カルボナーラのお知らせ

munuoff

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カル

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「幸せな話をしよーよ。幸せだったことを」


静止の女神は微笑んだ。


「そうしますか?」

「もっと普通にして」

「何してたん、今まで」

「面倒なこと。どっかの誰かが、人を殺さないように見守ったり、頭のおかしい人が綺麗な世界をさ」

「汚さないように?」

「それ。ほら、理想とか夢とかってキラキラしてるじゃん。可変はそういうの、忘れちゃったの?」


忘れるものか。

覚えているとも。

世界が輝いていたこと。

青春の朝焼け。

クリスマスのイルミネーション。

掴んだ手の温もり。

走り出した映画館。

秘めていた想い。

絞り込んだ力。

落ちていく矢。


「ね」

「間違っていたよ」

「間違いとは違うじゃん。ちょっとテンション下がっただけでしょ」

「そうかもね」

「そう。女子の話には黙って頷けば良いんだよ。君、黙ってればまぁまぁ良い顔してんだから」

「顔で選んだのか」

「どうかな。でも私は顔で選んだでしょ」

「そーかも」


地平線まで見える開いた荒野。

投げた帽子は迷いなく飛ぶ。

ステーションの迷子。

魚臭くなった革製のバッグ。

ベッドのアリを怖がる親友。

トレーニングルームに駆け出す。

ビッグな海外と小さな僕ら。


「ひとつだけ、言わなきゃいけないんだ」

「なんだよ」

「今更だっていうかもしれない」

「焦らすなって」

「本当に、こんな事は言いたくない」

「おい、早よ言ってくれ」

「君に嫌われたくないから、言えなかった」

「だから、なに」

「ずっと嘘をついていたの」

「誰に」

「君に」

「どんな嘘をついたんだよ」


記憶がねじれて行く。

改変され再生する。

赤はトマト。

青はウミ。

緑は草原。

白はソラ。

黒はヨル。










「あなたの今日の朝ごはんは、ボヘムのタバコね」





20190325
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