7 / 9
7*
しおりを挟む夢を見ていた。
懐かしい匂いがする。昔の夢だ。
ハウは寝台にいた。体中にうっすら汗をかいているが、寒くて寒くてたまらない。近くには翁が控えていて、熱い額に冷たい手拭いを当てている。
『子犬の具合は?』
『熱が……いっこうに下がらないのです』
部屋にスヴェルがやってきて、ハウの容体を訊ねた。
実はこれは珍しい風景ではない。
神殿にもらわれてきたばかりのハウは、しばしば高い熱を出しては寝込んだ。幼獣のとき、十分な量の母乳を吸えず、大人になるための力が育たなかったのだと聞かされた。
『無理に仕事をさせたのではないか?』
『……そうかもしれませんな。この子は、何も言いませんから』
『こいつなりの気遣いだろう。まあいい。今夜は俺が寝ずの番を代わる』
『いけません。スヴェル様は明日もお勤めがある身。ハウのことはお任せください』
『俺にも少し譲れ。傍についていてやりたいんだ。一晩寝なくても俺は倒れん』
強く言われて、翁はしばらく黙った。
『……スヴェル様。あたしは近頃、膝がいけなくなってきました。まもなく引退です。この子をどうか、よろしくお願いします』
『手放したりなどしないさ。この子は俺の──』
スヴェルがとても優しい顔をして、ハウの髪を長い指で静かに梳いた。
どう考えたって、やっぱり夢だ。
そう思いながら重い瞼を持ち上げると、広くて明るい部屋に横たわっていた。寝台のまわりを薄いレースのカーテンが覆っている。
鼻先に香る瑞々しい野花の匂い。耳を澄ませば、聞き覚えのある話し声が入ってくる。
「だから、なぜ連れて帰れないのかと聞いている!」
「神殿だと子犬ちゃんがゆっくり休めないでしょ?」
「だったら必要なものを寄越せ!」
「ねえちょっと、声が大きい。これだから狼は……!」
壁一枚を隔てたところで、スヴェルとフィンが言い合いをしている。体を起こそうとして、なんだか力が入らないことに気づいた。自分の体が自分のものではないみたいだ。うう、と唸りながら身じろぎをすると、声は途絶えた。
がちゃりと扉が開けられて、我先にとフィンが飛び込んできた。後ろからスヴェルも続いて現れるが、フィンが扉を閉めたせいで入ってこられなかった。
「あ、あの、私……」
「まだ無理しないで」
ひどく優しい声で、起こそうとした体を押し留められた。
「君が急いで知らせてくれたおかげで、みんなが助かった。スヴェルも助かった。君は自分を誇っていいんだよ」
ハウが眠っている間に、すべては終わっていた。
「天狼様がお迎えに来てる」
そこでようやく扉が開かれた。
迷子のような顔のスヴェルがぽつんと突っ立っていた。何か言ったら、と背中を押されて、ハウの元までしおしおと近づく。寝台にかがみ込み、ハウの手首を握った。
「……また俺から逃げようとしたのか」
「こら、凶悪な顔をするな。子犬ちゃんが泣いちゃうだろ」
フィンがぷんぷんと怒る。
まるまる一週間、ハウはメネラウスの屋敷で寝込んでいたそうだ。なかなか意識が戻らず、スヴェルも顔面蒼白のまま、通い詰めていたらしい。
「目が覚めたのなら心配はないはずだな? 子犬、神殿に帰るぞ」
「……い、いやです」
掠れた声で首を振れば、スヴェルが硬直した。狼耳がしゅんと萎れる。フィンが面白そうな顔をして首を傾げた。
「どうして帰るのが嫌なんだい?」
「わ……私では、ダメだから……」
「それ、どういう意味?」
「毒で魘されていたスヴェル様は……一心にフィン様を呼んでいました。私のこともわからなくなっていて……何もできなかった」
思い出したくない光景だった。スヴェルの中からハウの存在だけがかき消えたような気がした。
「俺が求めたのはフィンではなくて、フィンの薬蜜だ。あいつに対して恋だの愛だの甘いものは感じない」
「でも……私を近くに置いたのも、フィン様と離れ離れになったお心を慰めるためだったのでは?」
「そんなわけないでしょ。スヴェル、この子にちゃんと話しなよ。おいこら、好かれて当然って顔をするんじゃない!」
フィンが喚いている内容が、ハウには何のことやら判然としない。
「子犬、おまえが何を感じてどう考えたのか。ちゃんと話せ」
