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本心をブッチャケられない人は退場!!

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 会見当日。


 舞台の中央に座布団と見台と膝隠しが用意されていた。落語のセットである。

 見台の上には、おしぼりとコップに入った水と未開封の水の500ml. ペットボトルと拍子。

 舞台の袖から覗き込んだ。客席前から3分の1がレポーターたち。次の3分の1がテレビカメラ関係。最後が一般客と聞いている。

 後ろが余ったからといって一般客を有料で入れるとは、さすがにがめつい。

 2階席は、テレビカメラと吉本関係者の人たち。後ろの方は空席。

 舞台上手に客席とはほぼ直角にテーブル。パイプ椅子が3つ。

 オレは舞台袖に待機した。

 深呼吸をひとつしたところで、出囃子が鳴った。

 テンテケテケテケ……

 オレはゆっくりと舞台中央に行き、着物の裾を引っ張り、座布団にすわった。

 拍子をバシッと見台に叩き、客席を見渡した。  
 

 「えーー皆様、この度は、私の記者会見及び、ご相談会及び討論会に、お足を運んで頂き、感謝致します。」オレが頭を下げると拍手がパラパラ鳴った。主に後方の客席の方からであった。

 バシッと拍子を叩き、オレは念を押す。
「いろいろ質疑応答逆質問御意見御要望ディベート致しますが、全て皆様もブッチャケちゃっておくんなさいまし」 

 バシッと更に拍子を打つ。 

「本心をブッチャケられない人は……退場!!」

 会場がざわめいた。

 「今から、判定人が5分かけて登場します!!それまでにブッチャケられない人は退場して下さい!!」

 上手から、年末番組笑顔はいけないの扮装をしたフジ副社長がスローモーションで登場してきた。そしてパイプ椅子に座った。

 会場は更にざわめいた。ブッチャケられない人は退場という高圧的な指示に反感を持った取材陣や芸能レポーターは、退席しようとしていたが動きが止まった。

 フジ副社長のあとに、人気番組俺たちおちやらけ民族の白塗り神様を思わせる衣装の、白塗りの男がスローモーションで現れた。

 白塗り神様のキャラクターのコスプレをしているのは、先日不評の会見をしたオカ社長だった。

 会場が更にどよめき、退席しようとしていた芸能関係者は、席に戻った。

 フジとオカは、上手のテーブルについた。

 「こちらですこちらですこちらですこちらです、便器の蓋を上げてこちらですのフジと、0点オカです」

 二人を紹介したが、全く受けなかった。


 オレはことさらゆっくりと拍子を鳴らし、
「はい時間!!もう出れません。皆様はもう嘘体裁無しのブッチャケ芸能関係者です!!」と宣言した。

 会場から小さな笑い声がもれた。先のオカ社長の会見に不満をもち、いきり立っていた芸能関係者たちを和ませることに成功した。

 オレは会場後方のガードマンに後ろの扉を塞がせ、誰も出れないように指示を出した。

 更に小さな笑い声がおきた。

 オレは、よしっ!!つかみは成功したと思った。

 

 
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