラさんが叫ぶと、アルバーノさんがどこからともなく現れ、暴れる赤い女を抱きすくめて武術場から出て行った。
「なにあれ?」
「さあ? マレンツ博士の【着火】はこの間見ましたので、それを試験に代えさせて貰います」
「では、D級昇格ですか」
「はい、D級おめでとうございます」
レイラさんがにっこり笑った。
「みんな受かったぜ」
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