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アカの義理堅さと、先輩カミ女帝との忌まわしい記憶
しおりを挟む会場から、手が上がった。オレはどうぞと手のひらを上に向けて、発言をうながした。
「先ほど𠮷(つちよし)の原点は、戦後の貧しい時代に笑いをとどけようとした劇場にあると言われました。つまり𠮷(つちよし)の笑いの発祥は……」
テレビでよく見る女性リポーターが質問しているとき、上手からムラショウがおでこに、2013アカテレビでのギャグと書いた、紙のハチマキをして出てきた。
「あ、ハッショハッショ」
アホサカ歩きのようなドジョウすくいのような、阿波おどりの一部のようなリアクションをしながら、上手から出て、下手の袖に消えていった。
「すみません、2013アカテレビでアカの、夢を叶えるロケでの、ムラショウのギャグでした。どうぞ続きを」
「……忘れました。スミマセン」
ハイッ!!と次々手が上がった。オレはどうぞと目配せをした。
「マツさんとアカさんの発言は間違っているようなことをおっしゃられましたが、発言に至った経緯はどうしてと思われますか?」
「一般社会では、もう会社側の年齢ですよね。辞めるなら、電波に乗せる必要はなく、辞表出せばいい。技術職として管理職を拒む場合は、労働組合をつくり、そこで交渉すればよい」
「しかしなぜ、𠮷(つちよし)の原点の末端にいた、アカがミヤを引き取るとか言うのでしょう」
「自分が先輩に助けられた恩義を、今度は後輩を助ける番だと考えたのでしょうね。だが、アカを助けた先輩は、𠮷(つちよし)の外へ牙を向いたのだし、犯罪者を助けた訳でもない」
「具体的にどう助けられたのでしょうか?」
「本人が話した事が事実なら、まず、無名時代のアカになる前のショウ時代。これまた無名のタカジに世話になった。台風で中止になった落語会の場所を提供してもらい、落語を聞いてもらった」
「タカジが復帰したときのブイですね。テレオオテレビの」
「そしてお化け番組のイチイチPM」
芸能席の人達は、年代的に、お化け番組のイチイチPMを知らないのか、シーンとした。
「これが好きなハンバーグなのに親の喧嘩が思い出されて、微妙な気持ちになるハンバーグです。ハンバーグは、芸人として憧れのカミ女帝」
バシッ!!
「夜の四十八手を紹介する企画で、司会の大物作家フジギ。アシスタントに売れっ子漫才コンビのウナセンマ」
バシッバシッバシッ!!
「フジギは、ひな壇の無名の芸人たちに聞いた。他に四十八手以外の技を知っている人!!」
バシッ!!バンバンバシッバンバン!!
「アカと名乗る前の芸名であるショウサンが、手を上げた!!アシスタントのカミ女帝がマイクを持ってショウサン、今のアカサンのもとへ!!売れっ子カミのオーラにアカサンは、いきまいた!!」
バシッバンバン!!
「ハイッ!!僕の知っている夜の技は、……逆さ十文字落としです!!」
会場から、笑いが上がった。
「場内大爆笑ですが、作家のフジギは、怒った。生放送中に何度も君は誰や!真面目な番組にそんなんいらん!!名前言うてみ!!」
会場はシーンとした。
「誰もが芸人人生終わったと思った。お化け番組の人気作家に本番中何度も怒られたのだから。しかもアカは、まだ無名の一落語家だった」
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