「私……おふたりの手紙を見たんです。消印が三月前の」
もちろん中身を読んだりはしていない旨を、必死で言い添えた。
「手紙がどうした?」
「おふたりは、その、良い仲なのだなって……」
「えーと、待って待って、子犬ちゃん。僕たち本当に付き合ってないよ。一度も寝てないし」
「おい。下世話な言い方はやめろ」
「ホントのことじゃん。こういうことは、はっきりさせておかないと。ていうか、君が責任持って説明しなさいよ」
スヴェルがそれもそうだなといって、がしがし頭を掻いた。
「……俺とフィンは長い間、連絡を取り合っていた。メネラウスは風に乗って島を移動しながら暮らす種族だ。俺よりも『外』に詳しいし、薬学への知見も深い」
島の外海には、大小さまざまな島が点在している。それぞれの島ごとに気候や民族も異なり、暮らしも違えば信仰する神々も違う。そういった異文化に興味を持ち、観察と研究を続けてきたのがメネラウスだ。蜜の収集から始まった彼らの生業は、やがて薬学として大成した。
「そこで、おまえの心臓に効く薬蜜を探してくれと打診した。メネラウスならば期待できると思ってな。家にあったのは手紙というか、調査報告の束だ」
「ちなみに、新しい薬蜜の精製には十年かかったよ。この狼、すっごく蝶使いが荒いんだ」
「フィン!」
「十年? そんなに前から……」
「君の心臓を治すためにスヴェルは、淫乱で気まぐれな蝶とお友達になってくれたってわけ」
「……そういうことだ。前任の翁からは『翅持つ輩を信じるな』と常に苦言を呈されたが」
「私もそう言われてました。メネラウスは危険な一族だから神殿に入れないようにと」
「えっ、なにそれ、ひどくない!? 僕って今回のいちばんの功労者なんですけど!?」
子犬ちゃん褒めておくれよ~、とやんわり手を握られた瞬間、間髪入れずにスヴェルがその手を叩き落とした。蝶というより蠅の扱いだ。フィンの細っこい手が折れないか心配になる。
「あのさ……この際だし、他にも我慢してることがあったら言っちゃえば?」
スヴェルに叩かれた手をさすりながら、フィンが促した。
我慢してることなど別に、と思ったが、ふたりを見ていたら、あれこれと思い悩んでいたことが脳裏をよぎった。
「……私はずっと、スヴェル様に認めてほしかった」
弱くて非力で、他者に誇れるものなど何もない。こんな自分でも傍に置く価値があると、他でもないスヴェルに認めてもらいたかった。
「もう、子犬じゃありません……『哀れな子犬』じゃなくて、『ハウ』って呼んでほしい!」
泣きたくなかったけれど、言葉にしたら胸から迫り上がる感情が肥大して、盛大にしゃくりあげた。だけど視線はスヴェルから離さない。自分の心を隠して黙り続けるのは、終わりにしたかった。
「私……スヴェル様が、好きなんです……」
尻すぼみになりそうな声だったが、一世一代の大告白だ。
やや呆れ顔になったスヴェルは、両手でハウの手を包み込んだ。
「おまえのことは、とっくに認めているし、好いている」
「好い……えっ?」
「好きだよ、ハウ。いや、好きでは足りないか。おまえを離したくない……愛してる」
握られた手のひらから自分のものではない体温が伝わってくる。
「ハウ」
もう一度、名を呼ばれた。
「ハウ。俺の可愛いハウ」
スヴェルが頬に手を添えた。大事な宝物に触れるみたいに優しく撫でる。鼻の奥がつんと痛んで、また涙が出てきた。
「何か言いたげだな?」
「あ、愛してるって、そんな……私はフィン様みたいに容姿がよくないです。大人なのにちんちくりんのままだし、そばかすだってあるし……フィン様みたいな美人といる方がドキドキするんじゃないですか?」
ぽろぽろと幼な子に戻ったように泣き言を零した。だが、スヴェルは鼻を鳴らして一蹴する。
「俺は俺の好きなやつと一生を共にする。嫌いなものをわざわざ傍には置かない」
ハウは、ふえ、と間の抜けた声を漏らした。
「これでもう、何も問題はないな?」
「えっと……」
「他に言い訳は?」
「な、ないと、思います」
スヴェルは狩りでもしそうな目つきで、ハウの様子を窺っている。
「神殿はいつも、おまえの匂いでいっぱいだった。今は匂いが薄くなってさみしい」
