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第32話
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彩音は否定せずに黙りだった。
「え、その反応は予想しなかった」
健二は彩音の思いがけない反応に困惑した。
「私がどんな反応すると思ったの?」
「彩音の事だから「なわけいでしょ」って顔を赤くして強く否定すると思った」
健二は自分の席に座って体勢を彩音の方に向けて話した。
「まぁ、黙りって事は察しがつくでしょ」
彩音は頬杖をついて黒板を遠い目で眺めて言った。
「まぁね」
「それに、私は彼の好きな人知ってるよ」
彩音は声のトーンを落として健二の目をじっと見て言った。
「嘘つくなよ。親友の俺が知らないんだから彩音が知るわけないだろ」
「健二、女はそういうのに勘が利くのよ」
彩音はニヤッと笑って言った。
「怖いな女子は」
健二は彩音の顔を見てゾッとする。
「健二はいないの?」
「……いても、言わねぇよ」
「それは、いるってことだよね。だって、いないななら即答で言うもん」
「やっぱり、女子は怖いわー」
健二は苦笑いを浮かべて言った。
* * *
「いやー、反省文4枚だってよ」
職員室から帰還した隼人は自分の席に座って頭をボリボリと掻いて微笑を浮かべて言った。
「まぁ、そうなるよな。……親に連絡はいかないのか?」
健二は隼人の顔を伺って訊ねた。
「心配すんなよ、健二。親父に連絡いったってなんてことないよ」
「本当かよ?前、みたいにならないか?」
健二は心配そうな目つきで訊いた。
「大丈夫だって」
隼人は健二の頭を軽く叩いて髪をぐしゃぐしゃにしてニコッと笑って言った。
「おい、やめろよ、セットした髪がぐしゃぐしゃじゃねぇか。なんかあったら言えよ」
健二は乱れた髪を整えてから隼人を真面目な顔をして見て言った。
「あぁ、約束するよ。なんかあったら、お前に連絡するよ」
* * *
その日の夜、健二はベッドで映画のチラシを整理してるとスマホが鳴った。
「こんな時間に誰だ?……まさか」
健二は心がざわめき嫌な予感は的中した。
「……健二か、今から家出れるか?」
「隼人、大丈夫か。話し辛そうじゃないか。……今から出れるよ」
「とりあえず、お前の家の近くのレンタルビデオ屋で落ち合おう」
「分かった」
「また、後で」
「あぁ……」
健二は部屋着のジャージで急いで階段を降りて靴を履いて家を出ようとした瞬間
「健二、こんな遅くに急いでどうした?」
後ろから兄貴の声がした。
「ビデオ屋に行こうと思って」
俺は後ろを振り返って兄貴の顔を見て言った。
「そうか、気をつけろよ。母さん達に言っといてやるから早く行きな。あんま、遅くなるなよ」
「分かった」
* * *
健二は静かに自転車を取り出してサドルに座ってペダルをシャカシャカと足早に漕いでレンタルビデオ屋に向かった。
「隼人!」
健二は目と鼻の先にトボトボと歩いてる隼人を見つけて大きな声で呼び掛けた。
「よ、健二」
健二の方を振り向いた隼人の右目から頬にかけて青あざができてた。
「それ、親にやられたのか?」
健二は自転車のサドルから降りて両手でハンドルを握り自転車を押して隼人の方へ進ませる、
「案の定な。お前の言った通りだったよ」
隼人は痛みのせいでいつものスマイルが出来なかった。
「笑ってる場合かよ。警察に行こう」
「ダメだ、健二。お願いだ、それだけはやめてくれ。あれでも、俺の父親なんだよ」
隼人は悲愴な面持ちになって言った。
「……分かった。これから、映画を見に行こう」
「映画?今、19時30分だろ。やってる映画なんてあんのかよ」
「隼人、ビックリすんよ。何と、3駅分行った場所の映画館で"大人は判ってくれない"がやってんだよ」
「え、その反応は予想しなかった」
健二は彩音の思いがけない反応に困惑した。
「私がどんな反応すると思ったの?」
「彩音の事だから「なわけいでしょ」って顔を赤くして強く否定すると思った」
健二は自分の席に座って体勢を彩音の方に向けて話した。
「まぁ、黙りって事は察しがつくでしょ」
彩音は頬杖をついて黒板を遠い目で眺めて言った。
「まぁね」
「それに、私は彼の好きな人知ってるよ」
彩音は声のトーンを落として健二の目をじっと見て言った。
「嘘つくなよ。親友の俺が知らないんだから彩音が知るわけないだろ」
「健二、女はそういうのに勘が利くのよ」
彩音はニヤッと笑って言った。
「怖いな女子は」
健二は彩音の顔を見てゾッとする。
「健二はいないの?」
「……いても、言わねぇよ」
「それは、いるってことだよね。だって、いないななら即答で言うもん」
「やっぱり、女子は怖いわー」
健二は苦笑いを浮かべて言った。
* * *
「いやー、反省文4枚だってよ」
職員室から帰還した隼人は自分の席に座って頭をボリボリと掻いて微笑を浮かべて言った。
「まぁ、そうなるよな。……親に連絡はいかないのか?」
健二は隼人の顔を伺って訊ねた。
「心配すんなよ、健二。親父に連絡いったってなんてことないよ」
「本当かよ?前、みたいにならないか?」
健二は心配そうな目つきで訊いた。
「大丈夫だって」
隼人は健二の頭を軽く叩いて髪をぐしゃぐしゃにしてニコッと笑って言った。
「おい、やめろよ、セットした髪がぐしゃぐしゃじゃねぇか。なんかあったら言えよ」
健二は乱れた髪を整えてから隼人を真面目な顔をして見て言った。
「あぁ、約束するよ。なんかあったら、お前に連絡するよ」
* * *
その日の夜、健二はベッドで映画のチラシを整理してるとスマホが鳴った。
「こんな時間に誰だ?……まさか」
健二は心がざわめき嫌な予感は的中した。
「……健二か、今から家出れるか?」
「隼人、大丈夫か。話し辛そうじゃないか。……今から出れるよ」
「とりあえず、お前の家の近くのレンタルビデオ屋で落ち合おう」
「分かった」
「また、後で」
「あぁ……」
健二は部屋着のジャージで急いで階段を降りて靴を履いて家を出ようとした瞬間
「健二、こんな遅くに急いでどうした?」
後ろから兄貴の声がした。
「ビデオ屋に行こうと思って」
俺は後ろを振り返って兄貴の顔を見て言った。
「そうか、気をつけろよ。母さん達に言っといてやるから早く行きな。あんま、遅くなるなよ」
「分かった」
* * *
健二は静かに自転車を取り出してサドルに座ってペダルをシャカシャカと足早に漕いでレンタルビデオ屋に向かった。
「隼人!」
健二は目と鼻の先にトボトボと歩いてる隼人を見つけて大きな声で呼び掛けた。
「よ、健二」
健二の方を振り向いた隼人の右目から頬にかけて青あざができてた。
「それ、親にやられたのか?」
健二は自転車のサドルから降りて両手でハンドルを握り自転車を押して隼人の方へ進ませる、
「案の定な。お前の言った通りだったよ」
隼人は痛みのせいでいつものスマイルが出来なかった。
「笑ってる場合かよ。警察に行こう」
「ダメだ、健二。お願いだ、それだけはやめてくれ。あれでも、俺の父親なんだよ」
隼人は悲愴な面持ちになって言った。
「……分かった。これから、映画を見に行こう」
「映画?今、19時30分だろ。やってる映画なんてあんのかよ」
「隼人、ビックリすんよ。何と、3駅分行った場所の映画館で"大人は判ってくれない"がやってんだよ」
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