月曜日は憂鬱

いつか 

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今日は月曜日

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今週の土日は最悪だった。すべてを土日のために捧げている俺にとって、この事実は人生を否定するものに匹敵する。
社内では若者と呼ばれる俺だが、もう二日連続で終電まで飲むのは辞めよう。
月曜日、月曜日だ。あと、40時間プラスアルファ。それが、俺の人生という土日が始まるまでの労働時間なのだ。
まぁ、こんな前置きはいいだろう。今日の電車でのことでも話そう。
月曜日はなぜか電車が混む。なんで月曜日なのにと思うが、毎週だ。そんなとき、サラリーマンならどうする?そうそう、両手をあげて痴漢に間違われないようにするのだ。まだまだ20代、アラサーでもない。欲求に身を任せるなら、プライベートでがんばるときだ。だが、その日は混みすぎていたんだ。先に言うがわざとじゃない。
右手は黒スーツ共に持っていかれると、何かにあたった。人の温もりと柔らかさ俺は何を触れているのかわかった。女の尻だ。顔を上げると、黒スーツの奥に50代と思われるおば様がいらした。
やばい。これはやばい。よく女子中学生とかが痴漢されたときに、怖くて声をあげられなかったって話を聞いたことをあるだろう?
おば様がは違うんだ。しっかりと訴えてくる。誰がお前なんて、とか言ったら、即終了。会社へと通達され、俺の首が飛ぶ。まだまだ会社を首になったとしても、なんとかはなる年だか、前科が付けば訳が違う。
終わったのかもしれない。俺はそう思いを馳せた。このあまり心地いいとは言えない柔らかさ、第一に腕が圧迫されて触覚に神経が向かないのだ。おば様がこっちを見たら、イエロー、声をあげたらレッドカード。そんな気しかしない。ちなみにこの時はもうイエローだった。仏頂面のおば様がこっちを見ている。
渋谷に着いた。ここで一気に人が降りる。腕は解放される俺の勝負時になる。万が一、やばかったら走って逃げよう、人混みに紛れればOKだ。なんて、スパイにすらなった気分だった。
人が降りていく、圧迫から解放された俺の右腕その先には、おば様のカバンがあった。
まぁ、こんなことの顛末だ。俺じゃ、ラッキーおばさまのお尻さえ起きはしないのだ。
心底ほっとしたが、俺は新宿乗り換えなので、渋谷駅で電車から降りて再乗り込みを待っていると女子高生がぶつかってきた。今度は柔らかい感覚が右肘あたりに来た。きっときっと今度こそは。

今日も一日がんばろう。
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