甘えるように顔を近づけたかと思えば、首に鼻先を擦り寄せた。
「帰るぞ、ハウ」
わしわしと頭を撫でられては、もう嫌だとは言えなかった。というより、判断力が戻ってこなかったのだ。
「やだぁ、僕、蜂蜜吐きそう。おふたりさん、イチャイチャは帰ってからだよ~。おととい来やがれですよー」
フィンが拗ねたように言って、調合した薬を瓶に詰めてくれた。
「ハウちゃん、これ持っていきな。分量は毎日ワンスプーンずつだよ」
心臓に効く蜜薬だという。
スヴェルにもたれかかりながら、おずおずと礼を言った。窮地を助けられただけでなく、持病に効く薬まで開発してもらったのだ。ちょっとやそっとのお礼では到底足りないだろう。これからどう返していけばいいのかと狼狽していれば、気にすることないよと微笑まれた。
「スヴェルと仲良くね!」
世話焼きな蝶は、とびきりチャーミングなウインクを寄越した。
ハウはスヴェルに抱えられて、無事神殿に帰還した。
まだ傷が痛むので、自室の寝台に足を伸ばして座っている。左足首の傷は深くて、すぐには治らない。分厚い包帯が巻かれた足首を、スヴェルはじっと見つめている。時々、やるせなさそうな表情を浮かべて。
「大丈夫ですよ。見た目ほど酷いものではありません」
気に病まないでほしいと思って明るく言うと、光る粒がはらはらとスヴェルの瞳から零れた。
スヴェルが泣いている。
あのスヴェルが。尊大な顔をしていつも鼻でフンと笑うスヴェルが。強くて大きくて怖いものなど何もないはずのスヴェルが……泣いているのだ。
天狼の頬をつたう涙に、ハウは何事かと驚いた。
「スヴェル様? お体が痛むのですか?」
常ならば凛と屹立しているはずの狼耳は見る影もなく、へなへなに萎れている。がくりと頭を垂れる姿はまるで飼い主に叱られた大型犬だ。
「……痛かっただろうに」
スヴェルがぽつりと言って、ハウの足を手で包み込んだ。壊れそうな宝物を必死で守っているようなその姿に、胸の奥が締めつけられた。
(スヴェル様……まさか、私のために泣いてるの?)
それはいくらなんでも思い上がりが過ぎるかと、おろおろしていると、スヴェルは声を詰まらせながら言葉を継いだ。
「おまえが傷つくのは悲しい。献身は嬉しいが、痛い思いはしてほしくない。俺の腕の中で笑っていてほしい」
「痛くなかったと言えば嘘になりますが……」
ハウは言葉を探して、視線をさまよわせた。
「走ることに集中していたので、痛みを感じる暇がなかったと思います。それだけ余裕がなかったということでもありますけど、スヴェル様のことを考えるだけで、力が湧いて出ました」
ごまかすように笑って手を差し伸べ、スヴェルの頬の雫を拭った。指に掬い取った涙を、ぺろりと舐める。
(……しょっぱくて、苦い)
ハウの涙と変わらない。誰かを想って流す涙は、きっと同じ味がするのだ。
「おまえは昔から変わらないな。島を出たいかと訊ねたときもそうだった……覚えていないか?」
いつの話だろうかと首を捻れば、スヴェルが僅かに口の端を持ち上げた。困ったものだと言いたげに苦笑する。
「八つくらいのおまえに、俺は訊いたんだ。『もし、その背に翅があったら?』と」
スヴェルは切なげに目元を歪めた。
翅があれば自由に飛べる。『外』の世界には、おまえにとってもっと住みやすい国があるかもしれない。その背中に翅があったとしたら、おまえも外へ飛んでいきたいか? とスヴェルは訊ねたらしい。
ハウは曇りのない顔で、はきはきと答えたそうだ。
『いいえ、スヴェルさまとずっといっしょにいます。ハウはスヴェルさまが大好きだから』
そのとき、気づいた。手元に置いた子犬が、かけがえのない宝だということに。ハウの存在は、孤独に倦み疲れたスヴェルにとって何よりの救いとなっていた。
「俺は、おまえに選ばせてやりたかったんだ。成長したら好きな道を進ませてやろうと……だが、もう離せない」
ぎしりとベッドが軋む。スヴェルが膝を乗せ、身を乗り出した。手が伸びてきて、ハウの頬が包まれた。
「スヴェル様」
「ハウ、おまえは俺の小さな星。俺が帰る場所だ」
頬に熱が昇って、瞳まで潤んできた。
