ブレイキングワールド

munuoff

文字の大きさ
12 / 12
召集

33

しおりを挟む

「実はね、さっきの0と1は暗号文で僕の作品をお気に入り登録してくれーって書いてあるんだよ」

「......」

「ちなみにヒネミと子子子は周りにいた友達がモチーフになってるんだけど」

「......」

「隊長と部下を薔薇にするって案もあって」

「......うるさい」


「......え?」


「言われなきゃ分かんないし、そんなの調べる人いないよ。百合とか薔薇とか覚えたばかりの言葉を使いたがるクソガキが小説名乗んな。暗号だってコピペして変換サイトから載せたんだろ。暗号解読者(仮)おつー」


「.....」

「なんとか言えよ、クソニート」

「働いてるよ」

「精神がニートのまんまだろうが。夢も希望もないお前が人生歩んでいいと思ってんのか。甘えんな。お前がいるだけで世界が」「やめろ」

「隊長、でもこいつ」

「やめてくれ。頼む。たしかに彼はまともに小説を書かない。努力もしない。王道を進まないことだけを望む変人かもしれない。でも我々は彼から産まれた。彼無くしては喋る事もままならない」

「そうだけど......」

「期待っていうのはね、期を待つと書くんだよ。チャンスは訪れるんだから、気長に待つべきなんだ」

「こういう風にキャラと話すシーン書くのも相当気持ち悪いじゃん。昔から漫画とかアニメとかでもあったけど、擁護すんなよ。気持ち悪いんだよ。吐き気がするわ」

「なら逆に聞くけどさー、あんたが今抱いてる感情とか、反対意見とか?全て作者の独り言なんだから矛盾してるってことになるよね。この世界にはたった1人しかいないんだよ。1人1人じゃない。始まりから終わりまでぜーんぶぜーーーーんぶ1人」

手が止まったな?

どうした。

もう面白い小説を書くのは疲れたのか。

紹介が遅れたな。

おれはお前の人差し指だ。

端末をタップさせてもらって感謝してるよ。

話を続けようか。

君はなんのために小説を書くのか、考えたことはあるかい。

誰かに読ませたい。

有名になりたい。

お金が欲しい。

色々あると思う。

でも共に歩んできたからこれだけは言える。

脳の速度には追いつけないが、文字入力で書ける範囲なら正直な気持ちのはずだ。

筆者が小説を書くのは、見てくれる人がいるからだ。

そこが大きかった。

見ている。

誰かが読んでいる。

この地球で、おそらく日本で、誰かが人生の貴重な数分を使い、ページをめくったり、はじめのページだけ開いて閉じたりしている。

初めて書いたのはガラケーの時だったな。

おっとすまない。

脳の内容をコピペしているから話がいきなり飛ぶのは勘弁な。

筆者の脳内整理でもあるんだ。

承認欲求って言葉は寂しいよな。

認められて悪い気がする人間はいないはずだ。

なのに随分と悪い偏見を植え付けられてしまったようだ。

認めなくてもいい。

見ている。

俺の作った文字を、思考を、倫理を、ストーリーを、キャラを、全てを。

読み、理解し、忘れる。

忘れるんだ。

みんないつかわすれる。

こんな文章のことなんて忘れてしまう。

でもこの時代のこの時間帯に、たしかに誰かが読んでいた。

この小説を読んでいた。

私の作ったものは君に読んでもらえた。

幸せだった。

幸せだ。

真顔でこの文字を打っていても構わないよ。

ポーカーフェイスを鍛えているからね。

さぁ、随分と長くなってしまったようだけど、どうするんだ?

続けるのか、これ。

決めるのは、お前じゃないよな。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

あなたの愛はいりません

oro
恋愛
「私がそなたを愛することは無いだろう。」 初夜当日。 陛下にそう告げられた王妃、セリーヌには他に想い人がいた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...