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2章3部フィナールの街編
65話 結婚当日
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娼婦の建物を建て替えられ、癒しの館女神の抱擁として新たに開店する事になり、開店初日には噂が噂を呼び行列が出来る程であった。その後、奴隷娼館の奴隷娼婦も女神の抱擁で働く事になり、フィナールの街から娼婦は居なくなった。そしてそれからおよそ1年後、タケルはフィナール伯爵やギルドマスターのビエント、パーティーメンバーらに結婚式を盛大に挙げようと説得されたが、結局はアルミスの一言によって盛大に式を挙げるとタケルは決めたのであった。
「おお、タケル似合ってるじゃないか。」
結婚式当日、タケルはフィナール伯爵の屋敷で結婚式の衣裳に着替えていた。そこへアルセリオが来てタケルの姿を見るとそう声を掛けて来た。
「何だかヒラヒラしすぎじゃないか?」
タケルはそう言って腕を広げ、衣装を見ていた。
「そうか?まだ地味な方だと思うぞ。俺の叔父さんが結婚した時はもっと派手で頭にも飾り付けてたぞ。」
「いや、シーバム王国の例は参考にならないでしょ。」
「確かにそうだな。国も違えば衣装も変わるだろうしな。」
(あ、いや千年前のファッションって言いたかったんだけど・・・まあ良いか。)
「でも何だか不思議だな。」
タケルは窓から外を眺め、そう言うと静かに目を閉じた。
「ん?何がだ?」
アルセリオもタケルの隣に並び外を眺めながらそう尋ねた。
「俺がこの世界に来た理由は話したよね。」
タケルはゆっくりと目を開くと、遠くを見つめながらそう言って話を始めた。
「俺は女神様に好きにして良いって言われてこの世界に来て、本当に好きにやって来たんだよ。それで仲間も増えて、大きな屋敷まで手に入れて、財産だってそこそこある。それに結婚まで出来て、その結婚を街中の人が祝ってくれるって言うんだ。好きにやって来た俺をだよ。何か不思議だなと思って。」
タケルがそう言うと、アルセリオが窓の外を見ながら話し始めた。
「そうだな、タケルは好き勝手にやって来たよな。好き勝手に俺達を復活させて、強くして、父上まで復活してくれて。好き勝手に村人を助けて、好き勝手に村を住みやすくして。その次はこの街だ。この街でも随分と好き勝手にやって来たよな。」
アルセリオはそう言うと、タケルの肩を叩きそのまま再び話し始めた。
「でもな、その好き勝手のお陰で大勢の人が救われてるんだ。救われた側からしたら恩人の結婚を祝いたいと思うのは当然だろ?それに・・・タケル・・・いや、何でもない。とにかく、今日はみんなからの祝福を存分に受け止めてくれ。」
アルセリオは途中何かを言いかけたが、言うのを止めて話を逸らした。
「分かってるよ。盛大に結婚式を挙げるって決めた時点でそのつもりだって。それよりも、さっき何か言いかけたけど何?」
「だから何でも無いって。つうか忘れたよ。」
その時、二人が居る部屋の扉がノックされた。返事をする前に扉が開いてフィナール伯爵が声を掛けて来た。
「おお、似合ってるよ、タケル君。」
「有り難うございます、伯爵。」
「タケル君、君に会いたいという人を連れて来たんだ。」
「エルフとドワーフの二人ですよね。」
タケルはマップで二人が来てるのは既に確認していたのである。今日は新郎として1日中行動が制限されていたので、飛んで会いに行きたいのを我慢していたのである。
「もう、驚かせようと思ったのに。」
「流石ボンだ、いつから気付いていたんだ?」
残念そうにそう言いながら、扉の影に隠れていたシーリバが部屋に入って来ると、続けてフェレーロが満面の笑みを浮かべながら部屋へ入って来た。
「シーリバさん、フェレーロさん。」
タケルは二人の名前を言うと二人の元に駆け寄って二人と熱いハグをした。シーリバとフェレーロもタケルとの再会に喜び、ハグをする腕に力が入っていた。
「タケルさん、随分と良い男になったわね。」
ハグを終えると、シーリバがそう言いながらタケルの事を頭の先から足元まで見て最後に顔をジックリと見ていた。