スヴェルの顔が近づいて、互いの鼻先がぶつかる。たまらなくなって目を瞑ると、唇をそっと柔らかなものが掠めた。それがスヴェルの唇だと理解するより先に、今度は唇の間をぬるりと舌が這う。
「んんっ……」
思わず身を引きかけたら、腰に回った手が体の動きを封じる。驚いて口を開けたら、分厚い舌が薄い隙間を割って侵入した。すでに涙目のハウは、せめてもの抵抗でスヴェルの胸を押し返すが、猛攻は止まらない。むしろ煽られたように何度も口づけをして、ハウの唇を甘噛みし、舌は縦横無尽に口内をいたずらして回った。
這々の体で顔を離してもらうと、胸が太鼓のようにうるさく高鳴っていた。せっかく処方されたメネラウスの薬蜜の効果も、秒で消え失せそうだ。
ハウは潤んだ瞳で、きっとスヴェルを睨んだ。
「心臓に悪い、です!」
「それは大変だ」
「ひゃ!?」
スヴェルは心音の調子を確かめるように、ハウの左胸に手のひらを当てた。しばらく探ったのち、差し迫った異変はないと判断したのか、甘ったるく耳元で囁いた。
「今夜は付きっきりで看病してやろう」
薄い唇が緩やかな円弧を描いて近づいてくる。天狼様は、それはそれはあくどい笑みを浮かべた。
寝台の上に座ったまま、抱き枕のように後ろから抱きしめられる。自分よりも大きくて無骨な手のひらが腹に回り、体を支えた。
ハウの髪に頬擦りすると、丸く萎れた犬耳をかぷりと甘噛みした。硬く尖った感触で首を噛まれたときの記憶が蘇り、背筋をぞわぞわした興奮が駆け抜ける。ハウの腰をしっかり押さえ込んだスヴェルは、歯の先端を櫛のように使って耳周りの毛並みを扱いた。
「あ、あの……毛づくろいはやめてください」
子どもではないのだと身を固くして不服を表明する。ささやかな抵抗で頭へ伸ばした手は、途中で優しく握りしめられた。
「毛づくろいなどしていない」
「……へ?」
「恋人同士でも、こういうことはする」
「そうなんですか!?」
驚いて問い返せば、呆れたものを見る目で見下ろされた。
「これは求愛だ」
「きゅうあい」
ぽかんとしていたら下穿きをずるずると脱がされて、細い腿と小さな尻が晒された。
「ぴぇっ? な、何を……」
「疲れてるだろう? 揉んでやる」
ふくらはぎから足の付け根に向かって、スヴェルの手が丁寧に肌をたどった。萎えかけた足の筋がほぐされていく。だが、あまりにも執拗に揉まれると体の芯が火照って、ひどく喉が渇いた。
ごくりと唾を呑む音が届いたのか、スヴェルの狼耳がぴくりと揺れる。
「暑そうだな」
「いえ、そんな、あ……」
最後の砦だったシャツに手をかけられ、あっけなく脱がされる。上着でギリギリ隠れていた場所が露わになった。
下腹部にスヴェルの視線が注がれる。
「触っていいか?」
「あの、そこは……やっ」
声が羞恥を帯びた。ハウの雄の器官は日頃めったに反応を見せないのに、今はしっとり濡れた頭をもたげて脈動を繰り返していた。
「こういう熱は、吐き出した方が体にいい。力を抜いていろ」
「あぁっ……」
返事も待たず、やんわりと握られた。ひときわ敏感なところをひとの手で愛撫されて、熱が高まっていく。
腹の上を撫でていた手が胸まで伸びて先端の尖りを抓んだ。指先でいじられるとほのかに甘い痺れが走り、勝手に腰が揺れた。
「はっ……あぁん……っ!」
弓なりに背がしなる。ハウは痩せた腹を震わせて、スヴェルの手の中で果てた。体はくたりとして重いが、頭だけは霧が晴れたようにすっきりとしていた。
尻には硬いものが当たっている。それが何かは訊かなくてもわかる。肌と肌で得られる悦びを知った今、ハウも何かしてあげたかった。
(スヴェル様も、苦しそう……)
体をずらし、労わるように大きな昂りに触れると、スヴェルが愛おしげに目を細めた。潤んだ眼差しを浴びると何でも言うことを聞いてあげたくなる。
「……少し、いいか?」
切なげに求められて頷いた。
二本のスプーンが隙間なく重なるように、スヴェルは横向きに寝かせたハウにぴたりと寄り添った。膝裏に手を入れ、片足を持ち上げる。内腿に先ほどハウが吐き出した精を塗って、自身の屹立をその隙間に挿し入れた。
熱くて硬いものが閉じた足の間を行き来する。揺さぶられているとハウの慎ましげな性器も刺激され、ふたたび疼き出した。
