隠れレズの私が異世界転生したら貴族の令嬢たちに性教育をするシスターに就職!? これで私は聖女ならぬ性女?

早見羽流@3/19書籍発売!

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高飛車娘の本領発揮

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「ど、どどどどうしようルナちゃん!」

「せ、先生がいけないんですからね! わたしは知りませんから!」

「──とか言ってるけど、ルナちゃんも気持ちよくなってイッてたわよね……?」

「だからそれは先生が……!」

 ルナちゃんと小声で言い争っていると──


「おい、やっぱり声がするぞ!」

 と、墓穴を掘ってしまった。

「ここが怪しいな……」

 ガチャガチャと音がして正面の壁が揺れる。あそこが外れて出口になるのかもしれない。……どうしようどうしよう……後ろに逃げる? ……しかないよね。

「ひぃっ!?」

「──ルナち……」

 私が息を飲むルナちゃんに声をかけようとすると、上の方からチョロチョロと流れてきた温かい液体が私の手を濡らした。

「ちょっとルナちゃん何してるの!」

「ふ、ふぇぇっ……だって……」

 ルナちゃん。実は相当ビビりだったみたいだ。少し脅かされただけでおもらししてしまうなんて……!
 だがその時、出口をガチャガチャやっていた兵士たちが突如として慌て始めた。

「……フ、フローラお嬢様! どうしてこんなところに!?」

「それはこっちのセリフよ。一体なんの騒ぎなの?」

 聞こえてきたのは高飛車娘ことフローラちゃんの声だった。なんだかずいぶん久しぶりに聞いたような気がする。懐かしさをおぼえた。でも、兵士じゃないけどなんでフローラちゃんはこんなところに……?

「──フローラちゃん!?」

「しーっ!」

 私が思わず声を上げると、ルナちゃんに注意された。少し前にイッたはずの彼女は、今ではなんとか復活して自分で壁に耳を当てて外の様子をうかがっていた。


「はっ、それが……どうやら罪人のエリノア・クルーゲが逃亡したらしく……まだ王宮に潜伏しているらしいのです……」

「はぁ? たかが罪人一人に大勢の兵士を駆り出して……ばっかじゃないの?」

「しかし……王様のご命令で……」

「あんたたちはウチの──カロー家の私兵よね? 王様の命令とカロー家令嬢のアタシの命令、どっちが大事なの?」

「そ、それはもちろんフローラお嬢様の……」

「──なら持ち場に戻りなさい」

「……は?」

「早く持ち場に戻ってウチの屋敷の警備を続けなさい! こんな所で油を売っているとクビにするわよ!」

 フローラちゃんは毅然とした態度で兵士を叱りつけ、兵士は返答に窮してしまったようだ。なんか、すごくかっこいいですフローラちゃん。

「……はっ! 直ちに!」

 バタバタと兵士たちが去っていく足音がする。……助かった……のかな?
 すると、力が抜けたらしいルナちゃんが再びずるずるとずり落ちてきた。

「はぁ……助かりました……」

「ルナちゃん重い、早く進んで!」

「む、無理です……下半身に力が入らなくて……」

「ちょっと、やばいやばい落ちる!」

 自分とルナちゃんの体重を支え続けた私の手足は限界を迎えようとしており、さらにルナちゃんの聖水のせいで抜け穴の中はとても滑りやすくなっているので……。

「あぁぁぁぁっ! もうダメ!」


 しかし、私の手が滑る寸前に、目の前の壁が横にスライドして抜け穴の中に数本の触手が滑り込んできた。触手たちは私とルナちゃんの身体に巻きついてそのまま穴の外に引きずり出す。

 抜け穴の外はまさに『城壁の上』といった感じだった。石造りの城壁は、東京ドームほどの大きさがある大きな王宮をぐるっと囲んでおり、その上には通路があって城壁の上から外を見張れるように見張り台のようなものもついていた。

 昼間らしく辺りは明るく、太陽はほぼ真上に位置している。そして、目の前にいるのはドレスの裾から触手を生やしたフローラちゃんだった。

「……はぁ、全く……世話の焼ける」

 腕を組みながらそう呟くフローラちゃんはかつてないほどかっこよかった。

「ありがとうフローラちゃん! フローラちゃんも私を助けに来てくれたの?」

 私が問いかけると、フローラちゃんは得意げな笑みを浮かべる。この子は本当に褒められるのが好きらしい。

「まあね。アタシもなんだかんだで先生にはお世話になったし。この子だって先生のおかげで……」

 愛おしそうに触手を撫でるフローラちゃん。意図せずに身につけてしまったフローラちゃんの触手だけど、気に入ってくれたようでなによりです。これからもその子を使って思う存分女の子をいじめてくださいね!

「はぁ……はぁ……フローラさん……」

「まさかルナがこんなに情けない姿を晒しているとはね……」

「ち、ちがうんですフローラさん! これは先生が……!」

 ペタンと地面に座り込み、真っ赤になりながら両手を振るルナちゃん。するとフローラちゃんはうんざりした様子でため息をついた。

「はぁ……だいたいわかってたけど、あんたほんとに変態ね」

「お褒めに預かり光栄です」

 フローラちゃんに褒められたので大人しくお辞儀をしておくと、少しやりずらそうな表情をされた。


「で、これからどうするの? ──さっきのはアタシの私兵だったからなんとかなったし、大概の兵士ならアタシが命令すればビビって逃げていくけど、王宮直属の兵士や王様の近衛兵とかはそうはいかないわよ?」

「とりあえず先生を街の外まで連れていく手はずになってます」

「なるほどね。任せなさい。この、カロー家令嬢のフローラ・カロー様が責任をもって街の外まで逃がすわ!」

「でも、そうしたらフローラさんも責任を免れないんじゃ……下手したら反逆罪で死罪……にならないまでも追放されたり……」

 フローラちゃんの言葉にルナちゃんがビクビクしながら返すと、なんとフローラちゃんはドヤ顔をしながら控えめな胸を精一杯張った。

「はっ、アタシを誰だと思っているの? ヴァルネイ王国の重鎮、カロー家の令嬢──」

「あー、はいはい、そういうのもういいですから……」

「って、最後まで言わせなさいよー!」

 ムキーッ! と地団駄を踏みながら怒るフローラちゃんは……かわいい。

「ていうかルナちゃんとかアリアちゃん、ノエルちゃんもバレたら大変なことになるんじゃ……」

 フローラちゃんが怒っているうちに、ルナちゃんに疑問をぶつけてみた。するとルナちゃんは嬉しそうな──困ったような──その中間のような表情で笑った。

「無理矢理男の人と結婚させられそうになってるわたしたちは、こういう問題を起こしでもしないと破棄できないんですよ……だから、婚約破棄できてついでに恩人も助けられる。これはまたとない機会なんです。……でもまさかあの頑固なフローラさんまで乗ってくるなんて……」

「うっさいわね! ほら、二人とも無駄口叩いてないでさっさと行くわよ!」

 照れているのか、顔を真っ赤にしたフローラちゃんは城壁の上を歩いていく。私とルナちゃんは顔を見合わせてニヤニヤと笑いながらその後ろからついていくことにした。
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