4 / 4
ぱっちんどめ
しおりを挟む
一悶着あって、僕たちはようやくお互いの自己紹介をした。
「順番がめちゃくちゃになっちゃったけど自己紹介するよ!!私は松河あくめ。君の名前は?」
「ぼ、僕の名前は、、、まふう…」
今までまともに人と喋らなかったせいで急に恥ずかしくなってこれまでの根暗な自分を恨んだ。
「そっか!まふーくんか!とってもいい名前だね!」
なぜか彼女はどことなく哀しそうな顔で微笑した。
「ところでさ、さっきから気になってたんだけどさ」
彼女が真剣な顔になって言うものだから、僕は何を言われるのかと慄いた。
「えっ。何かな…?」
「それ。」
僕の目より少し上を指差して言った。
「あ、眼!やっぱり、気持ち悪いよね。ごめんなさい。」
僕は、必死に手で目を覆った。
すると、僕の手にほんのり暖かくて柔らかいあくめちゃんの手が触れて僕の手を優しく退けた。
「違うよ。前髪。派手にあいつらにやられたから、ひどいことになってるけど…。」
すごく言いにくそうな感じで彼女は少し目をそらした。
「そうだった…。明日からどーしよ…」
僕は前髪を一房摘みながら涙目になった。
明日から、好奇の目に晒されていじめが酷くなって…最悪の事態が次々と脳裏をよぎって行く。
「あ、いいこと思いついた!!」
あくめちゃんは、僕の目をもう一回じっくりと見た。
「ねぇ、ちょっとだけ目つぶって?」
僕は戸惑った。人に触られるときは大抵傷つけられたからだ。
「え…でも…。」
「もう!私別にまふうのこと傷つけないから…。」
ほら。と、僕の頭を優しく撫ぜるようにしてぱちんと小さな音が弾けた。
「やっぱり、凄く似合うよ!」
誇らしげにそう言ってくれるのでどんなものかと、あくめちゃんの持っていた小さな鏡をそっと覗くとそこには前髪を髪留めで留めてある僕の姿が映っていた。
ただ、髪留めをつけただけなのに当時の僕にはとても新鮮でそれだけで気持ちがぽかぽかとした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから、僕たちは毎日会う仲になった。
会っていくごとに僕はあくめちゃんを信頼し打ち解けていった。
きっかけは、とんでもなくありふれたものだったような気がするけれどあくめちゃんと仲良くなれたことだし僕の切られた前髪も無駄じゃなかったかななんて今となっては思う。
「まふーくん!」
ぽんっと優しい手が僕の背中に触れた。
振り返ると、待った?といった表情で心配そうな表情をしたあくめちゃんがいた。
「待った?」
ほら、やっぱり僕の思った通りだ。
僕はあくめちゃんのエスパーなのかもしれない。
なんて、考えていると僕の顔にそれが表れていたのかあくめちゃんが不思議そうな顔をしているので僕は尋ねた。
「何考えてるのって思ったでしょ。」
すると、あくめちゃんは驚いた顔をした。
ほらね。エスパーだろ。僕。
「え!!なんでわかったの?!」
「ふふふ。僕は、エスパーなんだ。」
「本当に?!」
あくめちゃんが目を宝石のようにキラキラ輝かせて聞いてきた。
ここまで、きたらさすがの僕も少し戸惑った。
「いや、まぁ。うん…。」
「じゃあ、私の好きな動物はなんでしょう?」
ふふん、これなら当てれまいとあくめちゃんは自信たっぷりといった感じで僕の目を凝視してくる。
「…………!」
少しの間。
「カピバラ。」
あくめちゃんは一瞬固まって頰をぷくぅとフグのようにゆっくり膨らましてこちらを睨んだ。
「なんでなんでなんでーーーー!!!これだけは絶対誰にも言ってないのに!本当にエスパーじゃん。ずるいよまふーくん!!」
「えへへ。」
僕は、照れ臭くなって目を押さえた。
誰かに羨まれることは気分がいいんだと初めて知ったし、なんだか愉快だった。
「まぁ、この話は置いといて…今日はいつもと違う場所に冒険でもしよう!」
「どこどこ?」
次は、僕が逆に目を輝かせて聞いた。
「お楽しみだよ。」
ニヤリと彼女は小悪魔のような笑みを浮かべた。
To be continue.....