「ハウ、……ハウ」
熱に浮かされたような声は甘く優しい。しかも口にした言葉が自分の名だから嬉しさも倍だ。どくんと弾けた欲はハウの股を白く濡らした。
腕の中から抜け出してスヴェルの顔を覗き込み、ちょこんと唇を重ねる。と、威嚇するような低い唸り声がした。
「……スヴェル様?」
「俺を煽るとどうなるか、覚えていろよ」
「お手柔らかに」
拗ねたように睨むスヴェルに、はにかんで、えへへと笑う。
長いような短い夜。ふたりは溶け合うように眠った。
21
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
僕と教授の秘密の遊び (終)
325号室の住人
BL
10年前、魔法学園の卒業式でやらかした元第二王子は、父親の魔法で二度と女遊びができない身体にされてしまった。
学生達が校内にいる時間帯には加齢魔法で老人姿の教授に、終業時間から翌朝の始業時間までは本来の容姿で居られるけれど陰茎は短く子種は出せない。
そんな教授の元に通うのは、教授がそんな魔法を掛けられる原因となった《過去のやらかし》である…
婚約破棄→王位継承権剥奪→新しい婚約発表と破局→王立学園(共学)に勤めて生徒の保護者である未亡人と致したのがバレて子種の出せない体にされる→美人局に引っかかって破産→加齢魔法で生徒を相手にしている時間帯のみ老人になり、貴族向けの魔法学院(全寮制男子校)に教授として勤める←今ここ を、全て見てきたと豪語する男爵子息。
卒業後も彼は自分が仕える伯爵家子息に付き添っては教授の元を訪れていた。
そんな彼と教授とのとある午後の話。
鬼神と恐れられる呪われた銀狼当主の元へ生贄として送られた僕、前世知識と癒やしの力で旦那様と郷を救ったら、めちゃくちゃ過保護に溺愛されています
水凪しおん
BL
東の山々に抱かれた獣人たちの国、彩峰の郷。最強と謳われる銀狼一族の若き当主・涯狼(ガイロウ)は、古き呪いにより発情の度に理性を失う宿命を背負い、「鬼神」と恐れられ孤独の中に生きていた。
一方、都で没落した家の息子・陽向(ヒナタ)は、借金の形として涯狼の元へ「花嫁」として差し出される。死を覚悟して郷を訪れた陽向を待っていたのは、噂とはかけ離れた、不器用で優しい一匹の狼だった。
前世の知識と、植物の力を引き出す不思議な才能を持つ陽向。彼が作る温かな料理と癒やしの香りは、涯狼の頑なな心を少しずつ溶かしていく。しかし、二人の穏やかな日々は、古き慣習に囚われた者たちの思惑によって引き裂かれようとしていた。
これは、孤独な狼と心優しき花嫁が、運命を乗り越え、愛の力で奇跡を起こす、温かくも切ない和風ファンタジー・ラブストーリー。
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。
抹茶砂糖
BL
いつも不機嫌そうな美形の騎士×特異体質の不憫な騎士見習い
<あらすじ>
魔力欠乏体質者との性行為は、死ぬほど気持ちがいい。そんな噂が流れている「魔力欠乏体質」であるリュカは、父の命令で第二王子を誘惑するために見習い騎士として騎士団に入る。
見習い騎士には、側仕えとして先輩騎士と宿舎で同室となり、身の回りの世話をするという規則があり、リュカは隊長を務めるアレックスの側仕えとなった。
いつも不機嫌そうな態度とちぐはぐなアレックスのやさしさに触れていくにつれて、アレックスに惹かれていくリュカ。
ある日、リュカの前に第二王子のウィルフリッドが現れ、衝撃の事実を告げてきて……。
親のいいなりで生きてきた不憫な青年が、恋をして、しあわせをもらう物語。
第13回BL大賞にエントリーしています。
応援いただけるとうれしいです!
※性描写が多めの作品になっていますのでご注意ください。
└性描写が含まれる話のサブタイトルには※をつけています。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しました。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる