花は全てを語る

ゆーる

文字の大きさ
4 / 13
~第1章~

第2話 悲劇の再会

しおりを挟む
百合side

百合「ん……朝?」

カーテンから差し込む光で目が覚める。父はもう仕事に行ったのだろう。

百合「今日から学校か……頑張らないと」

朝、父が用意してくれた朝食を食べてから制服に着替え、お弁当を入れて家を出る。
学校まで歩いて30分この時間だとゆっくり歩いても大丈夫そうだ。

百合「それにしても、静かだなぁ……」

都会とは違い静かな道、百合は咲いている花を見ながらゆっくり学校へ向かった。

          ~森林高校~

百合「ここか……緊張するな」

校舎に入り職員室に向かう。職員室は案外わかりやすかった。

百合「すいません、今日転校してきた雛詩ですが……」

先生「あぁ、君が雛詩さんだね君のクラスの担任してる、坂本です宜しく」

20代くらいの若い男の先生……いかにも熱血そう。

百合「はい!宜しくお願いします。」

その後私は自分のクラスの前まで案内してもらった。2年3組……他のクラスと比べて明るい生徒が多いそうだ。

先生「そしたら、俺が呼んだら中に入ってな」

先生は、笑って教室の中に入っていった。

先生「ほら!静かにしろー!今日は転校生が来てる!」

?「えー!それって美人!?」

男子生徒が騒いでるのが聞こえる……あんまり期待して欲しくないなぁ……。

先生「宍道!うるさい、今から来るから待ってろ!」

!?、今先生……宍道って言った?いや気の所為だよね……まさか、ここで再開とかないよ。

そう思いながらも私の心臓はうるさいくらい高鳴っていた。この高鳴りは緊張からか、期待からかこの時の私にはよく分からなかった。

先生「では!雛詩入れ」

私は緊張しながら、教室に入った周りの目が気になる……。

百合「ひ……雛詩 百合です宜しくお願いします」

精一杯の声で挨拶したが周りはシーンとしていて

宍道「おー!!!すっげぇ美人じゃん!」

そんな沈黙を破ったのはあの騒いでた男の子だった。

先生「皆仲良くするようにな!席は宍道の隣だ」

前を見ると茶髪の男子生徒が手を振って居たのでその隣りの席に座った。

宍道「俺さ!宍道 歩。今フリーでーす!」

……!?やっぱり、宍道君だ。

百合「あの……小さい頃誰かにクローバープレゼントした事無いですか?」

って何聞いてるの?こんなの頭おかしい子だよ。

歩「クローバー?んー…ねぇな!」

……うそ、彼は眩しい笑顔でそう答えた。漢字も名前も同じ。彼で間違え無いはずなのに。

百合「そう…ですか。」

歩「おう!まぁ、これから宜しくな!雛詩」

幼い頃の記憶なんて……こんなもの。
いくら大切な約束でも直ぐに忘れる

?「ねー!雛詩さん!私結上 咲!」

とても明るい少女が声をかけてきた。私とは正反対な人だ。

百合「結上さん、なにか御用ですか?」

咲「もう、硬いなぁ!咲でいいよ!」 

ゆい…咲ちゃんは、クラスの人気者で私は羨ましいと思った。私にもあんな明るさがあればな……

咲「ねね!百合って呼んでいい?」

百合「う……うん!いいよ!」

私は精一杯の笑顔で答えた。

女子1「雛詩さんって気取ってる感じしない?」

……ほら、また。私は気取ってないただ話すのが苦手なだけだ。でも周りからは1匹オオカミとか気取ってて近づき難いとか。

咲「あんな奴ら無視しな!」

咲ちゃんは、女子達を睨みながらそう言ってくれた。あぁ、この子は私に無いもの全部持ってるな。私は密かに嫉妬した……

百合「ありがとう!咲ちゃん!」

でも、この気持ちは隠そうせっかく出来た友達を失いたくない。その時ふと花壇に目が止まった。
あの花は確か【マリーゴールド】。

皮肉にも花言葉は【嫉妬】……私は思わず花壇から目をそらした。あのマリーゴールドは私の心の中の闇を写してる…そういった感覚に囚われたからだ。

まぁ、今日あった中で一つだけ言えること。
あの日約束した事は儚くも消え去った事。
こんな悲劇の再会…したく無かったな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

今さらやり直しは出来ません

mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。 落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。 そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

フッてくれてありがとう

nanahi
恋愛
「子どもができたんだ」 ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。 「誰の」 私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。 でも私は知っている。 大学生時代の元カノだ。 「じゃあ。元気で」 彼からは謝罪の一言さえなかった。 下を向き、私はひたすら涙を流した。 それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。 過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜

葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在 一緒にいるのに 言えない言葉 すれ違い、通り過ぎる二人の想いは いつか重なるのだろうか… 心に秘めた想いを いつか伝えてもいいのだろうか… 遠回りする幼馴染二人の恋の行方は? 幼い頃からいつも一緒にいた 幼馴染の朱里と瑛。 瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、 朱里を遠ざけようとする。 そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて… ・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・ 栗田 朱里(21歳)… 大学生 桐生 瑛(21歳)… 大学生 桐生ホールディングス 御曹司

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王妃は涙を流さない〜ただあなたを守りたかっただけでした〜

矢野りと
恋愛
理不尽な理由を掲げて大国に攻め入った母国は、数カ月後には敗戦国となった。 王政を廃するか、それとも王妃を人質として差し出すかと大国は選択を迫ってくる。 『…本当にすまない、ジュンリヤ』 『謝らないで、覚悟はできています』 敗戦後、王位を継いだばかりの夫には私を守るだけの力はなかった。 ――たった三年間の別れ…。 三年後に帰国した私を待っていたのは国王である夫の変わらない眼差し。……とその隣で微笑む側妃だった。 『王妃様、シャンナアンナと申します』 もう私の居場所はなくなっていた…。 ※設定はゆるいです。

処理中です...