「ボン。いや、もうボンじゃ無いか。タケル、随分と成長したな。」
フェレーロはドワーフらしく立派に蓄えた髭を触りながらタケルの事を見上げていた。タケルは更に成長して身長は180センチ近くになっていたのである。
「確かにちょっと伸びましたね。それより、ここへはどうやって来たんですか?」
タケルが結婚式の日取りを決めてから今日までは30日程で、二人の住む里に知らせてからこっちに向かうと間に合わない筈であったからだ。
「妹のソレーラがサビオさんと里に来たのよ。それで連れてきて貰ったの。」
「ワシはテオドル師匠がミレイアっていうお嬢ちゃんと来てな、連れて来て貰ったんだ。」
サビオとミレイアも他人を連れての転移が出来るようになっており、転移同行者が行った事が有る場所に飛べる魔法を使い二人を連れて来てくれたのであった。
「そっか。あの魔法使ったのか。」
「おお、あのお嬢ちゃんは凄いな。昔のタケルよりも凄いんじゃないか?」
「そうですね。あの子は天才だと思います。」
タケル達がそう話しをしていると、アルセリオがタケルの脇を突っついて来た。
「なあ、この人達が女神様の小屋で一緒に暮らしてた人達か?」
「そうだよ、よく分かったね。」
「まあ、ミレイアとサビオさんが迎えに行くってのは知ってたからな。」
「そっか。こちらのエルフの女性がシーリバさん、ソレーラさんのお姉さんだよ。そしてこちらがドワーフのフェレーロさん、俺の鍛冶の師匠で、テオドルさんの弟子なんだ。シーリバさん、フェレーロさん、アルセリオです、こう見えてもシーバム王国の王子なんです。」
「こう見えてもは余計だろ!」
「アハハ、ゴメンゴメン。」
アルセリオはシーリバとフェレーロと握手を交わしながらそう言って笑いながらタケルに文句を言っていた。
「あら、二人は仲が良いのね。昔は妙に大人びた子供って感じだったのに今は普通の少年のようになって、アルセリオ君のお陰かな?ねえ、フェレーロ。」
「おう、そうだな。マジメ過ぎるって感じだったが、少し明るくなった気がするな。」
「そうなんですか?今でも妙に大人びた所は変わって無いですよ。ねえ、伯爵。」
「シーバム王国の王子って、どういう事だ?」
「あっ・・・」
タケルはフィナール伯爵にアルセリオ達の事を話ていなかったがうっかりバラしてしまい、フィナール伯爵はどういう事なのかと聞いてきた。
「話せば長くなるんですが・・・」
「まあ、タケル君の仲間だし何か変わった所が合ってもおかしくは無いと思っていたけど、シーバム王国の王子とは驚いたよ。確か千年前に滅んでしまった筈だけどまだ残っていたのかい?」
フィナール伯爵はシーバム王国がまだ残っていると思い、そうタケルに聞いてきた。
「あ、いや。そうじゃ無くて・・・式が終わったら詳しく話しますよ。」
「分かったよ。それはそうと、アルセリオく・・・殿下。これ迄の非礼をお詫び致します。」
フィナール伯爵はそう言うと、アルセリオの前に跪き頭を下げた。フィナール伯爵は特にアルセリオには何もしてないが、タケルのパーティーメンバーとして普通に接していたのだが、フィナール伯爵からすればそれ自体が非礼に当たると思い頭を下げたのである。
「止めて下さい伯爵。俺は確かにシーバム王国の王子でしたが今はその国も無く現在は一介の冒険者ですよ、今まで通り接して下さい。」
アルセリオはそう言ってフィナール伯爵を立たせると、逆に今まで通りにしてくれと頭を下げた。
「そ、そうですか。それが希望ならそのように致しましょう。」
その時、開いたままの扉をバルタサールがノックをして部屋に入って来た。
「お取り込み中失礼致します。旦那様、馬車の用意が出来ました。」
「おお、そうか。タケル君、それではそろそろ行こうか。」
「じゃあ、フェレーロさん、シーリバさん。俺は先に出ますね。アル、行こうか。」
タケルはフェレーロ達に先に出る事を伝え部屋を出ると、新郎側の介添人としてアルセリオと共にフィナール伯爵の馬車に乗って出発した。
「タケル君、最後に確認だがこのまま教会に行って女神像に結婚の誓いを立て、その後学校の校庭に特設された祭壇で新婦を待ち、その後新婦が来たら式を挙げ終わり次第パレードをして、パレードが終わったらまた校庭で宴をする。これで良いね?」