「順番がめちゃくちゃになっちゃったけど自己紹介するよ!!私は松河あくめ。君の名前は?」
「ぼ、僕の名前は、、、まふう…」
今までまともに人と喋らなかったせいで急に恥ずかしくなってこれまでの根暗な自分を恨んだ。
「そっか!まふーくんか!とってもいい名前だね!」
なぜか彼女はどことなく哀しそうな顔で微笑した。
「ところでさ、さっきから気になってたんだけどさ」
彼女が真剣な顔になって言うものだから、僕は何を言われるのかと慄いた。
「えっ。何かな…?」
「それ。」
僕の目より少し上を指差して言った。
「あ、眼!やっぱり、気持ち悪いよね。ごめんなさい。」
僕は、必死に手で目を覆った。
すると、僕の手にほんのり暖かくて柔らかいあくめちゃんの手が触れて僕の手を優しく退けた。
「違うよ。前髪。派手にあいつらにやられたから、ひどいことになってるけど…。」
すごく言いにくそうな感じで彼女は少し目をそらした。
「そうだった…。明日からどーしよ…」
僕は前髪を一房摘みながら涙目になった。
明日から、好奇の目に晒されていじめが酷くなって…最悪の事態が次々と脳裏をよぎって行く。
「あ、いいこと思いついた!!」
あくめちゃんは、僕の目をもう一回じっくりと見た。
「ねぇ、ちょっとだけ目つぶって?」
僕は戸惑った。人に触られるときは大抵傷つけられたからだ。
「え…でも…。」
「もう!私別にまふうのこと傷つけないから…。」
ほら。と、僕の頭を優しく撫ぜるようにしてぱちんと小さな音が弾けた。
「やっぱり、凄く似合うよ!」
誇らしげにそう言ってくれるのでどんなものかと、あくめちゃんの持っていた小さな鏡をそっと覗くとそこには前髪を髪留めで留めてある僕の姿が映っていた。
ただ、髪留めをつけただけなのに当時の僕にはとても新鮮でそれだけで気持ちがぽかぽかとした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから、僕たちは毎日会う仲になった。
会っていくごとに僕はあくめちゃんを信頼し打ち解けていった。
きっかけは、とんでもなくありふれたものだったような気がするけれどあくめちゃんと仲良くなれたことだし僕の切られた前髪も無駄じゃなかったかななんて今となっては思う。
「まふーくん!」
ぽんっと優しい手が僕の背中に触れた。
振り返ると、待った?といった表情で心配そうな表情をしたあくめちゃんがいた。
「待った?」
ほら、やっぱり僕の思った通りだ。
僕はあくめちゃんのエスパーなのかもしれない。
なんて、考えていると僕の顔にそれが表れていたのかあくめちゃんが不思議そうな顔をしているので僕は尋ねた。
「何考えてるのって思ったでしょ。」
すると、あくめちゃんは驚いた顔をした。
ほらね。エスパーだろ。僕。
「え!!なんでわかったの?!」
「ふふふ。僕は、エスパーなんだ。」
「本当に?!」
あくめちゃんが目を宝石のようにキラキラ輝かせて聞いてきた。
ここまで、きたらさすがの僕も少し戸惑った。
「いや、まぁ。うん…。」
「じゃあ、私の好きな動物はなんでしょう?」
ふふん、これなら当てれまいとあくめちゃんは自信たっぷりといった感じで僕の目を凝視してくる。
「…………!」
少しの間。
「カピバラ。」
あくめちゃんは一瞬固まって頰をぷくぅとフグのようにゆっくり膨らましてこちらを睨んだ。
「なんでなんでなんでーーーー!!!これだけは絶対誰にも言ってないのに!本当にエスパーじゃん。ずるいよまふーくん!!」
「えへへ。」
僕は、照れ臭くなって目を押さえた。
誰かに羨まれることは気分がいいんだと初めて知ったし、なんだか愉快だった。
「まぁ、この話は置いといて…今日はいつもと違う場所に冒険でもしよう!」
「どこどこ?」
次は、僕が逆に目を輝かせて聞いた。
「お楽しみだよ。」
ニヤリと彼女は小悪魔のような笑みを浮かべた。
To be continue.....
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる