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2章 少年期 1部シーバムの大森林編
5話 遺跡探索
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シーバムの大森林にてシーバム王国の遺跡を発見し、塔の書庫で大量の本を発見したタケル達はそれぞれ本を物色していた。
「ん?異世界勇者召喚・・・マジか。」
異世界から転生し、前世の記憶が有るタケルにとって非常に興味が有る内容であった。
「ふむ、なるほど。成功はしていないようだな、けど過去に異世界から来た事は有ったようだな、それで自分の国もって事か。」
本の内容は色々書いて有ったが、異世界からから勇者は召喚は出来なかったようだ。取り敢えずタケルはその本をアイテムボックスに仕舞いサビオに話掛けた。
「サビオさん、どうですか?まだ探しますか?」
「ほっほっほ。そうだの。確かめながらやっておったらいつまで経っても終わらないの、本棚毎持って行くとするかの。」
「・・・分かりましたよ、小屋に書庫を作ります。」
「ほっほっほ。タケル殿すまんの。」
「いえ、良いんですよ、じゃあ、俺もゴッソリ持って行くと行って後で分別しましょう。」
そう言ってタケルとサビオは本棚毎アイテムボックスに仕舞って行った、ついでに山積みの本も仕舞い、部屋を出ることにした。
「ここはこんなもんかな、アルミス行くよ。」
アルミスは座り込んで一冊の本を読み耽っていた。
「あっ、はい。タケル様、今行きます。キャッ!」
アルミスは慌てて躓いてしまい、必要無いとそこらに放った本に躓いて転んでしまった。
「アルミス大丈夫?」
タケルは転んでしまったアルミスに歩みより、手を差し伸べた。
「タケル様、ごめんなさい。」
アルミスはタケルの手を取り立ち上がると、また本に躓きタケルに抱きついた。
「あ、タケル様、度々すいません。」
「良いんだよ、アルミス。大丈夫かい?」
タケルがアルミスの目を見つめると、アルミスは顔を赤くし俯いた。アルミスが俯いた事でタケルの目に一冊の本が目に入った。不思議な事にその本は全言語理解が有るタケルでも読むことが出来ないタイトルの本だった、その本の丁装は黒い皮で覆われており、黒く光り輝く金属で装飾が施されていた、タケルは気になりその本を手に取って開いてみた、しかしその本は何故か開く事が出来なかった。タケルは気になりその本をアイテムボックスに仕舞った。
「あとでゆっくり調べてみよう・・・」
その後タケルはアルミスと共に部屋を後にした。
「お待たせしました、サビオさん。次に行きましょう。」
その後タケルは幾つか部屋を回り、多少の貴金属を回収すると、最初の塔にはもう反応が無くなったので最初のバルコニーに戻り反対側の塔に跳んだ。基本的に同じような作りで書庫も同じような場所に有った、ここも結界で保存されていたが、目ぼしい本は見当たらなかった。
こちらは貴金属も反応が無いので、塔を降りていき、本殿を探索する事にした。
「やはり家具や調度品は傷んでますね。」
「ほほ、そうだの。それでも1000年経ってるにしては痛みが少ない方だの。」
タケルとサビオは辺りを見渡した。塔と同じく宮殿の本殿も明かりの魔道具が生きていた、しかし内装はかなりボロボロであった、1000年という時と魔物が入り込み内部を荒らしたのであろう、所々大きな爪跡が有り、壁が抉られていたりした。塔と違いこちらは猫や子犬位の小さい魔物がチョロチョロと見え隠れしていた。
長い廊下の片側はガラスの無い窓が等間隔で並んでおり、宮殿を飲み込んだ木々の枝が時折中まで伸びていた。反対側は壁が続いており、たまには大きな扉があるが、大体崩れてしまっている。更に進むと途中廊下がT字状になっており、その先には大きな扉が有り殆ど痛みも無く残っていた。そして、その部屋の中に魔物の反応が有った。
「サビオさん、アルミス、あそこの大きい扉の部屋に幾つか魔物の反応が有ります、そしてその奥の部屋に貴金属の反応が有ります。どうしますか?」
「ほっほっほ。どうするも何もタケル殿はやる気なんだろうの?」
「私はタケル様の決定に従うまでです。」
タケルは反応が有った魔物と戦ってみたいと思っていた、その魔物の魔力を強く感じでおり、どんな魔物なのか興味が有ったのである。
「敵から強い魔力を感じるので予め魔法無効の障壁と幾つかバフを掛けておきましょう。」
タケルは部屋の中に入る前に自分を含め全員に魔法障壁と幾つかのバフを掛けた。
「大丈夫だと思うんですけどね、一応念の為。」
「ほっほっほ。そうだの、用心に越したことは無いの。」
サビオは髭を触りながら笑っており、アルミスは剣の柄を強く握り締めていた。
「正面に3匹並んで居ます、入る前に牽制の魔法を放ちますので、その後一斉に入りましょう。俺が真ん中、アルミスは右、サビオさんは左でお願いします。相性が悪かったら相手を変えます。それで良いですね。」
サビオとアルミスがコクリと頷いた。
「じゃあ、行きます。」
タケルは扉に手を掛けると、ゆっくりと音が出ないように少しだけ開けた、そして部屋の中にごく小さなライトの魔法を発生さた、扉の先でユラユラと揺れる光球、タケルは次の瞬間扉をドンと爪先で蹴った、すると中に居た3匹の魔物が一斉に扉の方に視線を向けた瞬間にごく小さな光球だったライトが部屋1面に強烈な光を放ち消えた。その瞬間にタケルが扉を素早く開け放ち、3人が一斉に部屋に入っていった。
3匹の魔物は先程の光で視界を奪われたのか、目を閉じて頭を振っている、その姿はとても異様な姿であった、体は全体的に赤黒く、顔が人の顔に似ており、耳も人のそれと同じようで、たてがみのような毛が周りを覆っている、そして尻尾が生えているがそこだけ質感が違いサソリの尻尾の様に先端に刺が有り大きくなっていた、地球でも怪物として知られるマンティコアであった。
タケルは雲斬丸を構えながらマンティコアに向かって跳び、同時にファイヤーバレットを複数出現させ、3匹に放ち真ん中にいるマンティコアに斬りかかった。ファイヤーバレットは3匹のマンティコアに当たったが何れも致命傷には至らなかった、そしてマンティコアはギリギリでタケルの攻撃をかわした。
「お、避けた!」
タケルの視界の端に捉えているアルミスが右のマンティコアに斬りかかり、傷を追わせて居るのが判る、左のサビオはタケルのファイヤーバレットで致命傷を追っていないと見るや、雷属性の魔法剣で斬りかかっていた。
(流石剛腕のサビオ)
「強いですね。行けますか?!」
タケルが声をあげると二人が答えた。
「ほっほっほ。そうだの、大丈夫かの。」
「問題有りません。」
どうやら二人とも問題無いようだ。
「よし、じゃあちとトレース使おう。」
その間にもタケルはマンティコアに剣撃を打ち込むが、マンティコアはタケルの剣撃をかわし、時にはサソリのような尻尾で受け止めた。
[トレース実行]
スキル
【魔法攻撃軽減】
【物理攻撃軽減】
【先読み】
【威圧】
【声真似】
【幻術】
【魔力光線】
【身体強化】
【毒霧】
魔法
【影魔法】
省略
「んん~。強い割にスキル微妙だな。まあ一応コピーしておくか。」
タケルがスキルを使用しながら打ち込んだ斬撃をマンティコアが尻尾で受け止めた瞬間、マンティコアの人に似た顔が笑ったように見えた、その時マンティコアは光線を尻尾の先端から放った。光線は部屋の壁を破壊し、大きな穴が空いた。マンティコアは相変わらず笑っているように見える。
「あ、大事な遺跡を壊しやがって!」
マンティコアは距離を取ると、再び光線を放って来た、タケルは避けようとせずにそのまま立っている、タケルに光線が当たると思われた瞬間、光線は魔法障壁によりかき消され、タケルには当たらなかった。マンティコアの表情が曇ったように見えた。
タケルは雲斬丸に炎の属性を付与し、炎を纏わせた、その炎は白く通常よりも温度が高い事が判る。タケルが炎を纏った雲斬丸でマンティコアを斬り付けた、その剣筋は先程よりも早く、マンティコアは避ける事が出来ずに頭が床に落ち転がった。切断された首からは血が吹き出し転がった頭に降り注いでいた。
同じ頃、サビオは雷属性の魔法剣で斬りかかり、マンティコアが避けた所にサンダーランスを撃ち込み、マンティコアを床に縫い付け、サンダーランスがそのままマンティコアを電撃で焼き殺した。
アルミスは《白雷剣 グラディオ》で斬り付け、電撃で動きを封じて剣術スキル《烈覇斬》で大量の斬撃を飛ばしマンティコアは避ける事が出来ず、大量の斬撃に斬り裂かれ絶命した。
「ふう、室内だと戦い方が随分変わるね。」
タケルはかいてもいない汗を腕で拭う素振りをしていた。
「ほっほっほ。そうだの、ワシは久し振り過ぎて疲れたかの。」
息1つ切らしていないが、サビオは疲れたと言い髭を触りながら笑っていた。
「タケル様に比べれば赤子も同然ですね。」
アルミスは剣を鞘に納めながらそう言った。
タケルも雲斬丸をアイテムボックスに仕舞い、タケルの元に集まって来たサビオとアルミスに声を掛けた。
「お疲れ様でした。奥の部屋に行ってどんなお宝か拝みに行きますか。」
タケルはそう行ってマンティコアを回収し、部屋の奥に有る扉の前に立つと、また結界が施されていたので解除した。ドアに手を掛けゆっくりと扉を開く、そこは宝物庫のようで様々な品物が置かれていた。
「おお。凄いな。」
タケルはそこら辺の品を適当に手に取り鑑定を掛けた。
「ん?コレが王家の宝物庫の品?」
「ほっほっほ。どうやらここは見せ掛けの宝物庫のようだの。」
「え?それってどういう事?サビオ爺」
サビオも棚に置いてある品を手に取り眺めては無造作に置いてを繰り返しながら、説明を始めた。
「ここに有る品々は戦乱の際に持ち去られても良いようにここに置いて有るんだの、きっと本当の財宝はもっと判りにくい場所か、奥まった所だろうの。」
アルミスはイマイチ理解が出来て居ないようで、顎に手を当て首を傾げていた。
「どうしてそんな事が判るの?サビオ爺」
「ほっほっほ。ここに有るのは良くて準国宝位の物ばかりだからの。安物ではないが国の宝にしては大した事無い物ばかりだからの。」
「なるほどね。じゃあ、本物の宝物庫は何処に有るの?」
サビオの説明に納得したアルミスがサビオに本物の場所を聞くと、タケルが答えた。
「多分地下だね。他に大きい反応が有るのは地下だけだからね、あとは細々と有る位かな、本や文献も同じ感じかな。」
「ほほ、そうかの、では地下に向かうとふるかの。それでここの品はどうするのかの?」
サビオがタケルに聞くと、タケルは少しドヤ顔をして答えた。
「勿論全部持っていきます。これらの品もお宝には違いないですからね。」
「そうですよね、タケル様。放置したらもったいないですもんね。」
アルミスはそう言いながら、剣を幾つかポーチに仕舞っていた。
(武器ばかり・・・)
「じゃあ、空の箱が幾つか有るから、それに纏めちゃいましょう、入らないのは袋を作るのでそれに入れちゃって下さい。」
タケルはそう言うと、メイクアイテムで袋を作り、サビオとアルミスに手渡した。
3人はタケルの作った袋にドンドン入れ、タケルがその袋を回収するというのを繰り返し、一時間程で全ての財宝をタケルのアイテムボックスに仕舞った。
「宝物庫も作らないとな・・・」
タケルは書庫に続き宝物庫を作らなくてはいけないと思い、少し溜め息をはいた。
「さて、全部回収したし、地下に向かいますか。」
「ほっほっほ。そうだの。」
「判りました、タケル様」
タケル達は宝物庫を後にしマンティコアの居た部屋を通り廊下へと戻って来た。
「えっと、地下への通路はこっちですね。」
タケルは二人を先導し、 地下の宝物庫へと向かう為廊下を進んで居ると、一際大きく豪華な作りの扉が見えた。マップで確認すると、その作りから謁見の間と思われた。
「あの扉の向こうは謁見の間っぽいんですけど、ちょっと王さまの椅子が残ってるか見に行きませんか?」
「ほっほっほ。タケル殿が見たいなら構わんでの。」
タケル達は少し寄り道をして謁見の間を見学する事にした。
謁見の間と思われる場所の扉は近くで見ると更に大きく見えたが、何かの金属で出来たその扉の下の方には、大きな穴が空いており、魔物に突破されたかのように外から内側へ向かって破壊されていた。
タケル達はそのまま穴を通り部屋へと入るとそこは広い空間であった、装飾品等は既に朽ちており、辛うじて痕跡を確認できる、扉から玉座に向かって左右に柱が並んでおり、玉座の手前から階段になっている。
タケルは階段を上がり、未だに残っている玉座の前に立ち玉座を見下ろしていた、何かの金属で出来たその玉座は椅子の形はしているが、クッションが有ったであろう場所はぽっかりと穴が無くなっている。
タケルはロックウールハウンドのウールを取りだし、椅子に少し置き、タケルはおもむろに玉座に腰を落とし座ってみたのであった。
「ん?異世界勇者召喚・・・マジか。」
異世界から転生し、前世の記憶が有るタケルにとって非常に興味が有る内容であった。
「ふむ、なるほど。成功はしていないようだな、けど過去に異世界から来た事は有ったようだな、それで自分の国もって事か。」
本の内容は色々書いて有ったが、異世界からから勇者は召喚は出来なかったようだ。取り敢えずタケルはその本をアイテムボックスに仕舞いサビオに話掛けた。
「サビオさん、どうですか?まだ探しますか?」
「ほっほっほ。そうだの。確かめながらやっておったらいつまで経っても終わらないの、本棚毎持って行くとするかの。」
「・・・分かりましたよ、小屋に書庫を作ります。」
「ほっほっほ。タケル殿すまんの。」
「いえ、良いんですよ、じゃあ、俺もゴッソリ持って行くと行って後で分別しましょう。」
そう言ってタケルとサビオは本棚毎アイテムボックスに仕舞って行った、ついでに山積みの本も仕舞い、部屋を出ることにした。
「ここはこんなもんかな、アルミス行くよ。」
アルミスは座り込んで一冊の本を読み耽っていた。
「あっ、はい。タケル様、今行きます。キャッ!」
アルミスは慌てて躓いてしまい、必要無いとそこらに放った本に躓いて転んでしまった。
「アルミス大丈夫?」
タケルは転んでしまったアルミスに歩みより、手を差し伸べた。
「タケル様、ごめんなさい。」
アルミスはタケルの手を取り立ち上がると、また本に躓きタケルに抱きついた。
「あ、タケル様、度々すいません。」
「良いんだよ、アルミス。大丈夫かい?」
タケルがアルミスの目を見つめると、アルミスは顔を赤くし俯いた。アルミスが俯いた事でタケルの目に一冊の本が目に入った。不思議な事にその本は全言語理解が有るタケルでも読むことが出来ないタイトルの本だった、その本の丁装は黒い皮で覆われており、黒く光り輝く金属で装飾が施されていた、タケルは気になりその本を手に取って開いてみた、しかしその本は何故か開く事が出来なかった。タケルは気になりその本をアイテムボックスに仕舞った。
「あとでゆっくり調べてみよう・・・」
その後タケルはアルミスと共に部屋を後にした。
「お待たせしました、サビオさん。次に行きましょう。」
その後タケルは幾つか部屋を回り、多少の貴金属を回収すると、最初の塔にはもう反応が無くなったので最初のバルコニーに戻り反対側の塔に跳んだ。基本的に同じような作りで書庫も同じような場所に有った、ここも結界で保存されていたが、目ぼしい本は見当たらなかった。
こちらは貴金属も反応が無いので、塔を降りていき、本殿を探索する事にした。
「やはり家具や調度品は傷んでますね。」
「ほほ、そうだの。それでも1000年経ってるにしては痛みが少ない方だの。」
タケルとサビオは辺りを見渡した。塔と同じく宮殿の本殿も明かりの魔道具が生きていた、しかし内装はかなりボロボロであった、1000年という時と魔物が入り込み内部を荒らしたのであろう、所々大きな爪跡が有り、壁が抉られていたりした。塔と違いこちらは猫や子犬位の小さい魔物がチョロチョロと見え隠れしていた。
長い廊下の片側はガラスの無い窓が等間隔で並んでおり、宮殿を飲み込んだ木々の枝が時折中まで伸びていた。反対側は壁が続いており、たまには大きな扉があるが、大体崩れてしまっている。更に進むと途中廊下がT字状になっており、その先には大きな扉が有り殆ど痛みも無く残っていた。そして、その部屋の中に魔物の反応が有った。
「サビオさん、アルミス、あそこの大きい扉の部屋に幾つか魔物の反応が有ります、そしてその奥の部屋に貴金属の反応が有ります。どうしますか?」
「ほっほっほ。どうするも何もタケル殿はやる気なんだろうの?」
「私はタケル様の決定に従うまでです。」
タケルは反応が有った魔物と戦ってみたいと思っていた、その魔物の魔力を強く感じでおり、どんな魔物なのか興味が有ったのである。
「敵から強い魔力を感じるので予め魔法無効の障壁と幾つかバフを掛けておきましょう。」
タケルは部屋の中に入る前に自分を含め全員に魔法障壁と幾つかのバフを掛けた。
「大丈夫だと思うんですけどね、一応念の為。」
「ほっほっほ。そうだの、用心に越したことは無いの。」
サビオは髭を触りながら笑っており、アルミスは剣の柄を強く握り締めていた。
「正面に3匹並んで居ます、入る前に牽制の魔法を放ちますので、その後一斉に入りましょう。俺が真ん中、アルミスは右、サビオさんは左でお願いします。相性が悪かったら相手を変えます。それで良いですね。」
サビオとアルミスがコクリと頷いた。
「じゃあ、行きます。」
タケルは扉に手を掛けると、ゆっくりと音が出ないように少しだけ開けた、そして部屋の中にごく小さなライトの魔法を発生さた、扉の先でユラユラと揺れる光球、タケルは次の瞬間扉をドンと爪先で蹴った、すると中に居た3匹の魔物が一斉に扉の方に視線を向けた瞬間にごく小さな光球だったライトが部屋1面に強烈な光を放ち消えた。その瞬間にタケルが扉を素早く開け放ち、3人が一斉に部屋に入っていった。
3匹の魔物は先程の光で視界を奪われたのか、目を閉じて頭を振っている、その姿はとても異様な姿であった、体は全体的に赤黒く、顔が人の顔に似ており、耳も人のそれと同じようで、たてがみのような毛が周りを覆っている、そして尻尾が生えているがそこだけ質感が違いサソリの尻尾の様に先端に刺が有り大きくなっていた、地球でも怪物として知られるマンティコアであった。
タケルは雲斬丸を構えながらマンティコアに向かって跳び、同時にファイヤーバレットを複数出現させ、3匹に放ち真ん中にいるマンティコアに斬りかかった。ファイヤーバレットは3匹のマンティコアに当たったが何れも致命傷には至らなかった、そしてマンティコアはギリギリでタケルの攻撃をかわした。
「お、避けた!」
タケルの視界の端に捉えているアルミスが右のマンティコアに斬りかかり、傷を追わせて居るのが判る、左のサビオはタケルのファイヤーバレットで致命傷を追っていないと見るや、雷属性の魔法剣で斬りかかっていた。
(流石剛腕のサビオ)
「強いですね。行けますか?!」
タケルが声をあげると二人が答えた。
「ほっほっほ。そうだの、大丈夫かの。」
「問題有りません。」
どうやら二人とも問題無いようだ。
「よし、じゃあちとトレース使おう。」
その間にもタケルはマンティコアに剣撃を打ち込むが、マンティコアはタケルの剣撃をかわし、時にはサソリのような尻尾で受け止めた。
[トレース実行]
スキル
【魔法攻撃軽減】
【物理攻撃軽減】
【先読み】
【威圧】
【声真似】
【幻術】
【魔力光線】
【身体強化】
【毒霧】
魔法
【影魔法】
省略
「んん~。強い割にスキル微妙だな。まあ一応コピーしておくか。」
タケルがスキルを使用しながら打ち込んだ斬撃をマンティコアが尻尾で受け止めた瞬間、マンティコアの人に似た顔が笑ったように見えた、その時マンティコアは光線を尻尾の先端から放った。光線は部屋の壁を破壊し、大きな穴が空いた。マンティコアは相変わらず笑っているように見える。
「あ、大事な遺跡を壊しやがって!」
マンティコアは距離を取ると、再び光線を放って来た、タケルは避けようとせずにそのまま立っている、タケルに光線が当たると思われた瞬間、光線は魔法障壁によりかき消され、タケルには当たらなかった。マンティコアの表情が曇ったように見えた。
タケルは雲斬丸に炎の属性を付与し、炎を纏わせた、その炎は白く通常よりも温度が高い事が判る。タケルが炎を纏った雲斬丸でマンティコアを斬り付けた、その剣筋は先程よりも早く、マンティコアは避ける事が出来ずに頭が床に落ち転がった。切断された首からは血が吹き出し転がった頭に降り注いでいた。
同じ頃、サビオは雷属性の魔法剣で斬りかかり、マンティコアが避けた所にサンダーランスを撃ち込み、マンティコアを床に縫い付け、サンダーランスがそのままマンティコアを電撃で焼き殺した。
アルミスは《白雷剣 グラディオ》で斬り付け、電撃で動きを封じて剣術スキル《烈覇斬》で大量の斬撃を飛ばしマンティコアは避ける事が出来ず、大量の斬撃に斬り裂かれ絶命した。
「ふう、室内だと戦い方が随分変わるね。」
タケルはかいてもいない汗を腕で拭う素振りをしていた。
「ほっほっほ。そうだの、ワシは久し振り過ぎて疲れたかの。」
息1つ切らしていないが、サビオは疲れたと言い髭を触りながら笑っていた。
「タケル様に比べれば赤子も同然ですね。」
アルミスは剣を鞘に納めながらそう言った。
タケルも雲斬丸をアイテムボックスに仕舞い、タケルの元に集まって来たサビオとアルミスに声を掛けた。
「お疲れ様でした。奥の部屋に行ってどんなお宝か拝みに行きますか。」
タケルはそう行ってマンティコアを回収し、部屋の奥に有る扉の前に立つと、また結界が施されていたので解除した。ドアに手を掛けゆっくりと扉を開く、そこは宝物庫のようで様々な品物が置かれていた。
「おお。凄いな。」
タケルはそこら辺の品を適当に手に取り鑑定を掛けた。
「ん?コレが王家の宝物庫の品?」
「ほっほっほ。どうやらここは見せ掛けの宝物庫のようだの。」
「え?それってどういう事?サビオ爺」
サビオも棚に置いてある品を手に取り眺めては無造作に置いてを繰り返しながら、説明を始めた。
「ここに有る品々は戦乱の際に持ち去られても良いようにここに置いて有るんだの、きっと本当の財宝はもっと判りにくい場所か、奥まった所だろうの。」
アルミスはイマイチ理解が出来て居ないようで、顎に手を当て首を傾げていた。
「どうしてそんな事が判るの?サビオ爺」
「ほっほっほ。ここに有るのは良くて準国宝位の物ばかりだからの。安物ではないが国の宝にしては大した事無い物ばかりだからの。」
「なるほどね。じゃあ、本物の宝物庫は何処に有るの?」
サビオの説明に納得したアルミスがサビオに本物の場所を聞くと、タケルが答えた。
「多分地下だね。他に大きい反応が有るのは地下だけだからね、あとは細々と有る位かな、本や文献も同じ感じかな。」
「ほほ、そうかの、では地下に向かうとふるかの。それでここの品はどうするのかの?」
サビオがタケルに聞くと、タケルは少しドヤ顔をして答えた。
「勿論全部持っていきます。これらの品もお宝には違いないですからね。」
「そうですよね、タケル様。放置したらもったいないですもんね。」
アルミスはそう言いながら、剣を幾つかポーチに仕舞っていた。
(武器ばかり・・・)
「じゃあ、空の箱が幾つか有るから、それに纏めちゃいましょう、入らないのは袋を作るのでそれに入れちゃって下さい。」
タケルはそう言うと、メイクアイテムで袋を作り、サビオとアルミスに手渡した。
3人はタケルの作った袋にドンドン入れ、タケルがその袋を回収するというのを繰り返し、一時間程で全ての財宝をタケルのアイテムボックスに仕舞った。
「宝物庫も作らないとな・・・」
タケルは書庫に続き宝物庫を作らなくてはいけないと思い、少し溜め息をはいた。
「さて、全部回収したし、地下に向かいますか。」
「ほっほっほ。そうだの。」
「判りました、タケル様」
タケル達は宝物庫を後にしマンティコアの居た部屋を通り廊下へと戻って来た。
「えっと、地下への通路はこっちですね。」
タケルは二人を先導し、 地下の宝物庫へと向かう為廊下を進んで居ると、一際大きく豪華な作りの扉が見えた。マップで確認すると、その作りから謁見の間と思われた。
「あの扉の向こうは謁見の間っぽいんですけど、ちょっと王さまの椅子が残ってるか見に行きませんか?」
「ほっほっほ。タケル殿が見たいなら構わんでの。」
タケル達は少し寄り道をして謁見の間を見学する事にした。
謁見の間と思われる場所の扉は近くで見ると更に大きく見えたが、何かの金属で出来たその扉の下の方には、大きな穴が空いており、魔物に突破されたかのように外から内側へ向かって破壊されていた。
タケル達はそのまま穴を通り部屋へと入るとそこは広い空間であった、装飾品等は既に朽ちており、辛うじて痕跡を確認できる、扉から玉座に向かって左右に柱が並んでおり、玉座の手前から階段になっている。
タケルは階段を上がり、未だに残っている玉座の前に立ち玉座を見下ろしていた、何かの金属で出来たその玉座は椅子の形はしているが、クッションが有ったであろう場所はぽっかりと穴が無くなっている。
タケルはロックウールハウンドのウールを取りだし、椅子に少し置き、タケルはおもむろに玉座に腰を落とし座ってみたのであった。
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