フィナール伯爵が馬車の中でこの後の予定を最終確認をしてきた。通常であれば教会で式を挙げて終わりだが、参列者と結婚を祝いたいという者が多い為に学校の校庭に臨時の祭壇を設けそこで参列者に見守られながら式を挙げる事になった。その後街を馬車で廻ってお披露目パレードをするのだが、これは式に参加出来ない者の為にフィナール伯爵の提案で行われる事になった。そしてまた校庭に戻って宴会が行われる事になったのだが、なんとまるまる2日間宴が行われるのだ。何度か客を入れ替えてぶっ通しで宴会を行うらしく、これはフィナール伯爵が結婚した時よりも1日長い宴会であった。
「ええ、大丈夫です。」
タケルはフィナール伯爵の言葉にそう一言だけ返事をすると黙り込んでしまった。どうやら流石のタケルも緊張してきたようで、しきりに顎の辺りを触り落ち着かない様子であった。
「どうしたんだよタケル。いつものタケルらしくないじゃないか。」
「いや、だってこれから結婚するんだよ?緊張するって。」
「へえ、意外だな。タケルも緊張するんだな。」
「そりゃ俺だって緊張くらいするさ。人の事を何だと思ってるんだよ!」
「そりゃあ変人に決まってるじゃないか。」
「変人って・・・酷いな。」
「だって自分で商売始めれば大商人になれるのに、全部他人にやらせちゃうような奴が変人じゃ無かったら何になるんだよ。」
「うっ・・・確かにそうだけどさ~・・・」
タケルはアルセリオが言った事に反論出来ずにただ口を尖らせる事しか出来なかった。
「はっはっはっ。変人か、成る程確かにな。」
二人の会話を聞いていたフィナール伯爵は目尻を下げて大きな声で笑ってそう言ってきた。
「伯爵まで・・・酷いですよ。」
「ははは。すまんなタケル君、しかしアルセリオ君のお陰で緊張が解けたようだね。」
「あ、そう言えば確かに。」
タケルはフィナール伯爵にそう言われ先程まで止まらなかった手汗が引いている事に気付き、掌を確認して握ったり開いたりしていた。
「アル・・・有り難うな。」
「え?俺は事実を言っただけだけどな。」
「アル~・・・」
「あっはっはっはっ!」
再び二人のやり取りを見てフィナール伯爵は笑っていた。その後馬車は教会に着くまでその状況が続き、フィナール伯爵の笑い声が止まることは無かった。
「ではタケル君、女神像に結婚の誓いを立ててくれるかい。私は立会人として脇で見ているからね、アルセリオ君は介添人として後ろに控えていてくるれるかい?」
「判りました。」
タケルは女神像の前で片膝を付いて跪くと、目を瞑り頭を下げた。
(そう言えば教会に来たのは初めてだな。女神像も本物に似てるし面白いな。)
タケルが誓いを立てる前にそんな事を考えていると、辺りに感じた事が有る気配が漂って来た。いや、正確にはその場全体がその気配に満ちていた。そしてタケルはすぐにまたあの場所に来たのだと気付いた。そう、女神の神域である。
「ここは・・・」
タケルは感じた事が有る感覚に目を開けて顔を上げた。
「お久しぶりですね、タケルさん。」
顔を上げた先に女神が立っており、優しい笑顔でそうタケルに話し掛けてきた。
「シーバムの森以来ですね。あれから随分と色々な事をされてましたね、全て見ていましたよ。」
「ええ、そうですね。言われた通り好きにさせて貰ってます。」
「うふふ。そうですね、でも私の期待以上の様々な事をされていて毎回驚かされましたよ。」
「女神であるフレイア様でも驚くような事をしましたかね?」
タケルが不思議そうに女神にそう尋ねると、女神は更に笑ってタケルの問に答え始めた。
「ええ。仲間だけでなく街の人間を強くしたり、様々な物を開発しては他人に権利を渡したり、庶民でも通える学校を作ったり、街の娼婦を救ったりと様々な事をしましたよね。そのどれもが独創的な発想で驚きましたよ。」
「俺の世界では普通に有る物を作っただけですよ。ただ思わぬ効果が表れたりして予想以上の物になったりしましたが。」
「うふふ。そうなんですね。それはきっと最高神様の世界の人間が作る事で特別な効果が表れたのでしょうね。」
「はあ、そうなんですか・・・」
タケルは女神の言葉に何となく釈然としない気持ちを抱いていたが、そういうもんだと思い納得する事にした。
「立ち話もなんですからお茶でも飲みながらお話しましょう。」
女神はそう言うと、いつの間にか現れたテーブルを指し示してタケルに席につくように促した。
「タケルさん。最近ステータスを確認しましたか?」
タケルが席に付くと女神が紅茶を淹れながらタケルに聞いてきた。
「最近はステータスは開かないようにしてましたね。レベルもかなり上がったし、少し位上がった所で大して変わらないので魔法やスキルを使う時も殆ど確認はしてませんでしたね。」
「そうですか。ではちょっと確認してみて下さい。」
女神はカップに紅茶を注ぐとタケルの前に差し出しながらステータスを確認するように言ってきた。
「はあ、判りました。」
タケルは差し出されたカップを手に取り、紅茶を飲みながらステータスを確認してみた。
(ん?なんだこれ。)
タケルはステータスを確認してみてその変化に驚いていた。
【名前】タケル・サワムラ
【年齢】15歳
【性別】男
【種族】亜神LV1
【パラメーター】
状態「良好」
HP **********
MP **********
ATK **********
DEF **********
STR *********
DEX *********
VIT *********
INT ********
AGT *********
MND ********
LUK ****
【スキル】
剣術 LV****
格闘術 LV***
気配察知 LV****
魔力察知LV****
探知/索敵 LV****
魔力操作LV****
アイテムボックス (無限)
アズール全言語理解
etc・・・
【魔法】
全属性適性(内容省略)
オリジナル魔法(内容省略)
【ユニークスキル】
トレース(神級鑑定内包)
超聴覚
魔法付与
その他省略
【称号】
転生者(神への修行者)
調整者(異世界神の使徒)
異世界神の加護
水の大精霊の加護
精霊王の加護
ドラゴンの主
フェンリルの主
クレーターエイプキングの主
魔物を統べる者
救済者
大商人
その他省略
「何だか数字が見られなくなってますね・・・ん?亜神・・・?」
「気付きましたか?」
タケルがステータスに驚いていると、女神がそう言って一口紅茶を飲んでカップを置き微笑み掛けた。
「え、ええ。あの、種族が亜神ってなってるんですが、俺はもう人じゃ無いんですか?」
「タケルさん。最初にお会いした時に説明しましたが、貴方は神に成るために修行をしてもらいますと言ったのを覚えてますか?」
「ええ、覚えてますが・・・今までずっと忘れてましたね。」
「うふふ。それはここから戻るとその記憶だけ忘れるようになってるんです。ここへ戻って来た時だけ思い出すようにしてるんです。」
「そうなんですか、でも何で・・・」
タケルは何故そわな事をわざわざするのか不思議に思い女神に尋ねた。
「もし、神に成る為という目標が有ったらその為に行動しますよね、しかしそれでは魂の格は上がらないのです。自由に生きて貰い、その上で人々を助ける事で魂の格が上がるのです。そしてタケルさん、貴方は予想以上の早さで魂の格を上げ続けました。そして今回成人した事により、ハイヒューマンから亜神へと進化を果たしたのです。」
「じゃあ、亜神っていうのはもしかして・・・」
「ええ、肉体を持った神の卵といった所ですかね。」
「神の卵・・・・」
タケルはあまりの事に驚いてフリーズしそうになったが、どうにか踏み留まり一言そう呟いた。
「うふふ。安心して下さいね。亜神となっても今まで通り生活は出来ますからね。ステータスも偽装しておくのでバレる事も無いでしょう。さ、そろそろ戻りましょうか。また後でお会いしましょうね。」
女神がそう言うと、タケルは女神像の前で誓いを立てている状態に戻っていた。
「ハッ!・・・何か大事な事を聞いたような・・・」
タケルは女神と会った事は覚えていたが、亜神となった事は覚えておらず、改めて普通に結婚の誓いを立てて特設会場へ向かうために教会を後にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
65話で終わらせる事が出来ませんでした。
それと更新まで間が空いてしまい申し訳ありません。なかなか書く時間を確保出来ずに更新出来ませんでした。
それでは今後も宜しくお願い致します。
「おお、タケル似合ってるじゃないか。」
結婚式当日、タケルはフィナール伯爵の屋敷で結婚式の衣裳に着替えていた。そこへアルセリオが来てタケルの姿を見るとそう声を掛けて来た。
「何だかヒラヒラしすぎじゃないか?」
タケルはそう言って腕を広げ、衣装を見ていた。
「そうか?まだ地味な方だと思うぞ。俺の叔父さんが結婚した時はもっと派手で頭にも飾り付けてたぞ。」
「いや、シーバム王国の例は参考にならないでしょ。」
「確かにそうだな。国も違えば衣装も変わるだろうしな。」
(あ、いや千年前のファッションって言いたかったんだけど・・・まあ良いか。)
「でも何だか不思議だな。」
タケルは窓から外を眺め、そう言うと静かに目を閉じた。
「ん?何がだ?」
アルセリオもタケルの隣に並び外を眺めながらそう尋ねた。
「俺がこの世界に来た理由は話したよね。」
タケルはゆっくりと目を開くと、遠くを見つめながらそう言って話を始めた。
「俺は女神様に好きにして良いって言われてこの世界に来て、本当に好きにやって来たんだよ。それで仲間も増えて、大きな屋敷まで手に入れて、財産だってそこそこある。それに結婚まで出来て、その結婚を街中の人が祝ってくれるって言うんだ。好きにやって来た俺をだよ。何か不思議だなと思って。」
タケルがそう言うと、アルセリオが窓の外を見ながら話し始めた。
「そうだな、タケルは好き勝手にやって来たよな。好き勝手に俺達を復活させて、強くして、父上まで復活してくれて。好き勝手に村人を助けて、好き勝手に村を住みやすくして。その次はこの街だ。この街でも随分と好き勝手にやって来たよな。」
アルセリオはそう言うと、タケルの肩を叩きそのまま再び話し始めた。
「でもな、その好き勝手のお陰で大勢の人が救われてるんだ。救われた側からしたら恩人の結婚を祝いたいと思うのは当然だろ?それに・・・タケル・・・いや、何でもない。とにかく、今日はみんなからの祝福を存分に受け止めてくれ。」
アルセリオは途中何かを言いかけたが、言うのを止めて話を逸らした。
「分かってるよ。盛大に結婚式を挙げるって決めた時点でそのつもりだって。それよりも、さっき何か言いかけたけど何?」
「だから何でも無いって。つうか忘れたよ。」
その時、二人が居る部屋の扉がノックされた。返事をする前に扉が開いてフィナール伯爵が声を掛けて来た。
「おお、似合ってるよ、タケル君。」
「有り難うございます、伯爵。」
「タケル君、君に会いたいという人を連れて来たんだ。」
「エルフとドワーフの二人ですよね。」
タケルはマップで二人が来てるのは既に確認していたのである。今日は新郎として1日中行動が制限されていたので、飛んで会いに行きたいのを我慢していたのである。
「もう、驚かせようと思ったのに。」
「流石ボンだ、いつから気付いていたんだ?」
残念そうにそう言いながら、扉の影に隠れていたシーリバが部屋に入って来ると、続けてフェレーロが満面の笑みを浮かべながら部屋へ入って来た。
「シーリバさん、フェレーロさん。」
タケルは二人の名前を言うと二人の元に駆け寄って二人と熱いハグをした。シーリバとフェレーロもタケルとの再会に喜び、ハグをする腕に力が入っていた。
「タケルさん、随分と良い男になったわね。」
ハグを終えると、シーリバがそう言いながらタケルの事を頭の先から足元まで見て最後に顔をジックリと見ていた。
「ボン。いや、もうボンじゃ無いか。タケル、随分と成長したな。」
フェレーロはドワーフらしく立派に蓄えた髭を触りながらタケルの事を見上げていた。タケルは更に成長して身長は180センチ近くになっていたのである。
「確かにちょっと伸びましたね。それより、ここへはどうやって来たんですか?」
タケルが結婚式の日取りを決めてから今日までは30日程で、二人の住む里に知らせてからこっちに向かうと間に合わない筈であったからだ。
「妹のソレーラがサビオさんと里に来たのよ。それで連れてきて貰ったの。」
「ワシはテオドル師匠がミレイアっていうお嬢ちゃんと来てな、連れて来て貰ったんだ。」
サビオとミレイアも他人を連れての転移が出来るようになっており、転移同行者が行った事が有る場所に飛べる魔法を使い二人を連れて来てくれたのであった。
「そっか。あの魔法使ったのか。」
「おお、あのお嬢ちゃんは凄いな。昔のタケルよりも凄いんじゃないか?」
「そうですね。あの子は天才だと思います。」
タケル達がそう話しをしていると、アルセリオがタケルの脇を突っついて来た。
「なあ、この人達が女神様の小屋で一緒に暮らしてた人達か?」
「そうだよ、よく分かったね。」
「まあ、ミレイアとサビオさんが迎えに行くってのは知ってたからな。」
「そっか。こちらのエルフの女性がシーリバさん、ソレーラさんのお姉さんだよ。そしてこちらがドワーフのフェレーロさん、俺の鍛冶の師匠で、テオドルさんの弟子なんだ。シーリバさん、フェレーロさん、アルセリオです、こう見えてもシーバム王国の王子なんです。」
「こう見えてもは余計だろ!」
「アハハ、ゴメンゴメン。」
アルセリオはシーリバとフェレーロと握手を交わしながらそう言って笑いながらタケルに文句を言っていた。
「あら、二人は仲が良いのね。昔は妙に大人びた子供って感じだったのに今は普通の少年のようになって、アルセリオ君のお陰かな?ねえ、フェレーロ。」
「おう、そうだな。マジメ過ぎるって感じだったが、少し明るくなった気がするな。」
「そうなんですか?今でも妙に大人びた所は変わって無いですよ。ねえ、伯爵。」
「シーバム王国の王子って、どういう事だ?」
「あっ・・・」
タケルはフィナール伯爵にアルセリオ達の事を話ていなかったがうっかりバラしてしまい、フィナール伯爵はどういう事なのかと聞いてきた。
「話せば長くなるんですが・・・」
「まあ、タケル君の仲間だし何か変わった所が合ってもおかしくは無いと思っていたけど、シーバム王国の王子とは驚いたよ。確か千年前に滅んでしまった筈だけどまだ残っていたのかい?」
フィナール伯爵はシーバム王国がまだ残っていると思い、そうタケルに聞いてきた。
「あ、いや。そうじゃ無くて・・・式が終わったら詳しく話しますよ。」
「分かったよ。それはそうと、アルセリオく・・・殿下。これ迄の非礼をお詫び致します。」
フィナール伯爵はそう言うと、アルセリオの前に跪き頭を下げた。フィナール伯爵は特にアルセリオには何もしてないが、タケルのパーティーメンバーとして普通に接していたのだが、フィナール伯爵からすればそれ自体が非礼に当たると思い頭を下げたのである。
「止めて下さい伯爵。俺は確かにシーバム王国の王子でしたが今はその国も無く現在は一介の冒険者ですよ、今まで通り接して下さい。」
アルセリオはそう言ってフィナール伯爵を立たせると、逆に今まで通りにしてくれと頭を下げた。
「そ、そうですか。それが希望ならそのように致しましょう。」
その時、開いたままの扉をバルタサールがノックをして部屋に入って来た。
「お取り込み中失礼致します。旦那様、馬車の用意が出来ました。」
「おお、そうか。タケル君、それではそろそろ行こうか。」
「じゃあ、フェレーロさん、シーリバさん。俺は先に出ますね。アル、行こうか。」
タケルはフェレーロ達に先に出る事を伝え部屋を出ると、新郎側の介添人としてアルセリオと共にフィナール伯爵の馬車に乗って出発した。
「タケル君、最後に確認だがこのまま教会に行って女神像に結婚の誓いを立て、その後学校の校庭に特設された祭壇で新婦を待ち、その後新婦が来たら式を挙げ終わり次第パレードをして、パレードが終わったらまた校庭で宴をする。これで良いね?」
フィナール伯爵が馬車の中でこの後の予定を最終確認をしてきた。通常であれば教会で式を挙げて終わりだが、参列者と結婚を祝いたいという者が多い為に学校の校庭に臨時の祭壇を設けそこで参列者に見守られながら式を挙げる事になった。その後街を馬車で廻ってお披露目パレードをするのだが、これは式に参加出来ない者の為にフィナール伯爵の提案で行われる事になった。そしてまた校庭に戻って宴会が行われる事になったのだが、なんとまるまる2日間宴が行われるのだ。何度か客を入れ替えてぶっ通しで宴会を行うらしく、これはフィナール伯爵が結婚した時よりも1日長い宴会であった。
「ええ、大丈夫です。」
タケルはフィナール伯爵の言葉にそう一言だけ返事をすると黙り込んでしまった。どうやら流石のタケルも緊張してきたようで、しきりに顎の辺りを触り落ち着かない様子であった。
「どうしたんだよタケル。いつものタケルらしくないじゃないか。」
「いや、だってこれから結婚するんだよ?緊張するって。」
「へえ、意外だな。タケルも緊張するんだな。」
「そりゃ俺だって緊張くらいするさ。人の事を何だと思ってるんだよ!」
「そりゃあ変人に決まってるじゃないか。」
「変人って・・・酷いな。」
「だって自分で商売始めれば大商人になれるのに、全部他人にやらせちゃうような奴が変人じゃ無かったら何になるんだよ。」
「うっ・・・確かにそうだけどさ~・・・」
タケルはアルセリオが言った事に反論出来ずにただ口を尖らせる事しか出来なかった。
「はっはっはっ。変人か、成る程確かにな。」
二人の会話を聞いていたフィナール伯爵は目尻を下げて大きな声で笑ってそう言ってきた。
「伯爵まで・・・酷いですよ。」
「ははは。すまんなタケル君、しかしアルセリオ君のお陰で緊張が解けたようだね。」
「あ、そう言えば確かに。」
タケルはフィナール伯爵にそう言われ先程まで止まらなかった手汗が引いている事に気付き、掌を確認して握ったり開いたりしていた。
「アル・・・有り難うな。」
「え?俺は事実を言っただけだけどな。」
「アル~・・・」
「あっはっはっはっ!」
再び二人のやり取りを見てフィナール伯爵は笑っていた。その後馬車は教会に着くまでその状況が続き、フィナール伯爵の笑い声が止まることは無かった。
「ではタケル君、女神像に結婚の誓いを立ててくれるかい。私は立会人として脇で見ているからね、アルセリオ君は介添人として後ろに控えていてくるれるかい?」
「判りました。」
タケルは女神像の前で片膝を付いて跪くと、目を瞑り頭を下げた。
(そう言えば教会に来たのは初めてだな。女神像も本物に似てるし面白いな。)
タケルが誓いを立てる前にそんな事を考えていると、辺りに感じた事が有る気配が漂って来た。いや、正確にはその場全体がその気配に満ちていた。そしてタケルはすぐにまたあの場所に来たのだと気付いた。そう、女神の神域である。
「ここは・・・」
タケルは感じた事が有る感覚に目を開けて顔を上げた。
「お久しぶりですね、タケルさん。」
顔を上げた先に女神が立っており、優しい笑顔でそうタケルに話し掛けてきた。
「シーバムの森以来ですね。あれから随分と色々な事をされてましたね、全て見ていましたよ。」
「ええ、そうですね。言われた通り好きにさせて貰ってます。」
「うふふ。そうですね、でも私の期待以上の様々な事をされていて毎回驚かされましたよ。」
「女神であるフレイア様でも驚くような事をしましたかね?」
タケルが不思議そうに女神にそう尋ねると、女神は更に笑ってタケルの問に答え始めた。
「ええ。仲間だけでなく街の人間を強くしたり、様々な物を開発しては他人に権利を渡したり、庶民でも通える学校を作ったり、街の娼婦を救ったりと様々な事をしましたよね。そのどれもが独創的な発想で驚きましたよ。」
「俺の世界では普通に有る物を作っただけですよ。ただ思わぬ効果が表れたりして予想以上の物になったりしましたが。」
「うふふ。そうなんですね。それはきっと最高神様の世界の人間が作る事で特別な効果が表れたのでしょうね。」
「はあ、そうなんですか・・・」
タケルは女神の言葉に何となく釈然としない気持ちを抱いていたが、そういうもんだと思い納得する事にした。
「立ち話もなんですからお茶でも飲みながらお話しましょう。」
女神はそう言うと、いつの間にか現れたテーブルを指し示してタケルに席につくように促した。
「タケルさん。最近ステータスを確認しましたか?」
タケルが席に付くと女神が紅茶を淹れながらタケルに聞いてきた。
