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糖尿病ためになる話を短めに

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 三日間点滴を打たれっぱなし。

 毎日採血されっぱなし。

 毎日エコーやエックス線をされっぱなし。

 幸い合併症はなかった。眼科にも回された。

 入院中に糖尿病について講義された。

 血液中の血糖値が上がると血管にゴミがたまり、毛細血管が詰まるらしい。

 脳の血管なら脳梗塞。

 心臓なら心筋梗塞。

 眼なら緑内障。

 腎臓なら腎不全で人工透析。

 足先なら、感覚麻痺で切断になる恐ろしい病気。韓国ドラマ馬医の元右議政オギュテのように。

 糖尿病の症状はすべて当てはまっていた。

 すぐ虫歯になり、
足先がすぐ化膿し、
猪木の得意技ではなくて、
こむら返りを頻繁におこし、
満腹感があり、
ある程度行くと体重が増えなくなる。

 足の爪の化膿しまいには、参った。

 外科を受診すると、前の患者が外反母趾で爪を剥がされていた。

 爪は剥がさないで、痛いの嫌ですと懇願したら、爪の間に麻酔をし、彫刻刀のキリみたいなやつで膿をグリグリだされ。

 2回目に化膿した時は、こちらから科を指定せず受付に委ねた。

 皮膚科のだんふみ女医は、震えている僕に向かって、

爪は剥がしませんよと患部をちょんちょん。

 以来、何回も足の爪が化膿するのだが、だんふみ女医に処方してもらった薬を薬局に持って行き、同じ性能のものをと、以降は自分で治した。

 ちなみに明治イソジンを毎日だんふみ女医にいわれたようにした。

 コの場合、いや、この場合のイソジンは、韓国ドラマイサンの事ではない。

 だんふみ女医の囁く甘い声に思わず、えっ?と聞き返したのは、

 うっふぅぅん。お風呂で水道水で洗い流してくださいね。

 固定観念で水に濡らしてはいけないと思っていた私の頭は古畑にんざぶろう、いや、古かった。

 塚地は悔いた。すい臓さん、ご免なさい。僕は、すい臓傷害罪で刑務所にはいったのだ。

 ああ、だがなんて美しい看守看護師さんたち。

 僕は、この刑務所病院で糖尿病を勉強し、

シャバでの健全な暮らしを習い、

刑期が終るまですい臓さんに償わなくてはならないのだ。でも人見知りなので単独独房でおねがいした。

 
 すい臓犯罪者同期生には、多種多様な人たち。

 病院内の、いや、刑務所内のコンビニで饅頭を買い食いする菅井金さん風婆さん。

ダメだよ。体つきに合った理想的な病院食の刑務所の飯のカロリーに合わせて、インシュリン注射の打つ単位を先生看守教官様がきめているのたから。

 昨日饅頭食べて血糖値が高かったから、今日はインシュリンの単位量を増やしているのに、饅頭食わず。

ほら、ほら、看守看護師さんたちが、低血糖だ低血糖だと右往左往。



 筋肉質でインシュリン注射に苦労する筋肉質の兄ちゃん。1型なの?筋肉質なのに糖尿病なんて。

 血糖値測定器械の針を通さない鋼鉄の指先を持つおばちゃん。ボンボン備え付けの指先穴開け器使い放題。

 
 僕の場合は、血糖値200から、徐々にへり、インシュリン8単位から4単位まで順調に。

 真面目に1日10000歩を遂行し、退院出所後も、運動と食事療法でインシュリンの単位数が減り、2種類の糖尿病薬も1つへり、3年が過ぎた。

 現在の飲んでる薬は、糖尿病薬1種類1錠。

 そうそう入院してから全く朝の呼吸困難も起こらなかった。


 食事療法は、宅配弁当のヨシケイに頼み、体重も退院出所時より14キロ減。

 入院時より合計24キロ減。

 血糖値は、90前後、ヘモグロビンA1cは、5.2前後。

 だが、食事療法では、空腹を避けるために、宅配弁当に加え、

キノコ糸コンゼリーナッツ野菜を大量に食べていた。

 気がかりだった。毎月の血液検査に表れない帳じり合わせの胃の負担食事。

 今から思うとその時が来た!

 2018年5月13日。

 


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