ツンデレでごめんなさい!〜素直になれない僕〜

誰かのおとしもの

文字の大きさ
3 / 36
第一章

たまには Le/S→B/S

しおりを挟む


 ──────キ、キ、キ、キスしてるぅ~!

「誰がするかボケェぇぇぇぇぇぇえええ!!!──────っゔっっ・・・痛ったぃ・・・」


 最悪の夢見心地だったせいで、ソファーから転げ落ちて頭を打った。そんな事になって居るのは勿論騎士団長の僕。

 ソファーで寝るからそんな事になるんだよ。

 僕は馬鹿なのか?いくら何でもダサ過ぎるでしょ。って、もう十一時だし!仕事しないといけないのに寝ちゃった。・・・また、ルドウィン様に怒られるのか。

 ルドウィン様によしよしされるなんて、都合のいい夢など見れる理由がなく。・・・どちらかと言えば悪夢を見てしまった。気分は落ち込んだままで、溜め息は止まることを知らない。


 机の上にはベンが書いたと思われる手紙と、ご丁寧にラップをかけられたサンドイッチが置いて在った。

 ここになかったら食べなかったかもしれない、そう考えてサンドイッチを手に取った。お行儀は良くないがサンドイッチ食べながらベンの手紙を読む。


 ───ライト様へ

 お部屋に運ぶか迷いましたが、この前殴られたので止めておきました。サンドイッチを用意して置いたので食べて下さい。もし夜に起きてしまっても、仕事の続きなんてしないで下さいね。部屋でしっかり寝て下さい。 ベインより

 追伸 ︰ 先程、ルドウィン様にお会いしました。ライト様の事、心配してましたよ。───


 ルドウィン様が僕を心配?!

 ヤバい、仕事がやりたい・・・!現実で褒められたい。そんな事ある訳無いと知って居るのに、衝動が抑えられない・・・!僕、今なら何でも出来る!!!

 僕は寝起きから仕事に明け暮れていた。



 ―――



 暫くしてノック音が部屋に鳴り響いた。僕の口から思わず間抜けな声が出てしまったのと同じ様にムッとしたベンが入って来た。


「ライト様!仕事やっちゃダメって書いて置きましたよね?!何やってるんですか・・・もう!こんな事だろうと思いましたけど、因みに何時からやっていたんです?!」

「・・・十二時過ぎから、だよ?」

「はぁ・・・!今、二時ですよ?二時間も、電気も付けないで、暗闇で、バカですか?バカなんですか?!」


 ベンがネチネチ言ってるけど、これで最後にするから、と言って黙らせる。さっきより少しムッとしたベンだったけれど、書類の片付けをしてくれた。

 ・・・嘘がバレ無くて良かった。


 十分後くらいに仕事が終わって早々にベッドに寝かされて居る。毎日の睡眠時間が四時間も無いなんて、頭イカれてますよ、なんて憎まれ愚痴を叩かれながら。


「ほら、早く寝て下さい。」

「寝てたから眠れない・・・」

「えぇ~・・・気合いでどうにか寝れません?」


 それが出来たら苦労しない、思った事をそのまま口に出した。それなのに、ベンは僕のほっぺをむにむにするだけだ。


「ベン、いつもダメって言ってるだろ?」

「うわぁ~、今のルドウィン様にやって見て下さいよ。俺でもズキューンって来ました・・・多分イチコロだと思います。」

「・・・ベンの、ばか・・・」

「はいはい、すみませんでした~。」


 僕の何が良いんだ。ズキューンって何なんだ。不思議で仕方が無い。僕がカレアみたいに可愛かったら、好きになって貰えたのだろうか・・・

 なんか嫌になって来た。


「ライト様~?何か振られたみたいな顔しないで下さいよ。まだ大丈夫ですよ!・・・まだ・・・・・」

「まだって言うなぁ!」


 怒りを露わにする様に毛布を握り締め、頬を膨らませ、枕をバンバン叩いている・・・つもりなのだろう。実際はぽふぽふ子供が駄々を捏ねている様にしか見えない。

 ・・・誰が見ても凄く可愛いと言える。

 やってる本人はそれに気付かないのだから、余計にタチが悪いのだ。


 ライト様が早く幸せになると良いな、そう考えると口元が緩んだ。それに対してもっと怒って居る姿は・・・誰もが大変そそられる事だろう。

 ライト様がこんなに可愛いのが知れたら虜になってしまう!俺・・・何があっても守りますからね!

 俺はライト様のベンですから!

 悪い虫は徹底的に対処致します!


「・・・ベン、その顔はなぁに?何考えてるんだ?・・・何か、むかむかする顔なんだけど!僕で遊ぶなよ・・・!」

「はいはーい・・・」


 可愛いライト様に俺はまた、生意気な返事をした。



 十分程だろうか。沈黙が続いたのにも関わらず両者とも全く寝る気配すらない。痺れを切らしたのだろうか、急に無茶振りをしてきた。


「ねぇ、面白い話して。」

「えぇ~!急に言われても・・・」 

「じゃあ鍛錬」
「駄目です!!!」

「じゃあ話してよ、暇で暇でしょうがない・・・」


 唸りながら考えけれど、特に思い付かなかった。


「ライト様、閑談しましょ?」

「どれだけ僕を休ませたいんだ・・・」

「ん~と・・・あ、殴った話、覚えてました?」


 ライト様は気まずそうに目を逸らしながら小さな声で・・・覚えてる、と言った。またズキューンとしたが、あの可愛かった出来事を思い出した。





 ライト様が団長になって直ぐの頃。

 疲れて居たのだろう。今日の様にソファーで寝てしまって居た。身体を痛めるので、ベッドに運ぼうと抱っこした。

 ・・・おんぶする訳にはいかないじゃないか。起こしてしまったら嫌だから。だから、両腕で背中と膝裏を持ち上げるように支えたんだ。

 パチッと目があって、ライト様は自分の状況を確認出来たのか、口をはくはくさせながら真っ赤になった。

 可愛くて笑ったら、子供じゃない!と言われて・・・

 強烈な、一撃を食らったのだった──────

 顎に痣が出来てしまい、本来なら裁判沙汰の事だ。俺は全然怒って居なかったのに、ライト様はボロボロ泣きながら謝ってきて・・・

『ベン、ごめんっごめんねっ!うぇぇ~・・・僕、僕、わざとじゃないの!ごめんなさ・・・ごめんなさい・・・』

 可愛かったなぁ~・・・。勿論現在進行形で可愛いんだけど。少し視線を向けるとそっぽを向かれる。


「悪い事考えてるでしょ!昔の話は掘り返さないでよね、もう・・・。」

「ライト様が可愛いのがいけないんですよ?」

「ベンのバカ!」


 それから暫く閑談を続けた。

 ライト様が有り得ないくらい鍛錬しようとするのを阻止しながら。



 何気ない日常が、一番良いのだと思える。

 一番良いと思えるのは、何故だろうか?

 それは──────


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー

白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿) 金持ち‪社長・溺愛&執着 α‬ × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω 幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。 ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。 発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう 離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。 すれ違っていく2人は結ばれることができるのか…… 思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいα‬の溺愛、身分差ストーリー ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

あなたの隣で初めての恋を知る

彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

拗らせ問題児は癒しの君を独占したい

結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。 一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。 補習課題のペアとして出会った二人。 セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。 身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。 期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。 これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。

処理中です...