「最近はステータスは開かないようにしてましたね。レベルもかなり上がったし、少し位上がった所で大して変わらないので魔法やスキルを使う時も殆ど確認はしてませんでしたね。」
「そうですか。ではちょっと確認してみて下さい。」
女神はカップに紅茶を注ぐとタケルの前に差し出しながらステータスを確認するように言ってきた。
「はあ、判りました。」
タケルは差し出されたカップを手に取り、紅茶を飲みながらステータスを確認してみた。
(ん?なんだこれ。)
タケルはステータスを確認してみてその変化に驚いていた。
【名前】タケル・サワムラ
【年齢】15歳
【性別】男
【種族】亜神LV1
【パラメーター】
状態「良好」
HP **********
MP **********
ATK **********
DEF **********
STR *********
DEX *********
VIT *********
INT ********
AGT *********
MND ********
LUK ****
【スキル】
剣術 LV****
格闘術 LV***
気配察知 LV****
魔力察知LV****
探知/索敵 LV****
魔力操作LV****
アイテムボックス (無限)
アズール全言語理解
etc・・・
【魔法】
全属性適性(内容省略)
オリジナル魔法(内容省略)
【ユニークスキル】
トレース(神級鑑定内包)
超聴覚
魔法付与
その他省略
【称号】
転生者(神への修行者)
調整者(異世界神の使徒)
異世界神の加護
水の大精霊の加護
精霊王の加護
ドラゴンの主
フェンリルの主
クレーターエイプキングの主
魔物を統べる者
救済者
大商人
その他省略
「何だか数字が見られなくなってますね・・・ん?亜神・・・?」
「気付きましたか?」
タケルがステータスに驚いていると、女神がそう言って一口紅茶を飲んでカップを置き微笑み掛けた。
「え、ええ。あの、種族が亜神ってなってるんですが、俺はもう人じゃ無いんですか?」
「タケルさん。最初にお会いした時に説明しましたが、貴方は神に成るために修行をしてもらいますと言ったのを覚えてますか?」
「ええ、覚えてますが・・・今までずっと忘れてましたね。」
「うふふ。それはここから戻るとその記憶だけ忘れるようになってるんです。ここへ戻って来た時だけ思い出すようにしてるんです。」
「そうなんですか、でも何で・・・」
タケルは何故そわな事をわざわざするのか不思議に思い女神に尋ねた。
「もし、神に成る為という目標が有ったらその為に行動しますよね、しかしそれでは魂の格は上がらないのです。自由に生きて貰い、その上で人々を助ける事で魂の格が上がるのです。そしてタケルさん、貴方は予想以上の早さで魂の格を上げ続けました。そして今回成人した事により、ハイヒューマンから亜神へと進化を果たしたのです。」
「じゃあ、亜神っていうのはもしかして・・・」
「ええ、肉体を持った神の卵といった所ですかね。」
「神の卵・・・・」
タケルはあまりの事に驚いてフリーズしそうになったが、どうにか踏み留まり一言そう呟いた。
「うふふ。安心して下さいね。亜神となっても今まで通り生活は出来ますからね。ステータスも偽装しておくのでバレる事も無いでしょう。さ、そろそろ戻りましょうか。また後でお会いしましょうね。」
女神がそう言うと、タケルは女神像の前で誓いを立てている状態に戻っていた。
「ハッ!・・・何か大事な事を聞いたような・・・」
タケルは女神と会った事は覚えていたが、亜神となった事は覚えておらず、改めて普通に結婚の誓いを立てて特設会場へ向かうために教会を後にした。
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65話で終わらせる事が出来ませんでした。
それと更新まで間が空いてしまい申し訳ありません。なかなか書く時間を確保出来ずに更新出来ませんでした。
それでは今後も宜しくお願い致します。
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